1.巨人たちの系譜

■古代ギリシャの教育を視る3つの視点

1.現実主義
現実の社会を前提とし、その社会で望ましいとされる価値を子どものなかに作っていくことを教育の使命と考える立場(例:アリストテレス)

2.理想主義
本質的で理想的な善を社会を超越した絶対的なものに求める立場(例:プラトン)

3.人間主義
子どもを含めたあらゆる人間が本来もっている普遍的な善を信頼し、それが発達とともに発言してゆくことへの努力が教育にほかならないと考える立場(例:ソクラテス)

■近世の教育
現実主義的な方向性・・・コメニクス(教育学の祖)、イギリスのロック、フランスのモンテーニュ
子どもを中心とした教育思想・・・ルソー(子どもの発見者)、貧者の教育に人生を捧げたペスタロッチ、児童教育の父フレーベル、近代教育学の完成者ヘルバルト

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2.古代世界の教育

近代的な意味での「学」としての教育学がはじめて成立したのは、近世ヨーロッパにおいてであった。

■古代ギリシャの教育論
1.プラトン・・・1対1の対話を重視する。(国家)
教育とは、子どもたちが本来的に持っている真理を見るための機能を正しく「善」に向けさせてやることだという考え方をもつ。

プラトンの教育の対象の違い
「助産」・・・愛智者(教養ある自立した市民になるべき子弟。つまりひとにぎりのエリート)に対する姿勢。
「染色」・・・軍人や技術者や一般市民
後期では、国家と法律の依って立つ「真の善」を前提として、それに適合する市民を教導に形成するという考えを深めていった。
イデア(絶対的な真理・真の実在)を前提とし、現実の様々な局面において「こうあるべきだ」と論じる。
【演繹】・・絶対的真理を前提とし、正しい方法により子どもにそれを伝えること

2.アリストテレス(形而上学)
すべての人間は、生まれつき、知ることを欲する。なかでももっとも愛好されるのは、眼による「視覚」である。
自然と社会の現実をありのままにみるなかから真理を見出すことができるのは、人間に備わったロゴス(理性・言語・法則・証明など)である。
【帰納】・・子どもの感覚を前提とし、その感覚によって自然現象や社会を滞りなく認識し、理解すること

■古代中国の教育論
1.孟子
学問をしなくても人ができること(良能)、考えなくても知ることができること(良知)という。
性善説。子どもには正しく知覚し、認識する「目」があって、教育とはそれによる事物の認識を邪魔せずに展開させていくことである=アリストテレスと似ている

2.筍子(じゅんし)
本来「悪」である子どもの心は、「師匠」や「法則」「礼儀による教導」によって生まれた後に作為的に矯正しなければならない。性悪説。

3.コメニウス

コメニウス(1592-1670) 近代的な意味での教育を合理的に論じ、教育学の体系を明確にした。
学校における教授様式の基本形、カリキュラムのあり方、教科書など

男女両性の青少年全部が、学校の手に委ねられなければならない
「大教受学」
①学校の階梯・・子どもはその発達段階に応じた学校が必要である
②感覚教育・・暗記主義を強く否定し、理性によって理解する教育を至上のものとした
③汎教育と生涯にわたる教育・・誕生前の教育から幼児期・児童期・青年期・若者期・壮年期など、対応する学校段階が生涯に渡って続く
④教科書としての教材・・カリスマ的な指導者に感化されたり、絶対的権威をもつ書物の内容を暗唱したりという演繹的な学習ではなく、子供たち自身の感覚的直感を重ねることで知識を増し、それらを連合させることで帰納的に知恵を身につけることが必要である。

「最初の幼児用教科書」・・・世界図絵

■コメニクスに関わる三つの要請
①彼の活動や思想は、彼の独創ではなく、キリスト教信仰を基礎として、当時イギリスで大きな勢力となった経験主義を広汎に取り入れて構成されたものである。
②前近代と近代を生きたものとしての自己矛盾および多様性である
③後世への影響の強さ



4.ルソー

ルソー(1712-78)フランス
秩序よりも自由を、規律よりも自然を重視する「自由人」

1.教育の聖典「エミール」
大人は子どもというものを、まったく知らない。子どもがいま、どのようなことを学ぼうとしている状態なのかを考えることを忘れている・・・子どもとは何か⇒「子どもの発見者」と言われる。

(1) 自然人の形成
科学や技術の進歩に対する、素朴なアンチテーゼである。
文明国に生まれた子どもたちは、否応なくその文明による悪しき加工を被るが、それでも、その加工が、自然に基づき自然に順応した教育性だけを前提としているならば、それはよい教育だ。

(2) 自己愛と利己愛
ルソーが前提としているのは「自己愛」であり、利己愛ではない。
自己愛・・子どもの天与として、自然な自己保存の本性のこと
利己愛・・他者との関係の中で他の誰よりも自分をまず優先する感情をいう。

5.ペスタロッチ

ペスタロッチ(1746-1827)スイス
ノイホーフ(農場)のなかに、恵まれない子ども達20人ほどを集め、農作業をさせながら、彼らを無料で教育した。

1.著作にみるペスタロッチの精神
(1) 隠者の夕暮
人の平等に言及する。教育を「自然」と「職業」にわけ、前者を優先した

(2) シュタンツ
学校教育を家庭教育の延長と捉えた。
① 直感主義・・・現実の諸問題と切り離せない直感的な経験を考慮して、はじめて正しいものとして物事が確かめられる
②労作主義・・・教え込み・反復練習の重要性
子どもが教育によって下層階級を脱するのではなく、その階級のなかで何とか生きているすべを身につけることに価値を見出していた。
知恵よりも行いがより重要であるとしている



6.フレーベル

幼児教育の父 フレーベル(1782-1852)ドイツ
・啓蒙主義・・あらゆる事物や事象を客観的に分析し、合理的に理解しようとする分析的知性を重んじる
・観念論・・全体を総合的・感覚的に把握しようという直接感情
フレーベルは、このような2つの論理の交錯の中で、精神と知性を形成し、教育と著作の活動を続けた

(1) 『人間の教育』と幼児教育
人間を含むすべてのものに、神が内在する・・・万有在神論
教育のもっとも初期の段階を重視し、そこにおける家庭の役割を重大なものと考える姿勢を一貫して撮り続ける。

①子どもの能力は、自発的な活動により発達させられる
②幸せが子どもの適正な発達に絶対必要である
③子どもは最高の観察者である
④授業は短く、変化がなければならない
⑤性格の発達は、個人生活と社会生活の両面での観察が必要である
⑥教育は本性に従っていなかればならない

(2) ペスタロッチとの比較


ペスタロッチフレーベル
「模倣」を教授の基礎とした「自発性活動」を教育の基礎とした
子どもを受身にし、反復による記憶の強化に
努めた
子どもが自分自身で事柄をみつけるように指導し、具体的な課題で記憶の訓練に努めた
教育の手段として仕事を強いた教育を「遊戯」の形式にした
教師の活力と熱意に信頼を置いた子どもが自分自身のためにすることに期待した
原理において演繹的であった
(教授者第一主義)
原理において帰納的であった
(教育者が主)
子どもをよりよい働き手にする方法として、早くから訓練することを進めた知的・道徳的・身体的な能力の均一的発達を目的とした

7. ヘルバルト

ヘルバルト(1776-1841)
子どもたちが本来的に持っている「興味」の最重要視。

ヘルバルトの教育学は、その目的を実践哲学(倫理学)に求め、その方法を心理学に求めている。そして、教育は新興や慣習で行われてはならず、あくまで科学的な基礎を持つべきであるとして、実践的な科学的教育学の樹立をめざした。
実践哲学・・・陶治(持って生まれた才能や素質を円滑に発達させること)を意味し、教育より広い意味で使われている。

ヘルベルトは、ルソーの自然主義教育と、人は本来「白紙(タブラ・ラサ」)で生まれるというロックの教育論との対比を批判的に行う。

また、ヘルベルト教育学では、教育の基本的要素を「管理」「教授」「訓練」の3つに分けている。
「教授」・・・教育の本質であり、「常に教師と生徒が同時に関わる何か(第三のもの)をもち、生徒の陶治を目的としている。
「管理」・・・生徒にとって有害なものを除去することで、教授や訓練が円滑に行われるようにするもの
「訓練」・・・単なるトレーニングではなく、陶治の意図をもって行われるもの。教師から生徒への人格的働きをすることにより、道徳性を身につけた「性格」として強く固定することを目的とする。

8. デューイ

デューイ(1859ー1952)

活動的な仕事と経験から学ぶことについては、直接的経験だけでなく、書物や人々の「言説」が経験に関連のあるものであれば、そこから学ぶことは多いとしている。

伝統的な学校の教育内容(カリキュラム)と教育方法が極めて画一的であることの原因として、ほとんどの授業が「聴講形式」で行われていることをあげている。デューイは、聴講中心の授業を、子どもたちが生き生きと活動・作業できる形態にすべきだと考えた。「子供中心主義」

学校は、楽しみながら、そこで様々な「生活体験を与える居場所」でならなければならない、というのが、デューイの主張である。デューイのいう学校は、暗記と試験による受動的な学習の場ではなく、子どもたちが社会生活を体験する場所であり、さらにそこは、現実の社会の間に、有機的な関係をもった社会でなければばらない。

9. ジェームズ

ジェームズ(1842-1910)

■著書「心理学」の2つの特徴
1.心理学を一自然科学(脳神経生理学)として取り扱おうとしている点
感覚や欲望を、脳の活動という視点から見ていくことが肝要だと考えた。

2.意識(心)の構造ではなく、構造を理解することに重点が置かれている点
意識の存在理由や意味を理解することを重視し、意識を分割するのではなく、ありのままに観察することが重要だと考えた。(機能主義)

私が何かを考えているときでも、私はそれと同時にいつも私自身、私の人格的存在を多少自覚している。また、それを自覚しているのも私である


このようにジェームズは、知る者としての「主我」と、知られるものとしての「客我」という自己の二重性についてのべた。また、客我には、①物質的客我、②社会的客我、③精神的客我、の三つの構成要素に分けた。

また、ジェームズは、「ある事実が情動をよび、この心の状態が身体的表出を引き起こす」という考えに疑問をもった。情動(悲しむ)は、身体的表出(泣く)の原因ではなく結果であり、情動は身体的反応に伴う随意現象に過ぎないという説を立てた。

10. フロイト

フロイト(1856-1939)

■著書:夢判断
フロイトの最大の功績は、「無意識の発見」である。
また、フロイトは、願望の充足こそ夢の唯一の意図であり、夢は完全に利己的であると主張した。夢を手がけることが多ければ多いほど、成人の夢の大多数が性的材料を取り扱い、性的願望を表現しているという事実を承認しようという気持ちが強くなってくるとも言った。このように性に固執したことから、弟子のユングも離れていったのである。

プロフィール

Mikami Kako

Author:Mikami Kako

おことわり

保育士・図書館司書に関しては、旧システムによるものなので、現在のもの科目編成や内容にずれがあります。放大についても閉講科目が含まれます

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