第1章 小児の発育・発達と食生活

新生児期・・・生後4週間
乳児期・・・満1歳まで
幼児期・・・1~6歳
学童期・・・6~12歳
思春期・青年期・・・12~20歳
食事は成長のための栄養補給として重要であるだけでなく、社会生活を営む基本を身につけ、人間関係をつくりあげていく点でも大切である。

1、身体発育・精神運動機能の発達
赤ん坊は頭のほうが胴回りより大きい。
満一歳になるまでの乳幼児・・・運動面の発達が中心・脳は出世維持の二倍半になる
満1歳頃から歩き始める
2~3歳・・・排泄のしつけ
3歳・・・走る、階段の上り下りが出来る、フォーク・スプーン・箸の使い方の訓練
3~4歳・・・社会性が芽生え、共食の楽しさが味わえる
幼児期の終わり・・・脳は成人の重量に近づく

2、食べる機能・消化吸収機能発達
生後2ヶ月・・・随意的キュウテツ力
3ヶ月・・・拒否力
(2、3ヶ月に最も盛んな哺乳力を示す)

■乳汁を吸引する反射運動
・探索反射・・・ほっぺをトントンとするとされたほうをむく
・補足反射・・・乳首を捕まえる
・キュウテツ反射・・・吸う
・嚥下反射・・・飲む
生後三ヶ月以内は提舌反射(食べ物は食べられない)が残存するので、固形物を食べるのは難しい。

■ヒトの消化器官
噴門部(胃の入り口)・・・乳児は噴門部が未発達なので溢乳する。
大腸の働き・・・不消化物を集めてフンを作る・水分を吸収する

■消化酵素の種類と働き
○○アーゼ=酵素
○○オース=糖
腸液のラクターゼ酵素がないと、乳糖不耐性の赤ちゃんになる

3、小児の健康と食生活の実態
子供の好きな食べ物には動物性脂肪が多く、柔らかい食べ物が多い。
学童期の肥満はそのまま成人肥満に繋がることが多い。
肥満でコレステロール値が高い子供は動脈硬化が早く進む。
朝食のエネルギーは効率よく利用され、夜遅い食事は体脂肪の合成を促進するので「早起き・早寝・朝ごはん」が推奨される理由がここにある。

■小児の食生活上の問題点
幼児期・・・孤食・欠食・少食・食欲不振・偏食・遊び食い

日本人の食生活は、栄養バランスの偏りや食べ残し(1/4)の廃棄などの資源の無駄、環境問題などが顕在している。脂肪の増加や
・孤食・・一人で食べる
・個食・・各自別々のものを食べる
・子食・・子供の好きなものばかりを食べる
といった食習慣の乱れが憂慮されている。

2000年・・・21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)に公表され、10年間で到達すべき目標を数値で表す
2005年・・・21世紀の取り組みとして「健やか親子21」がスタート。
食育基本法が制定される(知育・徳育・体育よりも食育が大事)

■食生活指針(厚生省・農水省・文部省の三省合同)
・主食、主菜、副菜を基本に
・ご飯などの糖類をしっかりと・・・穀類を毎食とって、糖質からのエネルギー摂取を適正に保つ
・食事や脂肪は控えめに(腹八分)・・・食塩は一日10g未満に
・適正体重を図り(標準体重ではない)、日々の活動に見合った食事量を
・食文化や地域の産物を生かし、時には新しい料理も
・調理や保存・・・賞味期限や消費期限を考えて利用しよう
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第2章 栄養に関する基礎的知識

1、栄養素・栄養生理・代謝

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ミネラル(無機質)

1、炭水化物
食事摂取基準では、男女共にエネルギー比率で50以上70未満と目標値が定められている

■PFCエネルギー比率
P(プロテイン=たんぱく質)・・・10%
F(ファット=脂肪)・・・20~30%
C(炭水化物)・・・50~70%

・ブドウ糖は血液中に0.1%の割合で血糖として含まれる
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■麦芽糖(マルトース)・・・分解する酵素はマルターゼ
■乳糖(ラクトース)・・・分解する酵素はラクターゼ。
ブドウ糖とガラクトース(脳に大事)からなる二糖であり、甘みはショ糖(砂糖)の20%程度と少ない。
■オリゴ糖は糖アルコールと共に、抗う蝕作用(虫歯になりにくい)を持つ甘味料として利用されている
■でんぷんは、ブドウ糖が直鎖状に結合した「アミロース」と枝分かれした「アミロペクチン」からなる。
・アミロース・・・老化しやすい、ヨードでんぷん作用
・アミロペクチン・・加熱したらべとべとになる
■食物繊維・・・便秘防止、大腸がん防止、血中コレステロール上昇抑制、糖尿病予防
日本人が最も摂取を増やすべき栄養素とされている

2、脂質
①1gあたり9cal
②腹持ちがいい
③必須脂肪酸の給源となる
④脂溶性ビタミン(油で溶けるビタミン)の溶媒となる。ただし摂取しすぎると肝臓にたまる
(水溶性ビタミンはおしっこで出る)
⑤ビタミンB1の節約作用

■多価不飽和脂肪酸
n-6系・・・リノール酸、オレイン酸など
n-3系(DHA)・・・エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸・・心臓病を減少させ、発ガンのプロモーション作用を示さない。18歳以上は男子2.6以上、女子は2.2以上の摂取基準。

3、たんぱく質
人間の身体の60%は水だが、残りの約半分はたんぱく質で出来ている。
たんぱく質は約20種類のアミノ酸がペプチド結合した分子量の大きい物質である。
炭素(C)、酸素(0)、水素(H)、窒素(N・・・これが炭水化物や脂質との大きな違い)のほかに少量の硫黄(S)を含む。
窒素の割合は16%である

■たんぱく質の働き
①体構成成分、体液のPHを調節する
②赤血球中のヘモグロビンは酸素や二酸化炭素を、血中たんぱく質は脂質やホルモン、カルシウムなどと結合し血液中を運搬する
③酵素やホルモンの合成材料や種々の感染から生体を防御する働きをする
④エネルギー源として1gあたり4kcalのエネルギーを発生する

■その他
・動物性たんぱく質より植物性たんぱく質のほうが身体構成に役立つ。栄養価値で言えば動物性のほうがよい。
・成長期の小児では動物性たんぱく質は40~50%の範囲。
・食物から摂取しなけければならないアミノ酸を「必須アミノ酸」といい、有名なところでヒスチジンがある。可決アミノ酸のアルギニンも発育期には不可欠である。

4、無機質(ミネラル)
カルシウム・・・筋肉の収縮・弛緩、神経の興奮性を鎮める(キレやすい子はカルシウムが足りない)
鉄・・・生後5ヶ月で体内からなくなる。足りなくなると乳児は発育が遅れる
亜鉛・・酵素・インシュリンの構成成分、味覚機能、性機能。
ヨウ素・・・甲状腺ホルモンの構成成分。足りないと小児クレチン病、成人は甲状腺腫

5、ビタミン
■脂溶性ビタミン
・ビタミンA(レチノール)、プロビタミンA(カロテン)
・ビタミンD
・ビタミンE
・ビタミンK
■水溶性ビタミン
・ビタミンB1、B2、B3、B4
・ビタミンC

6、水
乳幼児は体重あたりの水分必要量は成人の約二倍。
子供のおやつは水分の多いものにする

2、食事摂取基準
平成17年度から21年度までの5年間使用する「日本人の食事摂取基準

<食事摂取基準とは>
健康な個人や集団を対象として、国民の健康の保持・増進、エネルギー・栄養素欠乏症の予防、生活習慣病の予防、過剰摂取による健康障害の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものである。

<見直しのポイント>
増やすべき栄養素:食物繊維・n-3系脂肪酸・カルシウム・カリウム
減らすべき栄養素:コレステロール・ナトリウム(食塩)

■エネルギー
推定エネルギー必要量・・・沢山取りすぎるのはよくないという考えが元

■栄養素
○上限量・・・性別・年齢階級に属する全ての人が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量
○年齢区分・・・学校給食基準の整合性から6~8歳、9~11歳を6~7歳、8~9歳、10~11歳に変更した。
○特徴・・・10~11歳では女子が男子を上回る。
エネルギー必要量は母乳よりミルクの方が上回る。

3、献立作成と調理の基本
■三色食品群
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・卵・牛乳は完全栄養食品といわれる
・緑黄色野菜100g中にカロテン60mg

4、栄養状態の評価
・BMI値・・・体重(kg)/身長(m)2
18.5<BMI<25

第3章 妊娠・授乳期の食生活

1、妊娠経過と妊婦の食生活
・妊娠中は腎臓や血管系に負担がかかるので、その器官に関係の深い塩分摂取は一日10g以下に心がけ、甘みを抑え、酸味を利かせ、薬味・香草・香辛料などで工夫した薄味にする。
・アルコールは胎盤を通って胎児に移行する。多量に摂取した場合は低体重児や心身発達遅滞などのアルコール症候群の乳児が生まれてくる場合が有る。

2、妊娠中のトラブルの予防と食生活
■貧血
乳児は出生後3ヶ月は鉄の吸収が出来ないので、胎児期に母体から余分な鉄が吸収される必要が有る。
■肥満
非妊時においてBMI24、分娩前で28以上が肥満妊婦
妊娠中はホルモンの影響で便秘になりがちなので、繊維質の多い食品をとり、朝起きて冷たいものを飲んだり、一定時間にトイレに行くようにする。
■妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧が見られる場合、または高血圧に蛋白尿が見られる場合は妊娠高血圧症候群という。
■妊娠糖尿病
妊娠中にはじめて認識された耐糖機能低下症を妊娠糖尿病という。

3、母乳分泌と授乳期の栄養・食生活
脳下垂体前葉からプロラクチン(乳汁の生産を促進)、脳下垂体後葉からオキシトシン(射乳反射を促進)の働きが活発になって、乳汁分泌がはじまる

第4章 乳児期の栄養と食生活

1、乳汁栄養
■母乳
母親の乳房が化膿しているとき、次の子を妊娠した、伝染病、糖尿、腎臓病、心臓病のときは授乳を控える

○母乳と牛乳の比較
・カセイン・・・牛乳のほうが多い
・乳清たんぱく質・・・母乳のほうが多い

■混合栄養・人工栄養
母乳と同じく自律授乳が一般的。
保育所などで多人数分を一度に調乳し、殺菌後冷蔵庫に保管し、授乳時に適温にして飲ませる方法を終末殺菌法という

2、離乳の意義と離乳食の進め方
体重7キロほどになる生後五ヶ月ごろが目安
咀嚼はあごや舌の運動によって機能が高まる

■特殊ミルク
先天性代謝異常症には、たんぱく質・アミノ酸代謝異常・糖質代謝異常・有機酸代謝異常・電解質代謝異常・吸収障害などがあるが、対応する多種類のミルクがある

■フォローアップミルク
使用するのは9ヶ月以降がよい(離乳の栄養補給のため)

3、離乳の支援ガイド(保育所・保育士指針

1、授乳への支援(母乳育児への支援)
2、離乳支援のポイント
生後5~6ヶ月をめやすにする。舌の押し出し機能がなくなってから。
3、食事のめやす
・蜂蜜は、乳児がボツリヌス症予防のため1歳まで使わない

■離乳食の進め方
・生後5~6ヶ月・・・子供の様子を見ながら一日一回、ひとさじ。母乳は好きなだけ与える。卵は与えない。滑らかにすりつぶした状態
・7~8ヶ月・・・一日二回食で卵黄から全卵へ。舌で潰せる固さ
・9~11ヶ月・・・一日三回・・・歯茎でつぶせる固さ
・12~18ヶ月・・・歯茎で噛める固さ

第5章 幼児期の食生活

1、幼児期の心身の特徴と食生活

1、心身の発育
乳歯が上下約10本

2、咀嚼機能の発達
①あごの骨の発育を促し、虫歯の発生を予防する
②噛むことは、素材の味を味わうことであり、唾液の分泌を促す
③よく噛むことはゆっくりした食事になり、過食や肥満を防ぐ
④脳の血液量を増加させ、知的発達もよくなる

2、食生活の特徴と実践
■間食
1~2歳・・・・午前と午後の二回。栄養配分は15~20
3~5歳・・・・午後一回。栄養配分は10~15

3、間食の意義と実践
水分の多いものを与え、腹持ちのいいもの・脂肪の多いもの・高たんぱくな食品は避ける

4、栄養上の問題点と健康への対応
■代表的なアレルギー・・・アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎・喘息等気管支炎

第6章 学童期・思春期の食生活

1、学童期・思春期の心身の特徴
男子のホルモン・・・アンドロゲン
女子のホルモン・・・エストロゲンとプロゲステロン

1、身体的特性
第二次発育急進期は女子のほうが早く出現し、10~12歳では男子を上回る。
歯は上下で32本

2、学齢期・思春期の具体的な食生活

■神経性食欲不振症の診断基準
1、標準体重のー20%以上のやせ
2、体重や体系に対しての歪んだ認識
3、発症年齢:30歳以下
4、無月経
5、やせの原因となる器質的疾患がない

■神経性過食症の診断基準
1、無茶食いのエピソードの反復
2、むちゃ食いの間中、自己抑制できない
3、体重増加を防ぐために、嘔吐・下剤を使用する
4、三ヶ月間、平均一週間に二回のむちゃ食いのエピソード
5、体重や体型に関心がありすぎ

第7章 小児期の疾病・障害と食生活

1、障害児の食生活の実際
■糖尿病
・インシュリン依存型・・・インシュリンが体内で作れない
・インシュリン非依存型・・・過食が原因
食事療法の基本は適正なエネルギー量の摂取と栄養バランスが良い食事にすること。食品管理には「糖尿病食事療法のための食品交換表」を参考にする。
各食品の1単位(80cal)にあたる重量(g)で示す

第8章 児童福祉施設における食生活

1、給食の特性
施設で提供する全ての食品について、原材料及び調理済み食品を清潔な容器(ビニール袋)にいれ、-20℃で2週間保存する。

■保育所給食
①昼食は一日全体の1/3を目安、おやつは10~20%程度を目安にする
②延長保育のおやつは栄養所要量の10%程度。夕食は25~30%を目安にする
③乳児については、離乳のめやすに応じた配慮をする。調乳は終末殺菌法を用いる。

■保育所における食育に関する指針
平成16年3月出される。
・食べることは生きることの源であり、心と体の発達に密接に関している。
「食を営む力」の基礎を培う「食育」を実践していくことが重要である。

<食育の目標>
①お腹のすくリズムの持てる子供
②食べたいもの・好きなものが増える子供
③一緒に食べたい人がいる子供
④食事作り、準備に関わる子供
⑤食べ物を話題にする子供

<食育の実践>
計画・実施・評価のサイクルが実り有る食育実践につながっていく

プロフィール

Mikami Kako

Author:Mikami Kako

おことわり

保育士・図書館司書に関しては、旧システムによるものなので、現在のもの科目編成や内容にずれがあります。放大についても閉講科目が含まれます

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