1.社会教育の概念

学校で行われるのが「学校教育」
家庭で行われるのが「家庭教育」
それ以外の社会全般で行われるのが「社会教育


【現象的規定】
社会教育を、「社会」と「教育」とに分け、「社会が」行う教育、「社会で」行う教育、「社会を」教育する教育、「社会のための」教育というように、教育の主体としての社会、教育の客体・対象としての社会、教育の目的としての社会(形成)というような観点からの規定の仕方は、現象的規定といえる。

「社会を場とする教育が社会教育である」「社会が行う教育が社会教育である」「社会勉強が社会教育である」というような規定から、社会教育の特徴①自発的・自主的、②多様性、③生活や地域に補足を置く、④地域や生活と密着していることから、実現性や体験性を招来するものである・・これらの考えは、現象的規定である。

【本質的規定】
①学校教育の補足としての社会教育
②学校教育の拡張としての社会教育
③学校教育以外の教育要求としての社会教育

【社会教育のあり方に関する新たな論点】
1.これまでの社会教育が、施設中心・公民館中心で行われてきたこと
2.専門職の存在
3.制度化・組織化・定型化の追求に関する論点
4.学校教育との関連での論点
5.教育論のなかでのみの議論



スポンサーサイト



3.生涯教育概念の社会的展開

1.生涯学習概念の普及
国民が一人残らず自発的に、実りある生を求めて学習を続け、しかも世界の課題にこたえる努力を続ける国が、つぎの時代を建設する。それは、すべての国民が参加する「学習国家」であるとし、「学校王国から教育王国へ」と説く。(1981年朝日新聞社説)

2.生涯教育概念をめぐる制作的提言
(1) 「地域生涯学習態勢」の構築の提言
①地域に生きるすべての人々の生活学習を可能にする教育環境づくり・・・公民館を中心とし、博物館・図書館と連携
②学校を学習活動の総合施設にする
③より高度な成人教育として専修学校・大学の開放

(2)欧米都の対比からの提言
フリーラーナー(自由な学習者)の存在を前提にしている。日本が行政主導型モデルから市場型モデルの要素を取り入れる方向への変換が図られている

(3)生涯学習と学校教育・社会教育の位置に関する提言
「日本の生涯教育ーその可能性を求めてー」には、社会教育の内容がみられない。

生涯教育を、学校教育・社会教育・家庭教育を総括したものを表しているという考えがある。学校教育と社会教育は車の両輪という考え方があるが、同じ大きさではない。学校教育は国のシステムにはまっているので違うものである。

生涯各時期の学習課題は、標準的な学習を設定するが、他者による設定である。公共課題は学習課題として取り入れにくいという傾向がある。




7.社会教育の法制度と社会教育行政の基本原則

1.社会教育の法制度と外観:教育基本法と社会教育法など
行政が関与するする意味での公教育は、基本原理として、義務性・無償性・中立性が指摘される。社会教育とは教育委員会が担っている社会教育である。

2.社会教育行政の基本原理・原則
倉内史郎「ボランタリズム」・・公の支配に属しない性質をもっている。学習者の自由な学習意志の絶えざる発展をいう。対局にあるものは「制度化」「専門化」

現行の精度は、教育としての専門性・分権・参加・民間との連携によってとらえることができる。その専門性を確保する方策が、社会教育主事・図書館司書・博物館の学芸員の存在を想定している。

社会教育法は1949年にできた法律である。現在考えられている、規則緩和・分離・参加に関連する事例がすでに半世紀も前から考えられている。現在の数々の提案も、単なる焼き直しでしかない。

3.社会教育法・社会教育行政における社会教育の構造
社会教育行政は、「社会教育主事」「社会教育関係団体」「社会教育員」「社会教育施設」のしくみをもつ

8.社会教育の指導者・支援者の役割

1.社会教育における指導者・支援者
学校教育・・・教員・教師
社会教育・・・指導者・支援者など
学習内容に関する専門的な知識・見識をもち、学習支援の方法・教育の方法に通暁していることが期待される。

学習機会を設定する期間・団体の職員は、「公民館」「青少年教育施設などの職員」「図書館司書」「博物館学芸員」「団体の事務職員」である。彼らは「参加」の文脈で扱う=社会教育職員論

2.社会教育職員論についての諸審議会答申の論調

3.公務員・専任・専門職という議論
碓井正久の論文「社会教育職員の専門性」・・・我が国の社会教育職員専門職化議論は、地方自治体の社会教育職員をさす→公務員である。専門職として位置づけられていない。

宮坂広作の論文「社会教育職員の専門化論の批判的検討」・・・職員の量的拡大によりも質的な向上が優先課題である」とし、自己形成の営みを持続するような市民が多数を占める社会では、社会専門職員の役割は、市民によって担われ、職業として特立しない。⇒宮坂の考えは十数年早かった。

4.非常勤職員とボランティア
ボランティアや非常勤職員が学習しているかどうか。しているならどのような学習か。を知る必要がある。

9.社会教育と集団ボランティア活動

1.社会教育と集団という視覚
学習論的には集団・制度論的には団体という使用法が標準的である。
団体の活動による社会教育の展開が、日本の社会教育そのものの特徴である。
第二次大戦後も、地域の青年部や婦人会(社会教育関係団体)は、行政と関係をもっていたが、その比重は低下してきている。現在ではさまざまな性格をもつ団体の役割が注目されている。

社会教育関係団体は、集団活動そのものが学習活動になっている。
①団体の目的にそった事柄に関する共通理解を深める
②メンバーとしての一体感
また、相互作用に注目しない団体は、知識を外部から知識を獲得する。

2.社会教育関係団体をめぐる問題
法人であると否とを問わず、公の支配に属さない団体で社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とする。非営利であり、団体の自発性と自律性が注目される→NPO。これは、生成もするが消滅もする。このことを念頭においておかないといけない。継続が求められる行政との違いを認識すべきである。

1992年生涯学習審議会答申
①ボランティア活動による自己実現が生涯学習そのものである
②ボランティア活動を行うための技術・知識を得るための生涯学習
③他の人々の生涯学習を支援するボランティア活動

10.社会教育における参加

1、社会教育の領域で参加をどう考えるか
参加の議論について
①学習活動の開始、学習活動への参加に関する相・・・関係者の関心をひくものではない
②学習の機会保証・・・昔から社会教育関係者の関心をひく
③学習場面・学習活動運営における学習者の関与
④ボランティア活動への注目
これらは、自治体ごとの対応に明らかな差がある

2.制度としての参加
(1) 公民館運営審議会
地域の住民の意見を公民館の運営に反映させるルートを確保する意味で、制度化された参加であり、運営委員は行政委託委員である。
1999年の「地方分権推進一括法」により改正される
①運営審議会が任意設置となる
②構成が、学識経験者や諸団体の団体であったものが、関係者となり緩和される
③教育委員会は、事前に公民館の意見をきく必要がなくなった

(2) 社会教育委員
独任制の行政委属委員である。公民館運営審議会の委員が、具体的な教育機関に近いところで地域住民の声を反映するルートであったのに対し、社会教育委員は自治体の立案に立ち会い、行政が担う社会教育の方向づけを行う役割が与えられている。
2008年の補助金に関する改正があり、社会教育委員がいなくても補助金について話し合うことができることになった。社会教育委員がいらないのでは?

しかし、社会教育委員は行政の委属であることから、その活動は行政の庇護のもとにあり、活動も年に数回だと役に立たない。

3.参加体験型学習をめぐる問題
ワークショップの手法を取り入れた学習法であり、自発性を基礎とした参加の価値が高く位置づけられている。しかし、想定されている「体験」は、意図された体験・企画された体験である。
実は、「参加体験型学習」の意義は、社会教育における学習支援者・職員が気づくかどうかという点に求められる。

学習支援者・職員として求められる社会教育とは何か、社会教育は何のために存在するのか、社会教育はどうあるべきか、という問いに答えるために参加体験学習が存在している。

■参加体験型学習の問題点
①宣伝される参加体験型学習が形式的なものになっている
②学習者像に、成長という観点が希薄である
③宣伝される参加体験型学習は、表面的な、技術的な模倣であり思想に欠いた存在になっている

■どのように参加体験型学習を取り入れるか
テーマに迫るためにはその技法が必要だからという理由がなければならない。「参加体験型学習」を推進する人は、人間的に魅力を持つ人でなければならない。

11.社会教育における連携

1.連携という発想
学校教育に対してさまざまな機関などが協力し、「社会総ぐるみ」で子どもの教育を進めていくことを目的としている。

2.連携の意義と限界
連携とは、時間・期間限定的な存在であり、プロジェクト追求・目的達成のための手段として位置づくと理解することが自然であろう。

■連携が注目される場合
①それぞれの機関が自律的になっているうえで連携が必要な場合
②個別の機関などでの対応では困難が生じているから中心になる機関を柱にした連携が必要になったという場合

■注意点
①社会教育における行政と関係機関・団体などの連携という限定で考えてみた場合、行政が、本来自ら展開すべきである社会教育事業を、主として民間の関係機関や団体に連携という言葉を用いつつ任せるのであれば、その意義は、単なる行政の安上がり施策になる。
②連携について、単一の中心があるような形が採用されることにも注意が必要である

■考えておくべきこと
①連携が解消された場合どうなるかということを考えておくこと
②それぞれの機関・主体が自律的な活動をすること

3.学校と社会教育の連携
「学社連携」と「学社融合」
「学社連携」・・・家庭教育・学校教育と社会教育との連携で提起された
「学社融合」・・・国立青少年の家が魅力的な施設に生まれ変わるために提起された
しかし、この差は明確ではない。

具体的には、学校側が施設(図書館・博物館・青少年の家)を利用することをであるが、強制的な学習であり、窮屈である。



12.社会教育施設の役割

1.社会教育施設とは何か
図書館・博物館・青年の家その他の社会教育施設・・・2008年教育基本法
公民館・・・社会教育法
図書館・・・図書館法
博物館・・・博物館法

社会教育施設は、人々を教育しようとする意図が明確な施設であるが、教育は価値観の押しつけではないことを理解しておかなくてはならない。

カルチャーや個人教授所など民間の営利的に提供されている学習機会は、社会教育施設ではない。社会教育施設は、行政によって設置され運営される施設を指す。

2.社会教育施設の構成
・物的側面・・・建造物を中心として、設備・備品や図書館における書籍などの図書館資料、博物館におけり収蔵品を指す
・人的側面・・・社会教育施設の職員
・機能的側面・・(例)公民館の講座の実施、学習相談、情報提供など
どれが欠けても、十分な社会教育施設とは言えない。

3.社会教育施設の現況と諸問題
(2) 社会教育施設の職員
・公民館・・・公民館主事
・図書館・・・司書、司書補
・博物館・・・学芸員
博物館を除き、必ず置くとは決まっていない。また、図書館館長は、規制緩和で司書の資格を持たなくてもよくなった。

(3) 社会教育施設の運営への住民参加
・公民館・・・公民館運営審議会
・図書館・・・図書館協議会
・博物館・・・博物館協議会

■指定管理者制度のもとにある施設の運営審議会・協議会は、設置者である自治体に対して責任をもって関わるのか、活動が、委託されている指定管理者の利益にならないかを検討されなければならない。

(4) 社会教育施設と利用料金
・図書館・・・図書館法17条で、いかなる対価も徴収してはならない
・博物館・・・博物館の維持運営のためにやむおえない場合は、必要な対価を徴収することができる
・公民館・・・規定なし
規定がないから有料でもいいということではない。無料であることを求められている。

13.社会教育の総合的施設:公民館と生涯学習センターの機能

公民館について理解することは、社会教育そのものについて理解することに繋がるし、そのあり方を考えることは、社会教育のあり方を考えることである。

1.公民館の位置づけとその機能
(1) 公民館の成立と基本的役割
公民間は、第二次世界大戦後に構想された。寺中作雄はいう、「多方面の機能をもった文化施設」という。
第1に「自己教育」「相互教育」の場である
第2に社交娯楽機関である
第3に町村振興の機関である
第4に産業振興の機関である
第5に青年の育成に関心をもつ機関

(2) 公民館の制度的位置づけ
公民館の職員については、教育機関であるとするなら公民館主事が専門的職員として位置づけられるべきであろうが、これまで指摘してきたように、制度的にはそのようになっていない。
「公民館」という語は、その使用に対して自由であるため、単なる地域の集会施設になっている場合も多い。

(3) 公民館の役割と意義
公民館の活動は、一方で行政によるサービスという側面もある。しかし、公民館には、その活動が、地域住民・学習者・利用者によって担われている部分が大きいという特質もある。地域住民は、単にサービスを受けるだけでなく、サービスを作り上げる側にもなりうる。

公民館活動を行政のサービスの一環としてのみ捉えず、点検・評価を組み込んだ地域住民と職員の活動であるととらえるということは、その点検・評価のプロセス自体が公民館活動の重要な構成要素となっている。

2.コミュニティ・センターという施設と公民館
松下圭一「社会教育の終焉」・・・地域施設としては、公民館という施設は不要で、コミュニティ・センターが適している。

コミュニティ・センターは、首長部局に属する市民の自治的な活動拠点として存在し、教育機関・社会教育施設ではないが、公民館との間で、専門的職員の問題、住民の参加の確保の問題が議論の焦点であった。

今日、教育委員会の位置づけの見直しの動きが急速な状況で、首長部局と教育行政との関係、その中で、社会教育・社会教育行政の位置について、多様な側面から現実と理念とを峻別しながら検討することが必要である。

3.生涯学習センターの位置づけとその機能
生涯学習センターは、市町村レベルの公民館ではなく、都道府県レベルの社会教育の総合的な施設である。
①生涯学習情報の提供および学習相談体制の整備充実に関すること
②学習需要の把握および学習プログラムの研究・企画
③関係機関との連携および協力および事業の委託に関すること
④生涯学習のための指導者・助言者の養成・研修
⑤生涯学習の成果に対する評価に関すること
⑥地域の実情に応じて必要な講座を主催すること

生涯学習センターは、1970・80年代以降の広域的な行政対応が必要な地域政策のなかで出てきた発想である。人々の諸活動・学習活動が、広域化・多様化したなかでの社会教育領域での対応であると考えられる。

14.社会教育の専門的施設:青少年教育施設・図書館・博物館の機能

1.青少年教育施設の位置づけと役割
(1) 青少年教育施設という社会教育施設
国立青少年教育振興機構という独立行政法人が運営している。現在の青少年教育施設は、1959年以降に設置された。青少年に対し、学校とは異なる教育機会に接することによって、学校とは異なる教育効果を期している施設である。

(2) 青少年教育施設の運営とその課題
運営についての批判・・・利用率の低さ

1995年「より魅力ある施設に生まれ変わるために(報告)」
・団体宿泊訓練の重視から自主性をを育てる運営への転換
・先導的事業や調査研究を充実させて成果の普及をしつつ学社融合をめざす
・地域のネットワークの中心的な存在としてのリーダーシップを発揮

2009年・・・国営から民営へという意見が出る

「今後の国立青少年教育施設の在り方についてー新たな視点にたった体験活動の推進についてー」
①ナショナルセンターとしての機能を強化すべきこと
②効果的・効率的な設置配置などを目指すべきこと
③「新しい公共」型(民間・大学・自治体との協働)の管理運営をめざすべきこと

いずれにしても、その必要性は認識されているが、積極的な存在をアピールしてこなかった。近年、実証的な調査結果が公表され、体験活動の意義を再認識する必要性が強調される動きがある。

2.図書館・博物館の位置づけとその役割
(1) 図書館・博物館という社会教育施設
図書館や博物館は社会教育施設である・・関係者は反発する。しかし、図書館は選書しているし、博物館は収蔵品・資料を選択している。これは、そのような価値を提示・伝達するか、という教育と同じ原理を基本にもっている。これがなければ、図書館と書店、博物館とテーマパークの区別がつかない。

(2) 図書館・博物館の運営とその課題
ボランティアの存在。図書館・博物館は、ボランティア専門の仕事がある。このことから、ボランティアは、労力削減の安上がり施策ではない。専門的職員の専門性に関して、モノ(図書館資料・博物館資料)の専門性以外に、ヒト(ボランティア・利用者)に対する専門性が必要である。

◆博物館と学校との関連
博物館の利用を、学校単位で行うことは悪いことではないが、学校での利用は学校教育のカリキュラムに則った利用である。博物館は、社会教育施設として存在するのであるから、例えば学校では優秀ではない子が気持ちよく過ごせる空間であったり、他の学校の生徒や大人と接することが本来の姿である。学校単位の利用は、博物館本来の利用ではなく、博物館のもつ可能性の一部である。



プロフィール

Mikami Kako

Author:Mikami Kako

おことわり

保育士・図書館司書に関しては、旧システムによるものなので、現在のもの科目編成や内容にずれがあります。放大についても閉講科目が含まれます

クリックすると開きます

シンプルアーカイブ

検索フォーム