生涯学習概論レポート

生涯学習振興のための、公的社会教育施設の種類と、その役割について説明してください

生涯学習振興のための公的社会教育施設は、教育委員会部局と首長部局の2系統に分けられる。

まず、教育委員会部局では、①生涯学習情報センター ②社会教育会館 ③公民館 ④図書館 ⑤博物館 ⑥美術館 ⑦視聴覚ライブラリー ⑧少年自然の家 ⑨青年の家 ⑩青年館 ⑪体育館 ⑫スポーツ施設 ⑬幼小中高等学校施設などがある。

次に、首長部局では、①保育園 ②児童館 ③青年センター ④ユースホステル ⑤婦人情報センター ⑥障がい者福祉会館 ⑦障がい者スポーツ会館 ⑧老人福祉会館 ⑨ボランティアセンター ⑩職業訓練校 ⑪勤労福祉会館 ⑫青少年センター ⑬自然公園ビジターセンター ⑭動物園 ⑮市民会館など多数ある。

これらの施設は、相互に連携を持ち、オンラインシステムによって学習情報や施設情報などの相互提供を可能にし、住民の生涯学習に対する要望に応えなければならない。そのためのネットワークの中心にあるのが、生涯学習センターである。また、その中で特に中心的な施設は、公民館、図書館、博物館である。

わが国の社会教育は、図書館、博物館の整備から始まった。この2施設を中心とした考え方は戦後も引き継がれ、のちに社会教育の中心施設として公民館が設置された。公民館は現在、全国に17,000館の施設が整備されている。
法律面からみると、教育基本法には、図書館、博物館、公民館等を設置して、教育の目的の実現に努めなければならないと定められている。それに加え、社会教育法においても、社会教育を奨励するうえで社会教育施設の設置・運営が重要であることを明記している。これらの諸法を根拠にして、公民館をはじめ各施設の整備が促進されてきた。

しかし、1980年代から1990年代にかけては、社会教育とそれをめぐる環境が大きく変化し、戦後40年にわたって継続されてきた社会教育行政が、生涯学習社会への移行という転換を余儀なくされた。社会教育の中心である公民館は、1990年の生涯教育振興法成立と施行に伴い、それまでは教育委員会の専権領域であった社会教育の領域に、首長部局が中核組織の役割を帯びて参加してくることも促したのである。

その結果、主要交通機関の駅前に首長部局の所轄におけるコミュニティセンターが設置され、民間団体に運営の一部を委ねつつ、民間教育産業による教育ソフトが提供されるなど、民間活力の比重を一段と高めた生涯学習活動が展開され始め、これらは現在もなお発展的に継続している。こうした状況が、行政による社会教育の推進と生涯学習者支援を支持する立場からの強い批判の対象ともなっている。各地でいわゆる「公民館対コミセン」と言われる対抗関係が生じているのも、そうした背景によるものだと考えられる。また、公民館の公費を使う事業がコミセン等と同費ならば、行政施策として不必要であるとの意見もある。

これからの公民館は、学習内容の充実はもとより、その体系化を図り、人びとの多様で高度な学習要望に応える必要がある。公民館は今、新時代にふさわしい生涯学習施設として重要な位置にあるといえる。

図書館(この場合は公共図書館)は、①社会の中において生涯学習効果を高める②教養を高め人格形成に役立てる③情報提供により豊かな社会生活を図る④豊かな生活空間を実現するなどを目的とする施設である。また、公共図書館の意義は①地域住民すべてに対してサービスを提供する②無料公開する③地域社会の住民に対して生涯学習の場を提供する④文化的資料を通して健全な青少年を育成する⑤文化的レクリエーションの場を提供する⑥地域の情報センター的機能を果たすなどがある。

しかし、社会教育施設のなかでは早くから設置された施設であるにも関わらず、その設置数は公民館の10分の1しかない。これでは、文化国家を標榜する我が国にしては、余りにも貧弱である。図書館の持つ当面の課題は、施設の整備を急ぐことにある。なぜなら、図書館は生涯学習社会で学習を継続するのに必要な学習情報を収集して、学習者に提供するという業務を行う、いわば生涯学習提供事業そのものだからである。
博物館は、社会教育施設の中でも専門性が明確になっている施設である。機能は、資料の収集・保管、展示、調査研究があげられる。

また、科学博物館、美術博物館、歴史博物館など、それぞれの施設がその物性のもとに、収蔵する実物資料に基づいて各種の専門講座なども開催されている。
ただし、我が国の国立博物館は社会教育施設というより文化施設として設置された面があり、収集展示資料の面からも文化政策の対象として位置づけられてきた。しかし、文化芸術振興基本法では、博物館も地域住民に対して鑑賞機会を確保する場所としてとらえられており、生涯学習における社会教育施設と考えてよい。


参考文献
「生涯学習論 - 生涯学習社会の展望 - 」(放送大学教育振興会、2002年)
「文化政策の展開 – 芸術文化の振興と文化財の保護 - 」(放送大学教育振興会、2007年)

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担当講師のコメント:教育基本法は平成18年に全文が改正されました

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