第3章 児童福祉に関する法律

1、児童福祉法

1、法の概要
1、児童福祉保障の原理
2、定義
・児童など・・・児童・妊産婦・保護者及びそれらの定義
・里親
・児童福祉施設など
3、児童福祉審議会など
4、実施機関
5、児童福祉司及び児童委員
6、保育士
7、福祉の保障
8、事業及び施設
9、費用の負担についての規定・・・国・都道府県・市町村における費用負担の割合
10、雑則・・・大都市の特例、未認可施設への立ち入り調査・業務停止命令など
11、罰則

なお、児童福祉法を円滑に実施するために定められた3つの法令
1)児童福祉法施行令・・・福祉の保障のうち「医療・療育・保育・里親・児童福祉施設・保育士試験」についての実施基準を法令により定める
2)児童福祉法施行規則・・・児童福祉司・児童相談所・医療・療育・児童福祉施設・保育脂溶性施設・保育士試験の実施要綱を厚生労働省令で定める
3)児童福祉施設最低基準・・・施設の基準・職員・療育・養護・保育の内容・保護者・関係機関との連絡について最低基準を示す

2、1997年(平成9年)の改正
■名称変更
・母子寮→母子生活支援施設
・養護施設→児童養護施設
・教護院→児童自立支援施設
■新設
・児童家庭支援センター
■廃止
・虚弱児施設

■保育所の入所が措置から選択へ
市町村の措置により保育所の入所が決定されていたが、保護者の希望を反映する、利用選択が可能となる。
■保育量が応能負担から応益負担へ
保護者の収入に応じて保育料が決定されるシステムから、同じ保育サービスを受けた場合、同じ保育料を負担するシステムに転換する
■放課後児童健全育成事業
■児童自立支援施設の入所対象
不良行為をなし、またなす恐れの有る児童に加え、家庭環境その他の環境上の理由により生活指導を要する児童にも拡大される
■子育て支援
・保育所における子育て相談の実施
・児童相談所の機能強化
・児童家庭支援センターの創設
■母子生活支援施設
自立の促進・雇用の促進を図る

3、2001年(平成13年)の改正
■保育士資格の国家資格化
任用資格(資格を保持するだけでは資格として認められず、職務に採用されてはじめて資格として生かされるもの)から国家資格に移行し、名称独占資格(保育士の資格を持たないものは保育士を名乗れない)に改められる。

4、2004年(平成16年)の改正
■乳児院および児童養護施設の入所年齢の見直し
状況に応じて乳児院に児童も、また児童養護施設に乳児も入所できるようになる
■児童福祉施設および児童自立生活援助事業の業務内容の追加
■里親の権限の明確化
■保護受託制度の廃止
義務教育が終了した要保護児童を自宅に預かり、または自分の所に通わせて保護する制度が廃止された
■児童福祉に関する体制の充実
■要保護児童に対する家庭裁判所の関与の見直し
■小児慢性特定疾患治療研究事業の法定化

2、児童福祉六法(児童福祉法以外の児童福祉六法と呼ばれる法律)

1、児童手当法
児童を養育しているものに児童手当を支給することにより、家庭における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健全な育成及び資質の向上に資すること(所得制限あり)
三歳~小学校6年生まで

2、児童扶養手当法
父と生計を同じくしていない児童が養育されるか艇の生活の安定と自立の促進に寄与することを目的とする
■支給条件
・父母が婚姻を解消した児童
・父が死亡した児童
・父が政令で定める程度の障害の状態にある児童
・父の生死が明らかでない児童
・その他支給条件に準ずる児童
この場合の児童は「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるもの、または20歳未満で法令で定める程度の障害の状態に有るもの
三分の一を国、三分の二を都道府県が負担

3、特別児童扶養手当等の支給に関する法律
■特別児童扶養手当・・・20歳未満の障害児の父もしくは母がその障害児を監護するとき、または父母以外のものが養育するとき、特別児童扶養手当を支給する
■障害児福祉手当・・・十度障害児に対する手当て
■特別障害児手当・・・特別障害者(20歳以上で重度の障害状態にあり、常時特別の介護を必要とするもの

4、母子及び寡婦福祉法
■母子福祉資金の貸付
■売店などの設置の許可
■公営住宅の供給に関する特別の配慮
■保育所の入所に関する特別の配慮
■雇用の促進

5、母子保健法
一歳六ヶ月健康診断の法制化

3、その他の法律(児童福祉六法以外の児童福祉に関わる法律)
1、生活保護法・・低所得者に分娩費・出産手当金・育児手当金
2、児童買春、児童ポルノに係る行為などの処罰及び児童の保護などに関する法律(児童買春禁止法)
3、配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律(配偶者暴力防止法)
スポンサーサイト



第2章 児童福祉の対象と現代的課題

1、児童福祉の対象

1、児童福祉の対象
・乳児・・・満1歳に満たないもの
・幼児・・・満1歳から小学校就学の始期に達するまでのもの
・児童・・・小学校就学の始期から満18歳に達するまでのもの
<注意>
母子寡婦福祉法では満20歳に満たないものを児童とし、少年法では20歳に満たないものを少年とし、民法では満20歳に満たないものを未成年という。

2、児童福祉の対象としての妊産婦
妊娠中または出産後1年以内の女子

3、児童福祉の対象としての子供の種類
・家庭内環境に問題を抱える子供
・心身の機能障害を抱える子供
・情緒・行動上の問題を抱える子供

2、現代の子供を取り巻く環境

1、社会環境の変化
1)都市型・過疎化の進行
1960年代以降の高度経済成長期に産業の中心が第1次産業(農・林・漁業)から第二次産業(製造・工業)に、そして第三次産業(サービス業)に移行するのに伴い、都市への人口流出は各地に過疎地域の増加をもたらした。都市・村落両方の地域において、子供の遊び仲間は減りつつあり、仲間集団が形成しにくくなっている。

2)出生率の低下(原因)
・晩婚化・晩産化
・未婚・非婚の割合が増えている
・子育ては経済的・精神的・肉体的な負担が大きい
・仕事との両立が困難である
そのため政府は2003年(平成5年)少子化対策基本法を制定した。

2、地域環境の変化
子供の健全な成長にとって障害となる地域の問題
■物質面・・・大気汚染・水質汚濁などの公害、交通事故、子供が安全に遊べるところが少ない
■社会面・・・大人同士の交流が少なくなり、子育ての情報交換をする場が少ないので、一人で悩む親が増えている→大人が交流しないので子供も付き合いがなくなる
■文化面・・・伝統的な遊びがすたれてきている。地域の子供と触れ合う機会が減少し、戸外での集団遊びより少人数でゲームなどをする室内遊びが主流になりつつある

3、家庭環境の変化
1)育児・子育ての不安
核家族化により、個人のプライバシーが尊重されるようになった一方で、親しい隣人や相談相手を得られずに心理的に孤立し、子育てに不安を感じている親が増えている。
また、伝統的な価値観が廃れていく中で、子供に関する従来の範疇が揺らぎ、混乱に陥っている親も多くなっている

2)仕事を持つ母親の増加

4、家庭の養育能力の低下
保育所に子育て支援センターとしての機能を持たせ、家庭での子育てを側面から支援する取り組みがはじまった

5、児童虐待への対応
児童虐待の防止等に関する法律「児童虐待防止法」
■児童の虐待を
・身体的暴行
・わいせつな行為
・食事を与えない・長時間の放置その他監護を著しく怠ること
・著しい心理的外傷を与える言動
と定義。
■児童の福祉に職務上関係の有るものは、早期発見に努めなければならない。発見した場合は通告義務が生じる
■児童相談所長また施設長は一時保護がとられた場合、親の面会や通信の制限を行うことが出来る
■都道府県知事は虐待の恐れのある場合は、児童委員または児童関係職員を住居に立ち入り調査させることが出来る
■立ち入り調査を行えるものは、職務上必要であれば警察署長の援助を求めることが出来る

第1章 子供観と児童福祉の歩み

1、子供観の変遷

1、児童憲章における子供観
「児童憲章」(1951年)
児童は、人として尊ばれる
児童は、社会の一員として重んぜられる
児童は、よい環境の中で育てられる


2、ヨーロッパにおける子供観の変遷
・中世まで・・・親や社会の所有物としての子供
・近代社会・・・子供が子供らしい状態に有ることが望ましい
・現代社会・・・権利の主体としての子供

2、日本の児童福祉の歩み

1、古代から近世までの児童救済
593年、聖徳太子が天王寺に孤児・棄児の保護施設「悲田院」を開設

2、近代における児童救済
明治時代の富国強兵政策の元、1871年(明治4年)「棄児養育米給与方」を施行、1874年(明治7年)「じゃっきゅう規則」(身寄りがなく高齢・疾病・障害などで仕事に就けない極貧の人々に米を支給する制度)あくまで援助は家庭内および近隣や共同体による相互扶助が基本

・1887年、石井十次・・・岡山孤児院
・1891年 石井亮一・・・滝乃川学園(知的障害児施設)
・1899年 留岡幸助・・・家庭学校(のちの児童自立支援施設)
高木憲次・・・身体に欠陥があるのではなく、身体が不自由なだけであると提唱

3、大正のデモクラシーと昭和大恐慌時代の児童救済
1929年(昭和4年)「じゃっきゅう規則」に代わる公的扶助法である「救護法」を制定し、1932年(昭和7年)施行
・困窮妊産婦に分娩の前後4週間、生活・医療・助産・生活扶助を与える
・13歳以下の困窮児童に生活・医療扶助を与える
・保育場必要ありと認められる1歳未満の乳児を持つ困窮する母子に対して母子救護を行う

4、児童保護対策から戦後の児童福祉へ
1946年 日本国憲法公布
1947年 児童福祉法・・・従来の「少年救護法」「児童虐待防止法」を吸収してひとつにまとめた
1985年 児童福祉法改正・・・高度経済成長の流れを受ける
1997年 児童福祉法改正・・・施設福祉から在宅福祉への転換を柱とする

3、児童福祉の理念
■日本国憲法 第25条
すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する
国は、全ての生活部面において、社会福祉・社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努められなければならない

1、児童福祉法による児童福祉の理念
■第1条
全ての国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、かつ、育成されるよう努めなければならない
全ての児童はは、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない
■第2条
国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う
■第3条
前二条に規定するところは、児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施行に当たって、常に尊重されなければならない

2、その他の児童福祉の理念

1)児童憲章 1951年5月5日
われらは、日本国憲法の精神に従い、児童に対する正しい観念を確立し、全ての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める
児童は、人として尊ばれる
児童は、社会の一員として重んじられる
児童は、よい環境のなかで育てられる

2)児童権利宣言 1959年 国連採択
人類は児童に対し、最善のものを与える義務を負う(前文)

3)児童の権利に関する条約 1989年 国連採択
子供の権利の包括的保障を実現するために

第17章 その他の援助方法

1、多様化する援助方法

1、ネットワーク
問題を抱える個人や家庭に対し、地域住民・福祉機関の支援者・福祉サービスを提供する実務担当者などが組み立てる援助関係網のこと
■例・・・保育園で育児相談に来た保護者に対して、園側が対処出来ない事項が発生した場合などに、関係機関と連携し継続的に援助したりする

2、ケアマネジメント
クライアントの視点に立って、クライエント自身や家族が持つニーズと社会資源を結びつける社会福祉援助技術

<過程>
1)入り口(エントリー)・・・相談業務などによって、ケアマネジメントを必要とするクライエントを発見し、援助について説明し、了解を取る
2)アセスメント・・・情報収集をし、全体から運営分析する
3)ケース目標の設定とケアプランの作成・・・充分な説明と同意(インフォームド・コンエント)及び、説明とクライエントによる選択(インフォームド・チョイス)が大切である
4)ケアプランの実施
5)モニタリング・・・提供したサービスがクライエントのニーズにあっているか、新しいニーズは発生していないかを見る
6)再アセスメント・・・新たな問題点を発見した場合は再させ素面とを行う

3、スーパービジョンとコンサルテーション
■スーパービジョン・・・熟練した援助専門家であるスーパーバイザーが、経験の浅いワーカー(スーパーバイジー)に対し「管理的機能」(ワーカーが組織の一員となって適切な仕事が出来る環境を整えること)「教育的機能」(ワーカーが職務を追行するために必要な知識や技術を提供すること)「支持的機能」(ワーカーを精神的に支える)「評価的機能」(ワーカーの成長を効果的に援助する)がある

■コンサルテーション・・・ワーカーが、クライエントに援助をするにあたり、その領域の専門家である医師や臨床心理士、弁護士などの関連機関などに意見や情報を求めること

4、カウンセリング
臨床心理学などを学んだ専門家により行われる心理的問題を中心とした援助を言う。
■カウンセリング・・・社会生活を目標に援助を行う
■心理療法・・・精神病理に焦点を当てて援助を行う

第16章 コミュニティワーク(地域福祉援助技術)

1、コミュニティワークの概念
地域における様々な福祉ニーズを把握し、社会資源を活用しながら、地域が抱えている問題の解決を図ります。

2、コミュニティワークの展開過程

1)ニーズの把握
アンケート調査や座談会などにより、地域の問題や住民ニーズは何なのか、住民の意識はどのようなのかを把握する
2)計画の策定
・目標
・事業内容
・方法と期間
・予算の確定
・広報手段を住民とともに計画する
3)計画の実施
ソーシャルアクション(社会活動法)を起こし、地域の議会や行政に働きかけを行い、援助に関係する組織や支援体制を整えてもらう「ソーシャルインターグループワーク」(集団間調性)を行う
4)評価の基準
・タスクゴール(ニーズ充足の目標)・・・地域の福祉問題がどれぐらい解決したか、ニーズに対する社会資源の提供はどうだったか
・プロセスゴール(住民意識統合の目標)・・・地域住民の関心や理解度
・リレーションシップゴール(権力構造改革の目標)・・・地域社会に福祉サービスを供給している主体への要求の度合いなどを総合して考察する

近年の事例では、大学生ボランティアがグループを結成し、地域の不登校や引きこもりの児童の家庭を訪問するという「メンタルフレンド活動」などがある

第15章 グループワーク

1、グループワークの意義
グループワークとは、集団を構成している個人および個人が属している集団内の人間関係を通して、意図的に働きかけることにより援助を行う技術です。
保育所や幼稚園などでは、日常の保育そのものが個人指導であり、同時に集団保育となります。

2、グループワークの定義と理論

1、グループワークの定義
■コノブカの定義
グループワークとは、社会事業の一つの方法であり、意図的なグループ経験を通じて個人の社会的に機能する力を高め、また、個人・集団・地域社会の諸問題に、より効果的に対処しうるよう、人々を援助すること。と定義している。
グループワークは、集団が持つ「個々が相互に影響を与えて治療効果を生む」という機能を生かした援助技術のひとつと言える。

■トレッカーの定義
ソーシャルグループワークは、社会事業の一つの方法であり、それを通じて地域社会の各種の団体の場にある多くのグループに属する各人が、グループ活動の中で、彼らの相互作用を導くワーカーにより助けられ、彼らのニーズと能力に応じて他の人々と結びつき成長の機会を経験するものであり、その目指すところは、各人、グループおよび地域社会の成長と発達に有る

2、グループワークにおける理論
1930年、アメリカのメイヨーらによるホーソン工場実験により、人間関係の重要性が再認識される。
1940年、レヴィンがメンバー間やグループとメンバー間の相互作用による様々な動きを理論化した集団力学(グループダイナミクス)理論を展開し、モレノがグループの心理的構造に関する測定法ソシオメトリー(社会測定法。体系化された集団構造の測定、解析法)の理論を展開する。
1960年、アメリカのシュワルツが相互作用モデル(媒介モデル。グループとメンバーの媒介者としてグループワーカーを位置づけ、ワーカーが双方に働きかけることにより、両者の相互作用関係を促進させる)の理論を展開させる。

3、グループワークの基本原則
■個別化の原則・・・グループは様々な個性を持っている個人であるからこそ、集団という相互化用の中で成長や発達を図ることが出来る。このことを念頭に、援助者は個々に応じた働きをしなければならない。
■受容の原則・・・各個人の長所・短所を純粋に受け入れる
■援助者による意図的な介入と奨励の原則・・・グループワーカーとグループメンバーとの間に、意図的な関係を樹立し、グループ過程に必要な変更を加えることは必要である。また、よりよい協力関係が出来るように奨励することが大切である
■参加の原則・・・メンバー各自の能力段階に応じて、問題解決の過程に参加することが出来るように援助していく
■体験の原則・・・人間関係を持つこと・ものごとを成就することなど多くの新しい経験をメンバーに与える
■葛藤解決の原則・・・メンバーが、葛藤を解決するためのより良い方法を経験できるように援助する
■継続評価の原則・・・継続して評価を行う

4、グループワークの過程
1、準備期・・・メンバーのプロフィール作成・問題の把握・仮目標の設定・作成・記録準備
2、開始期・・・メンバーに個別に働きかけ、グループが動き始めるのを助成する
3、作業期・・・グループやメンバーが、目標達成のために活動する段階で、ワーカーはそれを側面から援助する
4、終結・移行期・・・目標が達成された終了期、または効果が期待できない場合、その援助は終結となる。必要な場合はアフターケアについてもふれておく。

第14章 ケースワーク

1、ケースワークの必要性
近年、育児に不安を持つ母親が増加したことから、子供の保育だけでなく、育児に自信のない保護者に対して、保育者は「子供の福祉」という立場からケースワーク(個別援助)やカウンセリング的技法を実践するよう強く求められている。

2、ケースワークとはなにか

1、ケースワークの意義
「解決しなければ鳴らない問題を持つ個人や家族に対し、その問題が解決するように働きかけ、支援すること及びその過程」を意味している

2、ケースワークの定義
■リッチモンドの定義
ケースワークとは、人とその社会環境との間を個々に応じて意識的に調整することによって、その人のパーソナチティの発展を図ろうとする諸過程からなる→現在、古典的定義(原則)として尊重されている

■パールマンの定義
ケースワークは人々が社会的に機能する際に起こる問題を、より効果的に解決できるよう援助するために福祉機関によって用いられる過程である。→クライエントを社会の中で生きる存在と認識し、ケースワークを社会福祉機関の機関と捉えた

■パワーズの定義
ケースワークは、クライエントとその環境の全体または一部との間に、よりよい適応をもたらすのに役立つような、個人の内的力、及び社会の資源を動員するために、人間関係についての科学的知識および対人関係における熟練した技能を活用する芸術(アート)である

3、ケースワーカーの基本的態度
■バイステックの7原則
1)個別化
クライエントが抱える問題は表面的に同じように見えてもそれぞれ個別の特性を持っている。そうした特性を理解し、個別に援助する必要が有る
2)意図的な感情表出
クライエントが内に秘めた固定的な感情を自由に表出できるように配慮する
3)統制された情緒的関与
クライエントの発する感情の意味を、ケースワーカーは冷静に正しく理解しなければならない。そのためにケースワーカー自身が自分の個人的・情緒的感情を理性的に統制し、適切に対処する必要が有る。
4)受容
クライエントの態度や考え方をありのまま受け入れ、クライエントの立場に立って理解する必要がある。善悪の倫理的評価を超えてクライエントの感情を無条件で受け入れることである。
5)非審判的態度
ケースワーカーが自分の価値観や倫理的判断によって、クライエントを一方的に批判したり評価したりしてはいけない。
6)クライエントの自己決定
ワーカー自身の価値観や解決方法をクライエントに押付けては鳴らない。クライエント自身が、自らの意思で決定し、実行していくことが望ましい。
7)秘密保持

4、ケースワークの構成要素
■パールマンの4つのP
人(person)・・・ケースワークの支援の対象者
問題(problem)
場所(place)・・・福祉サービスを提供する公立・私立の福祉機関や社会福祉施設などの援助機関
過程(process)・・・クライエントとの信頼関係(ラポール)の上に成り立つ専門的な援助の過程

5、ケースワークの展開過程
■インテーク・・・相談に入る前の導入過程。クライエントの話によく耳を傾ける(傾聴)ことで問題を把握する
■情報収集・・・クライエント自身や家庭、周りの環境に着目し問題を理解する
■アセスメント・再アセスメント・・・援助を始めるに当たり、事前評価が必要となる。本当に解決しなければならない問題はクライエントが訴える問題とは異なる場合が有る。何が原因なのかを見極めるためにも援助すべき問題を選定するための事前評価・評価分析を行う必要が有る
■計画(プランニング)・・・計画を立てるときにはクライエントを同席させ、インフォームド・コンセント(クライエントに行おうとしている行為等に充分な説明をし、同意を得ること)が重要となる
■介入(インターベーション)
・直接的介入・・・クライエントに対して、直接的に援助を行う
・間接的介入・・・クライエントを取り巻く環境を調性するため、さまざまな施設と連絡を図ったり、援助する資源を開発する
■効果測定(モニタリング)・事後評価(エバリュエーション)・・・進めてきた援助過程が目標を達しているかどうかを見極めて、達成した場合は終結する。達成していない場合は再アセスメントを行う
■終結(クローズド)・・・最終段階では、クライエントの自己決定の結果として目標を達成し、終結することが望ましい。

第13章 社会福祉援助技術(ソーシャルワーク)

1、社会福祉援助技術の成立過程

1、社会福祉援助技術とは
社会福祉援助技術(ソーシャルワーク)とは、言い換えれば、社会福祉の方法論や社会福祉の実践方法としての専門技術ということが出来る。このような専門化・技術化したソーシャルワークに従事する人々をケースワーカーと言う。

2、ソーシャルワークの基礎の確立
1869年 ロンドンに事前組織協会が設立。友愛訪問員(ボランティアで貧困家庭を訪問し、道徳的指導や家庭調査を行う)が活動をはじめる→ソーシャルワークの成立。その専門知識と技術はアメリカにおいてリッチモンドにより体系化され、個別援助技術(ケースワーク)が生まれた。その後、アミルトン、ランク、ホリスなどによって社会福祉の方法論が発展した。

2、ソーシャルワークの発展
スラム街に知識人や人格を備えた人が住み、貧困者とともに生活し福祉の向上を図るセツルメント運動がイギリスで始まり、アメリカに広まる。

1884年 ロンドンにおいてセツルメントハウス(隣保館)設立
1889年 アダムスがシカゴにハル・ハウスを建て、グループ活動を行い、児童や地域住民の健全生活に寄与
1935年 1935年 ニューステッターによる集団援助技術(グループワーク)が定義され、ソーシャルワークのひとつとして確立する
その後、地域社会全体のニーズを住民参加という形で解決する必要があると認識し、地域援助技術(コミュニティワーク)の体系が確立する

■社会福祉事業の三つの基本的方法
・ケースワーク
・グループワーク
・コミュニティワーク

1、ソーシャルワークの基本事項
ソーシャルワーカーとクライエントの信頼関係(ラポール)が重要

2、ソーシャルワーカーの仕事の本質
クライエントのワーカビリティ(問題解決能力)を引き出し、クライエントが自ら問題解決できるように多方面な援助を行う。

2、社会福祉援助技術の体系
■直接的援助技術
ケースワーク
グループワーク
■間接援助技術
コミュニティワーク
社会福祉調査法(ソーシャルワークリサーチ)
社会福祉運営管理(ソーシャルアドミニストレーション)
社会活動法(ソーシャルアクション)
社会福祉計画法(ソーシャルプランニング)
■関連援助技術
ネットワーク
ケアマネジメント
スーパービジョン
カウンセリング
コンサルテーション

第12章 社会福祉における保育者の意義

1、社会福祉援助の特徴と倫理の必要性

1、利用者が社会の中で生活する権利を具体的に保障し、擁護する事(権利保障・権利擁護)
2、利用者の主張・選択・決定を無視して利用者の私的領域に踏み込めば、人権侵害の危険性を持つ

■専門職が守るべき倫理
・利用者の利益を最優先し、権利侵害の恐れの有るときや侵害された場合には、利用者の立場に立って祖の権利を代弁し守る(権利擁護)
・秘密を厳守する(秘密保持)
・専門職の撮るべき倫理や態度に照らして、自身の態度や実践を点検(自己覚知)し、よりよくなるように努めること(自己研鑽)

2、社会福祉専門職に求められる資質

1、福祉の専門家に必要な基本的要素
温かな心(heart)・利用者の置かれている問題状況や必要なニーズを生活全体から客観的・冷静に判断する知性(head)と柔軟に問題解決に取り組む技能(heard)の3hが必要である。

2、専門性
・子供から信頼され、問題をともに考えたり解決しようとする姿勢がある。
・子供の権利を、子供の立場にたって守ろうとする姿勢が有る
・子ども自身の身体的・精神的・社会的状況を、子供の立場に立って把握できる。また、家庭の中の子供という視点から出来るだけ家庭を含めた援助・調整が出来る。
・施設や機関の中で、利用者に最大限のサービス内容を保障できる
・職員同士については当然のことながら、地域の様々な機関や他職種とのチームワークを連携し、協力関係を形成する努力が出来る
・できるだけの専門知識を持ち、さらに深く習得しようと努めている
・常に自分自身を客観的に理解し、自己を見つめ、反省できる

第11章 社会福祉従事者

1、社会福祉専門職と主な業務

1、社会福祉従事者の資格制度
■社会福祉主事
社会福祉法によって規定されているが、国家資格ではなく任用資格(公務員などで採用され実際に業務につくこと)である。福祉事務所において、面接や家庭訪問を行い、必要な援助や措置を行う。
■社会福祉士
社会福祉士及び介護福祉士法に基づく国家資格。福祉事務所・障害者更正相談所・児童相談所において、福祉に関する相談に応じ、助言や指導の援助を行う
■介護福祉士
社会福祉士及び介護福祉士に基づく国家資格。介護老人福祉施設や介護老人保健施設、身体障害者施設において、高齢者や障害者に食事・排泄・入浴などの介護を行ったり、在宅で介護を行うものに対しての介護指導をしたり、訪問介護を行う。
■精神保健福祉士
精神保健福祉法に規定される国家資格。福祉系大学で単位を取得する方法もある。精神化病院または精神障害者が社会復帰を図る施設で精神科医や臨床心理士などと連携し、精神障害者の相談に応じ、助言、指導を行う。
■保育士
保育士試験で資格を取得したり、大学で指定科目を取得したもの。保育所・児童養護施設・知的障害者施設・肢体不自由児施設などの児童福祉施設において児童の保育に従事。
■介護支援専門員(ケアマネージャー)
介護保険法で制度化された資格。実務経験や資格試験に合格したのち研修を受けて資格を取得する。制度の柱である介護支援サービス(ケアマネジメント)を行う専門職。市町村や保健・医療・福祉関連の施設、介護サービスを提供する企業などにおいて、ケアプランの作成や関係機関との連絡・調整を行う。
■訪問介護員(ホームヘルパー)
1~3級の介護員要請研修を終了すれば資格認定される。高齢者や障害者の自宅を訪問し生活の援助・生活上の相談に応じる

2、社会福祉従事者
1、行政職
■現業員(ケースワーカー)
福祉事務所で生活保護の面接・指導・助言を行う
■査察指導員
福祉事務所において、生活保護事務の指揮監督・関係機関との連絡調整を行う
■老人福祉指導主事
福祉事務所において老人福祉に関する実情把握に努め、相談に応じ、必要ならば調査・指導を行う
■児童福祉司
児童相談所で担当地区の児童の保護や児童福祉に関する相談・助言を行う
■家庭相談員
福祉事務所に設置されている家庭児童相談室において、家庭児童福祉に関わる相談・指導業務を行う
■母子自立支援員
福祉事務所で母子・寡婦家庭の生活全般の相談に応じ、自立のための指導を行う。貸付けなどの経済面及び就職・生業・住宅などの家庭全般の相談を行う
■婦人相談員
婦人相談所及び福祉事務所に配置される相談員。女性の抱えるさまざまな問題の相談に応じる。
■身体障害者福祉司
身体障害者更正相談所、または福祉事務所に配置される。身体障害者の援護に対する市町村への連絡調整・情報提供・その他の援助及び専門的技術が必要な業務を行う。
■知的障害者福祉司
知的障害者公正相談所または福祉事務所に置かれる。知的障害者の援護に対する市町村への連絡調整・情報提供・その他の援助及び専門技術が必要な業務を行う
■精神保健福祉相談員
精神保健福祉センターや保健所といった公的機関に配置され、精神障害者の福祉に関する相談に応じ、訪問指導を行う

2、施設等職員
■児童福祉施設の職員
・児童自立支援専門員
児童自立支援施設で、生活指導・学科指導・職業指導などにより入所児童の自立支援を行う
・児童生活支援員
児童自立支援施設で、入所児童の生活支援を行う
・児童指導員
児童養護施設などの職員。児童の生活指導・会議運営・施設内外の連絡調整・児童のケースワークやグループワーク・家庭援助などが主な業務。保育士と協力して児童の日常生活ケアも行う
・児童の遊びを指導するもの
児童館や児童遊園などの児童厚生施設で音楽・絵画・劇など児童の情操を高める遊びを指導する業務を行う
・母子指導員
母子生活支援施設で母子の生活支援を行う

3、その他の職員
・生活指導員・生活相談員・生活支援員
成人の福祉施設に配置され、生活全般にわたって利用者の相談に応じ、助言・指導を行う。生活支援・心理的サポート・家族関係の調整など
・介護職員(寮母・寮父)
利用者の日常生活の解除を中心に、行事の企画やサークル活動の援助を行う
・医療ソーシャルワーカー
患者やその家族の経済的・心理的・社会的問題の相談に応じ、必要な助言や援助を行う。患者会・家族会などの指導育成・ボランテイアの育成なども行う
・精神科ソーシャルワーカー
精神障害者の問題に対して相談に応じる
・福祉活動専門員
市町村社会福祉協議会に属し、市町村内の民間社会福祉活動の調査・企画・連絡調整・広報・その他実践活動を推進する
・福祉活動指導員
都道府県の民間社会福祉活動の推進方策についての調査研究・企画立案・広報・指導を行う。
・地域福祉権利譲護事業専門員
地域福祉権利譲護事業に関する相談・調査・契約の締結・支援計画の作成などを行う。
・地域福祉権利譲護事業における生活支援員
判断能力が不十分な認知症高齢者・知的障害者・精神障害者に対して、福祉サービスの利用などの援助と日常的金銭管理を行い、権利譲護の直接的援助を行う

2、行政協力員と主な業務

■民生委員・児童委員
民生委員は委託されることにより児童委員を兼任する。地域住民の生活問題を把握するとともに、相談に応じ、その自立を援助する。心配事相談所の相談員や福祉事務所の協力機関として、また生活福祉資金貸付制度の相談窓口となる。地域において児童・妊産婦・ひとり親家庭などの福祉に関する相談援助を行う
■身体障害者相談員
身体障害者の相談に載り、更正のために必要な援助を行うとともに、身体障害者の社会参加を行政・団体と協力して行う。原則として身体障害者が相談員となる。
■知的障害者相談員
原則として知的障害者の保護者が任に当たる。生活上の相談や施設入所・就学・就職などに関わる関係機関への連絡のほか、行政などとの連絡役や地域住民への啓発を行う
■里親
養育里親・・・一般的
短期里親・・・一年以内の期限で要保護児童を養育する
親族里親・・・要保護児童の三親等以内の親族が里親になる
専門里親・・・養育里親を3年以上の経験を有し、虐待など心身に有害な影響を受けた要保護児童を二年以内の期限で養育する
■職親
障害者の自立と社会参加に理解の有る事業経営者などの民間人が認定を受け、知的障害者あるいは精神障害者を一定期間受け入れ、技能訓練や生活指導を行う

■第10章 社会福祉の動向

1、社会福祉の新たな展開

1、社会福祉基本構造改革

1)改正の対象となった法律
・社会福祉事業法・・・改正及び「社会福祉法」に改称
・身体障害者福祉法・知的障害者福祉法・児童福祉法・民生委員法・社会福祉設備職員等退職手当弁済法・生活保護法・・・一部改正
・公益質屋法・・・廃止

2)利用者優先の社会福祉制度の構築
■福祉サービスの契約制度化
行政がサービスを決定して事業者に委託していた仕組み(措置制度)とは異なり、障害者の自己決定を尊重し、障害者自らサービスを選択して事業者と対等な契約を交わし、サービスを利用する仕組み(契約制度)に移行する。
利用者負担は、上限を定めたうえで原則、サービスにかかった費用の一割である。

■利用者保護のための制度の創設
・成年後見人制度の補完
・苦情解決の仕組みの導入
・サービスの質の向上

■社会福祉事業の充実・活性化
ニーズの多様化に対応するため、社会福祉事業の範囲の拡充を行う。社会福祉法人の設立要件の緩和、会計区分や収益事業の導入など

■地域福祉の推進
市町村が地域福祉計画を策定することと、都道府県が地域福祉支援計画を策定することが規定された。
共同募金は配分委員会の設置が義務づけられ、「過半数配分の原則」は廃止される。
民生委員・児童委員の職務内容を明確にし、活動の活性化を図る

2、社会福祉活動の動向

1、少子高齢化社会への対応

2、高齢社会への対応
・地域支援事業・・・高齢者が自立した生活を維持できるように、高齢者の個性や尊厳を保持することが重要である。介護が必要となる状態にならないような在宅生活を続けるために、総合的な保健福祉の向上を図ることを目的とする。
・リバースモーゲージ制度・・・実物資産(住宅・土地資産)を老後の生活費確保のために所得に転換すること
しかし、身体的な介護や所得に対する施策のみでは充分とはいえない。社会参加や生涯学習が出来る環境が整備され、さらに補充される必要が有る。

3、地域福祉の推進
・市町村地域福祉計画
・都道府県地域福祉支援計画

4、住民参加活動の推進
在宅福祉を勧めるためには、行政によるサービスだけではなく、委託された民間事業者の法に規定されたサービスのほか、民間非営利法人(NPO)などのサービスが必要である。

5、海外の社会福祉
・スゥエーデン・・・ナーシングホーム(八日以後高齢者のための中・長期型滞在施設)の顕現を国から市町村に委譲
・イギリス・・・サービスの民営化に結びつき、法律を制定
・ドイツ・・・介護保険制度の導入(わが国の手本となる)
・アメリカ・・・高齢者包括的ケア・プログラムを導入し、地域で包括的なサービスを高齢者が提供される体制の整備が図られる

第9章 社会福祉の財政

1、国の社会福祉財政
国と地方公共団体による分費負担が原則
・公的扶助
・各種の社会福祉関係法に基づく保健サービス
・特定医療サービスの給付
・公私の通所・入所施設による各種サービス

<社会保障関係費に関して>
・生活保護費
・社会福祉費
・生活保健費
・保健衛生対策費
・失業対策費

<社会福祉費に関して>
・社会福祉諸費
・児童保護費
・児童扶養手当給付諸費
・母子福祉費
・婦人保健費
・身体障害者保護費
・特別児童扶養手当給付諸費
・老人福祉費
・国立構成援護諸費

現況は児童福祉費に見る保育所などの児童福祉施設の運営費の割合が非常に高く、老人医療人老人ホーム運営費がほとんどを占めている。財政面では施設県警人医療費が多くを占めている。

2、地方公共団体の社会福祉行政
行政のしくみは地方自治法で定められているが、内容は国の財政機構と同じ。
地方財政の大きな割合を占めているのが民生費である。内訳は「社会福祉費」「老人福祉費」「児童福祉費」「生活保護費」「災害援助費」である。

3、国と地方公共団体の負担区分
1985年見直しがされ、国の負担が若干減らされているが、国が運営する施設や国が責任を持つ援護事業などは国の全負担である。

4、民間社会福祉事業の財政
■委託金
民間に出される国や地方公共団体からの費用。
多くはこれで大部分の費用が賄われているが、充分でない場合は自己資金を充当するか、寄付金を集めることが必要になる。

■共同募金
各都道府県の共同募金会が主体となり、目標額や受配者の範囲、配分先について都道府県社会福祉協議会の意見を聞き、配分員会の承認を得て告知する必要が有る。
以前は募金された寄付金を原則として区域内の社会福祉事業等に配分しなければならない規定があったが、2000年、社会福祉事業法から社会福祉法への改正で、この原則は削除された。
また、配分を公平にするため配分員会の設置が義務付けられた。

3、社会福祉事業のための融資機関
社会福祉機関や医療機関、社会福祉事業に対する低利の融資を行う

第8章 社会保障

1、社会保障とは何か
■定義
・病気や怪我・出産・老齢・障害・失業などの生活上困窮を引き起こしかねない事態に対して、社会保険や社会扶助を用いた経済保障で対応すること
・現に生活に困窮しているものに対しては、生活保護制度により最低限度の生活を保障すること。
・公衆衛生や社会福祉の向上を図ること

つまり社会保障とは、国民の生存権の下に国民が健康で安定した社会を送れるよう、公的責任において生活を支える給付を行うことを言う。

1、わが国の社会保障

■健康・医療保障(医療保険・老人保健・母子保健など)
・健康保険(政府管掌)・・・中小企業に勤務する人とその家族
・健康保険(組合管掌)・・・大企業に勤務する人とその家族
・船員保険・・・船員とその家族
・共済組合・・・公務員・私立学校教職員とその家族
・国民健康保険・・・自営業者とその家族
・老人保健・・・75歳以上、もしくは65歳以上で一定の障害のあると市町村長が認めた人

<しくみ>
被保険者(保険を支払うものとその家族)・保険者(納付された保険料を預かり管理運営する団体)・医療機関の三者で構成される。窓口でかかった医療費の一部を支払い、残りは保険者が医療機関に支払う。この場合、被保険者には現金ではなく医療行為が給付されるため「療養の給付」ともいう。
ただし傷病手当金・出産手当金・出産育児一時金・埋葬費(健康保険・船員保険・共済組合のみ)
葬祭費・出産育児手当金(国民健康保険のみ)は現金で支給される。

■社会福祉等(児童福祉・障害者福祉・老人福祉)
・保育所・児童健全育成事業・児童扶養手当など児童福祉に関する施策
・障害者保健福祉では障害福祉サービス・特別障害者手当てなどの施策
・老人福祉では居宅サービス・施設サービスなどの施策

■所得保障(年金制度・生活保護)
老齢年金・・恒例になった際に給付
遺族年金・・老齢年金の受給資格者が死亡した場合遺族に給付
障害年金・・被保険者が障害になった場合に給付
生活保護・・疾病等の理由で労働が困難な場合に最低限度の生活を保障する

20歳以上の国民は下記のいずれかの年金制度に加入する、国民皆年金制度である。
第一号被保険者・・・自営業
第二号被保険者・・・サラリーマンや公務員など厚生年金や共済年金加入者
第三号被保険者・・・第二号被保険者に扶養されている配偶者
に分類される。

・国民年金・・・全国共通の基礎年金
・厚生年金・・・サラリーマンに適用される
・共済年金・・・公務員などに適用される

■介護保障(介護保険)
老齢や疾病のために介護が必要な者や必要となる可能性のあるものに、介護サービス給付を保障する介護保険がある。

■労災・雇用保障(労災保険・雇用保険)
勤務中の事故や、失業したときに保障され、加入している国民が安定して働けるよう保障する

■その他
上・下水道などの公衆衛生、低所得者のための生活福祉貸付制度・災害時の保障をする災害保険がある

2、社会保障の動向
近年は社会保険の定義は代わり、最低限度の生活保障だけでなく、広く国民に健やかで安心できる生活を保障して、国民の自立生活を支える基盤となる社会保障制度であるべきだということが強調されている。

第7章 社会福祉行政の仕組み

1、社会福祉のしくみ

1、国の社会福祉の仕組み
■厚生労働省における主な部局
・社会・援護局
・老健局
・年金局
・女性局(旧労働省)
・雇用均等・児童家庭局(旧厚生省)
■厚生労働大臣や各関係大臣の誻問に応じる機関
・社会保障審議会(社会保障や人口問題)
・厚生科学審議会(疾病の予防・公衆衛生に関する調査審議、保健士・看護士の養成施設指定・認定に関する調査審議

2、地方公共団体の社会福祉のしくみ

1)社会福祉の実施機関
■都道府県・政令指定都市では、市町村への支援や連絡調整を行う
社会福祉法人や施設認可の福祉サービスの基礎整備
■市町村
生活に身近な法律の事務を行う

2)福祉事務所(社会福祉法の規定)
都道府県・政令指定都市・市・特別区(東京23区)などに設置義務あり。町村は任意。
「生活保護法」「児童福祉法」「身体障害者福祉法」「老人福祉法」「知的障害者福祉法」「母子及び寡婦福祉法」の福祉六法に定められた福祉サービスを行う。
家庭児童相談室には社会福祉主事と家庭相談員が配属される。

3)児童相談所(児童福祉法の規定)
都道府県と政令指定都市に設置が義務付けられている。
児童の一時保護を行うほか、児童福祉施設への措置入所や家庭裁判所への送致を行う。
中央児童相談所にこども家庭110番を設置。

4)身体障害者更正相談所・知的障害者更正相談所
都道府県は義務、政令指定都市は任意で設置される。
専門職員は身体障害者福祉司、知的障害者福祉司

5)婦人相談所(売春防止法の規定)
都道府県は設置義務あり

6)社会福祉協議会(社会福祉法の規定)
都道府県・指定都市には福祉活動指導員
市町村には福祉活動専門員
が配置される

7)民生委員(民生委員法の規定)
ボランティア性格を持ち、人気は3年で市町村に置かれる。

8)児童委員(児童福祉法の規定)
市町村に配置されるが、民生委員として委託したものが児童委員を兼ねる

■第6章 対象者別の社会福祉(3)

3、障害者の福祉
戦後の障害者福祉は制度の整備や施設の充実に重点が置かれていたが、次第に利用者主体・地域福祉を重視した考え方へと変化した。

1、国際障害者年意向の障害者福祉

1)国際化の動き
1981年・・・国際障害者年
1982年・・・国連で「障害者に関する世界行動計画」が採択され、1983年(S58~H4)を「国連・障害者の10年」とした

2)わが国の動き
1982年(S57)・・・障害者に関する長期計画が策定される
1993年(H5)・・・障害者に関する新長期計画
心身障害者基本法が「障害者基本法」に改正されるとともに「障害者プラン~ノーマライゼーション7ヵ年戦略」が策定される。

■障害者プラン~ノーマライゼーション
・地域でともに生活するために
・社会的自立を促進するために
・バリアフリー化を促進するために
・生活の質(GHQ)の向上を目指して
・安全な暮らしを確保するために
・心のバリアを取り除くために
・わが国にふさわしい国際協力・国際交流を

2)障害の国際的概念と定義
WHOが1980年発令した「国際障害分類」では
病気や怪我→機能障害→能力障害(能力低下)→社会的不利
と説明されていた。これは地域の中で生活が困難な点を障害者の側からだけ捉えている。
そこで2001年WHOは「国際生活機能分類ー国際障害分類改訂版」「障害モデル」を示した
ここでは能力障害、社会的不利をそれぞれ活動・参加という中立的な表現に代え、背景因子として環境と個人の相互関係として整理されている。

■身体障害者福祉法の対象
・視覚障害
・聴覚障害
・音声機能、言語機能またはそしゃく機能障害
・肢体不自由
・心臓、腎臓、呼吸器、膀胱、直腸、小腸の機能障害
・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫不全
において一定以上の障害を持つもの。
18歳以上が対象(18歳未満は児童福祉法対象)

3)身体障害者の福祉施策
市町村を実施主体とする

4)知的障害者の福祉
知的機能がおおむねIQ75~70程度以下
療育手帳(児童相談所または知的障害者相談所で知的障害と判断されたもの)ではIQ35以下を重度とする。なお知的障害者福祉法では知的障害という概念を定義していない。

5)精神保健及び精神障害者施策
精神保健及び障害者福祉に関する法律は「精神保健福祉法」「障害者自立支援法」で行われ、精神障害者を「統合失調症・精神作用物質による急性中毒またはその依存症・知的障害・精神物質その他の精神疾患をゆうするもの」と定義している

6)障害者自立支援法
従来は障害者に対する施策は、障害種別に行われてきたが、障害の種類により負担額やサービスの差が有ることから、2005年(H17)一元的なサービスを行うために「障害者自立支援法」が制定される。
■具体的なサービス
・居宅、施設サービスを統合した障害福祉サービス、自立支援医療費、補装具費、地域生活支援事業

7)発達障害者支援法
これまで障害者関連法に含まれていなかった発達障害を、早期に発見し、発達支援を行うことに関する国や地方公共団体の責務を明らかにし、学校教育における発達障害者への支援や就労支援などについて定めることで、発達障害者の自立や社会参加への支援を図り、福祉の増進に寄与することを目的とする。
この法律では発達障害を「自閉症・アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害・学習障害・注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって、祖の症状が通常低年齢において発言するもの」としている

4、低所得者施策と公的扶助

1)生活保護制度の理念
公的扶助は社会保障制度の一部であり、国民の最低限度の生活水準(ナショナルミニマム)を国が保障する重要な制度である。

2)生活保護法の基本原理
a,国家責任の原理・・・日本国憲法第25条の理念に基づく
b,無差別平等の原理
c,最低生活の原理
d,保護の補足性の原理・・・最低限度の生活を維持するために活用できる資産や所得などの状態を確認することを資産調査(ミーンズデスト)という。生活保護法よりも民法に定める扶養義務者の扶養や扶助を優先するが、急迫した理由が有る場合は必要な保護を妨げるものではない。

3)保護実施の原則
a,申請保護の原則・・・要保護は扶養義務者及び親族の申請による。ただし急迫した状況に有るときはこの限りではない
b,基準及び程度の原則・・・保護は厚生労働大臣が定める基準によって測定した要保護者の需要に基づいて、本人の金品によって充足できない不足分を補う程度に行われる。
c,必要即応の原則・・・その個人や世帯の実際に必要な程度や実情を充分に考慮して、有効かつ適切に実施されなければならない
d,世帯単位の原則・・・保護を決める単位は、原則として同一居住・同一生計の世帯とする

4)生活保護の内容と施設
「生活扶助」「教育扶助」「住宅扶助」「医療扶助」(指定医における現物給付原則)「出産扶助」「生業扶助」(技術の取得や設備など)
「葬祭扶助」「介助扶助」(現物給付原則)
■保護施設
救護施設・更正施設・医療保護施設・授産施設・宿所提供施設

5、その他の福祉

1、低所得者の福祉
・生活福祉資金貸付制度
・心配事相談所

2、婦人保護
1956年売春防止法制定
・婦人相談所・・・女性のさまざまな悩みに答える
・婦人相談員・・・福祉事務所に配置され、相談・指導を行う
・婦人保護施設・・・諸事情により、社会生活を営む上で困難な女性が保護の対象。2001年(h13)

配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律」(DV防止法)公布
配偶者暴力相談支援センター・福祉事務所

■第6章 対象者別の社会福祉(2)

2、高齢者の福祉
1997年、日本は老年人口(65歳以上)が年少人口(0~14歳)を上回る社会となる。
これを受けて政府は1989年「高齢者保健福祉推進10カ年計画」(ゴールドプラン)を策定し、この実現を推進するべく養護・特別老人ホームの入所決定を都道府県から町村に委譲した。
しかし市町村ではゴールドプランを大幅に上回る福祉サービスの必要性が明らかになり、1994年、ゴールドプランを全面的に見直した「新ゴールドプラン」が策定される。

さらに新ゴールドプランの終了と介護保険制度の導入に対応するため、1999年「今後5ヵ年の高齢者福祉施策の方向」(ゴールドプラン21)が策定された。(H12~H16までの5ヵ年)
・活力有る高齢者の構築
・高齢者の尊厳の確保と自立支援
・支えあう地域社会の形成
・利用者から信頼される介護サービスの確立

1、高齢者福祉瀬策の推移
・1963年(S38)老人福祉法成立
・1973年(S48)「ホームヘルプサービス」「デイサービス」「ショートステイ」の三本柱推進・老人医療費の無料化(その後財政悪化により医療費一部負担の老人保健法が制定される)
・2000年(H20)介護保険法施行

2、介護保険制度の概要
市町村間での保険料やサービス内容での格差など問題があり、2005年(H17)介護保険法が改正される。
■3つの方向性
・介護予防の推進
・認知症ケアの推進
・地域ケア体制の整備

■介護保険のしくみ
保険者は市町村
介護サービス給付費のうち1/2は公費負担、そのうちさらに国が1/2、都道府県が1/4、市町村が1/4の割合

■介護保険の流れ
介護サービスを受けるためには、市町村による「要支援1,2、要介護1~5」による認定が必要である。

■保険給付の内容
・要支援の場合・・在宅サービスによる新予防給付が提供され、介護度の重度化を防止
・要介護の場合・・入所・在宅の両方のサービスが提供される
サービスにかかった費用の一割が自己負担

■地域密着型サービス
これまで全国一律水準を基本として行われてきた介護サービスの提供を、地方公共団体ごとに弾力的な運用が可能になるよう設けられたサービス

■地域支援事業
これまで実施されていた在宅介護支援センター事業・介護予防・地域支えあい事業・老人保険事業を介護保険上の事業として位置づけ、再編するものである。

■地域包括支援センター
市町村が責任主体となって設置される。社会福祉士・保健士・主任ケアマネージャーが配置され、介護予防業務や介護予防ケアマネジメント業務・総合相談・支援業務・権利譲渡業務・地域ケア支援業務・家族支援業務など

3、老人福祉・高齢者保険制度の概要
■老人福祉法
高齢者は、社会に対する貢献者として敬愛されるべきであり、また、個人の差こそあれ、加齢に伴う身体的、精神的なハンディを有するものである。そのため、生活の健全性を損なったり、精神的な安らぎを欠いたりする恐れがあり、これらを保障することが老人福祉の理念の一つである。
老人福祉サービスには大きく「在宅福祉」と「施設福祉」の2つあある。
・在宅福祉・・・要援護高齢者対策、社会活動促進対策
・施設福祉・・・入所施設、利用施設

<在宅福祉>
a,要介護高齢者対策・・訪問介護事業(ホームヘルプ)・短期入所生活介護(ショートステイ)・通所介護(デイサービス)・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)・小規模多機能住宅介護・在宅介護支援センター運営事業・老人日常生活用具給付事業・高齢者総合相談センター(しるばー110番)
b,社会活動促進対策・・・高齢者の生きがいと健康づくり推進事業・老人クラブ活動・施設福祉

<施設福祉>
a,入所施設・・・擁護老人ホーム・特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム
b,利用施設・・・老人福祉センター・老人介護支援センター・老人休養ホーム・老人憩いの家

■老人保健法
国民は、自助と連帯の精神に基づき、みづから加齢によって生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持推進に努めるとともに、老人の医療に要する費用を公平に負担するものとする。また、年齢、心身の状況に応じ、職域もしくは地域または家庭において、老後における健康の保持をはかるための適切な保健サービスを受ける機会を与えられるものとする

健康手帳の交付、健康教育・健康相談・健康診査・機能訓練・訪問指導、75歳以上の医療費の支給・入院時食事療養費の支給・特定療養費の支給・老人訪問看護費の支給

■第6章 対象者別の社会福祉(1)

1、ひとり親家庭の福祉
「母子及び寡婦福祉法」は、ひとり親家庭の生活の安定と向上のために必要な施設を整備し、日常生活問題の発生を予防することを目的としている。

1、母子及び寡婦福祉の概念
基本理念・・母等と子供に対する福祉がいっっ態となった保障。2002年には父子家庭も対称となる

2、母子福祉対策の概要
■母子及び寡婦福祉法の対策
・母子福祉基金の貸付
・母子自立支援員による生活相談
・母子福祉センターにおける失業指導
・母子家庭の母及び児童の職場の開拓や公共施設内における売店の優先設置
・公営住宅の確保
■児童福祉法に基づいた対策
・要保護母子家庭の母子生活支援施設への入所
・遺族基礎年金
・児童扶養手当の支給

第5章 社会福祉の法制度

1、社会福祉法制の基本理念
日本国憲法第25条によって制定される。国民の生存権を保障すると同時に、祖の生存権に対する国の保障義務を述べたもの
中心となるのは
・社会福祉六法(児童福祉法・身体障害者福祉法・生活保護法・知的障害者福祉法・老人福祉法)
・社会福祉法
・障害者自立支援法
である

2、社会福祉法による事業の分類
■第一種社会福祉事業(個人の人格に及ぼす影響が大きく、公共性の高い事業)利用対象者の入所・保護施設を経営する事業(国、地方公共団体、社会福祉法人以外は経営できない)
a,生活保護法関連・・救護施設・更正施設・生活困難者を無料または低額な料金で入所させて生活の扶助を行う施設、生活困難者の助葬を行う事業
b,児童福祉法関連・・乳児院・母子生活支援施設・知的障害児施設・知的障害児通園施設・盲ろうあ児施設・肢体不自由児施設・重症心身障害者施設・情緒障害児短期治療施設・児童自立支援施設
c、老人福祉法関連・・養護老人ホーム・特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム
d,障害者自立支援法関連・・障害者支援施設・身体障害児更正援護施設・知的障害者援護施設
e,売春防止法関連・・婦人保健施設
f,その他・・授産施設・生計困難者に対して無利子または低利で資金を融通する事業・共同募金を行う事業

■第二種社会福祉事業(第一種社会福祉事業に比べて個人の人格に及ぼす影響の少ないもの)保育所のように他の法律の規定のあるものを除き、比較的簡単に知事の許可を得て経営主体になることが出来る
a,児童福祉法関連・・児童自立生活援助事業・放課後児童健全育成事業・子育て短期支援事業・助産施設・保育所・児童更正施設・児童更正施設・児童家庭支援センター・児童福祉増進相談事業
b,母子及び寡婦福祉法関連・・母子家庭など日常生活支援事業・寡婦日常生活支援事業・母子福祉施設
c,老人福祉法関連・・老人居宅介護等事業・老人デイサービス事業・老人短期入所事業・認知症対応型老人共同生活援助事業・老人デイサービスセンター・老人短期入所施設・老人福祉センター・老人介護支援センター・小規模多機能型居宅老人介護事業
d,障害者自立支援法関連・・障害福祉サービス事業・相談支援事業・移動支援事業・地域活動支援センター・福祉ホーム・精神障害者社会復帰施設
e,身体障害者福祉法関連・・身体障害者生活訓練等事業・手話通訳事業・介助犬訓練事業・聴導犬訓練事業・盲導犬訓練事業・身体障害者福祉センター・保装具製作施設・視聴覚障害者情報提供事業・身体障害者更正相談事業
f,知的障害者福祉法関連・・知的障害者構成相談事業
g,そのた・・生活困難者に対する医療保護施設・宿所提供施設

■第4章 わが国における社会福祉事業の発達(2)

4、第二次世界大戦後の社会福祉事業

1)社会救済の基本方針
昭和20年、連合国軍総司令部(GHQ)は、救済ならびに福祉計画において、国が必要な措置を速やかに講ずる必要があるとの指令を出す。これを受けて政府は暫定措置として生活困窮者緊急生活援護要綱」を決めた。
昭和21年、GHQは「公的扶助に関する覚書」を日本政府に提示した。
■公的扶助に関する覚え書内容
・無差別平等
・国家責任による最低限の生活保障の実施
・公私の分離
・救済費無制限

2)旧生活保護法制定
覚書の原則に基づいて、昭和21年政府は「(旧)生活保護法」を制定し、方面委員は民生委員となる。また、社会福祉事業の公私分離の原則に従い、委託費以外の公費を民間施設に助成・補助が禁止されたため、民間福祉団体は共同募金運動を展開することになる。

3)新憲法に基づく法整備
昭和22年日本国憲法が施行され、「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、全ての生活部面において、社会福祉・社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とした。
同年政府は「社会保障制度審議会」を発足。昭和25年、社会保障制度に関する勧告を行い、社会保障の分野を「社会保険」「国家扶助」「公衆衛生及び医療」「社会福祉」の4つとした。

1949年GHQは政府に対し社会福祉行政6原則を指示、これをうけて政府は旧生活保護法を全文改め「生活保護法」を公布・施行した。
■福祉三法
1946年(昭和21年)・・旧生活保護法
1947年(昭和22年)・・児童福祉法
1949年(昭和24年)・・身体障害者福祉法

さらに政府は昭和26年、社会福祉事業法を制定し福祉事務所を発足させた。
■福祉六法
1960年(昭和35年)・・精神薄弱者福祉法(現:知的障害者福祉法)
1963年(昭和38年)・・老人福祉法
1964年(昭和39年)・・母子福祉法(現:母子及び寡婦(かふ)福祉法
1950年(昭和25年)・・生活保護法
1947年(昭和22年)・・児童福祉法
1949年(昭和24年)・・身体障害者福祉法

1951年(昭和26年)児童憲章・・児童は人として尊ばれ、社会の一員として重んぜられ、よい環境の中で育てられる
1961年(昭和36年)児童扶養手当法(生別母子家庭を対象)
1971年(昭和46年)・・児童手当法
1959年(昭和34年)・・国民年金法

5、1990年(平成2年)社会福祉関係八法の改正
おもな改正点は
・福祉各法への在宅サービスの位置づけ
・高齢者及び身体障害者の入所措置権の町村への委譲
・市町村・都道府県への老人保健福祉計画策定の義務付け
である。
趣旨は、長期に渡った福祉政策の体系を転換して、市町村などの身近な自治体で地域にあった社会福祉を展開することが目的である。

1、高齢社会
1963年(昭和38年)に制定された老人福祉法で家庭奉仕員派遣事業(ホームヘルプサービス)が制度化され、1978年(昭和53年)ショートステイ、翌年にはデイサービスが開始される。1980年には訪問介護とともに在宅福祉サービスが浸透していった。
日本は1994年(平成6年)高齢者人口が14%を超え、国連が定義する「高齢社会」を迎えた。

2、高齢者対策
1、1994年(平成6年)高齢社会のあり方について「21世紀福祉ビジョン」が高齢社会福祉懇談会から報告され、わが国の社会サービスのめざすべき枠組みが提案された。これを受けて地方公共団体の自主事業を支援していく具体的施策として次のことがあげられる。
・介護サービス基盤への整備
・痴呆症(現:認知症)高齢者支援対策の推進
・元気高齢者作り対策の推進
・地域生活支援体制の整備
・利用者保護と信頼できる介護サービスの育成
・高齢者の保健福祉を支える社会的基礎の確立

3、児童対策
1994年(平成6年)少子化に対処するため「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」(エンゼルプラン)が文部・厚生・労働・建設の4大臣により策定される。
■保育サービスなど子育て支援サービスの充実
・低年齢児(0~2歳)の保育所受け入れの拡大
・多様な需要にこたえるサービスの推進「延長保育」「休日保育」「乳幼児健康支援(一時預かり)「多機能型保育園」
・在宅児も含めた子育て支援「地域子育て支援センター」「一時保育」「ファミリーサポートセンター(保育所への送迎)」
・放課後児童クラブの推進

4、障害者対策
1993年(平成5年)障害者対策に関する新長期計画
1995年(平成7年)障害者プラン~ノーマライゼーション7ヵ年戦略」

■新障害者基本計画
考え方・・誰もが人格と個性を尊重して支えあう共生社会の実現
4つの視点
「社会のバリアフリー化」
「利用者本位の支援」
「障害の特性を踏まえた施策の展開」
「総合的かつ効果的な施策の推進」

■新規・重点施策
「入所施設を限定し、小規模化・個室化の推進」
「障害者が障害者政策の決定的過程に関わる
「ITを活用した雇用の促進」
「学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などへの教育支援
「うつ対策などの自殺防止

5、地域福祉計画
1、地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項
2、地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項
3、地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項

■第4章 わが国における社会福祉事業の発達(1)

1、明治時代以前の慈善救済事業

1)四箇院(しこいん)と救貧法・・聖徳太子が建立したと言われている
・悲伝院・・貧困者や孤児を収容した
・施薬院・・貧困病者に薬を作って施した
・療病院・・貧困病者を治療した
・敬田院・・古代の仏教的教化事業を目的とした(救済施設ではない)

しかし、古代日本は律令国家であり、救済思想は血縁と地縁を基にしたものである。このことにより、四箇院は国家の制度ではなかった。
718年国家の救貧法は養老律令「戸令」を制定する。戸令とは自力で生活できないものを対照にし米・衣類などを配布したもの。
その他、災害対策として「備荒(びこう)制度」もあった。
やがて、律令国家は崩壊し、封建制度へと移行する。

2)1201年、北条泰時が飢饉にあった領民に米を貸し、その貸付証文を焼くという救済活動が行われる。当時の国による救済は共同体的な色彩が強く連帯的なものであった。
一方この時代の僧侶による仏教的慈善が盛んに行われ、女性の救済施設である「縁切り寺」もあった。また、宣教師ザビエルによるキリシタンの慈善思想に基づく慈善事業も行われた。

3)救済制度とその流れ
江戸時代になると、臨時の救済より日常的な救済方法が現れた。しかし、生活に困った場合、原則的には親族間での相互扶助・近隣住民の補助といった家や村を中心に救済が行われる。この時代に出来た「5人組制度」も村落生活や救済と結びついていた。
やがて幕末になると幕府の内政の悪化から貧困者の救済は不可能になる。

2、明治時代初期から大正時代初期までの救済事業

1)じゅっきゅう規則・・救済の責任を血縁や地縁など人情的な関わりを中心とした「人民相互の情誼(じょうぎ)とし、救済対象を「無告の窮民」(放置しておけないもの)として捉え、貧困の原因は個人の怠惰にあるとする考えに基づいていた。

2)民間による救済活動
・ペリーが創設した施療所
・山室軍平の救世軍
・留岡幸助の家庭学校(感化院)
・石井亮一の知的障害者学園(滝乃川学園)
・石井十次の岡山孤児院

1899年横山源之助は「日本の下層社会」を著し、当時の貧困社会を紹介したが政府は手立てを立てず、そればかりか社会運動を弾圧した。救済を求めるのは恥ずかしいという考えを植え付ける指導者もいた。

わが国初のセツルメントハウス
キングスレー館・・片山潜

3、大正時代から第二次世界大戦までの社会・厚生事業
1918年 米騒動、1923年 関東大震災

1)救済事業から社会事業対策へ
米騒動を契機として政府は、それまでの救済事業に変わる社会事業対策を実施した。
a、経済的保護事業・・不良住宅地区改良、公益質屋、廉売(れんばい)市場、無料宿泊所、職業紹介所、託児所、貧困児童教育所の設置
b,1917年内務省に教護課を設置→1919年社会課に改名→1920年社会局となる
c,済世顧問制度・・岡山県知事笠井信一が設置、方面委員会制度(後の民生委員制度の前身)・・大阪府知事林市蔵が設置
d,私立大学に社会事業の専門課程が設置される

2)大正後期からの社会状況と救済政策
戦争を目的とした軍事拡張のための政策が優先されたので、社会事業活動は細々と存続していた。
1929年 政府はギュウケツ規則をようやく廃止し「救護法」を制定したが、財政難を理由に実現には至らなかった。しかし1932年の社会状況の悪化に伴い実施。

この法律の対象者は65歳以上の老衰者・13歳以下の児童・妊産婦・疾病・傷病・精神または身体の障害により働けないものを救済することであった。しかし原則的に救護は扶養義務者が扶養できない場合に限られており、生活態度に問題があるものや怠け者は除外され、また要救護者は選挙権を除外された。このように「キュウケツ規制」と比較すれば範囲は広がったものの、家族や隣保者による相互扶助に重点を置いた点では変化がない。

これにより救護法からもれたものは他の救済措置に頼らなければならず、1933年「児童虐待防止法」1937年「軍事扶助法」「母子保護法」が追加された。
1936年「方面委員会」が公布され、1938年厚生省が設立される。この頃全ての社会事業が国によって統制され、施設も戦時生活へ対応するように切り替えられた。

■第3章 外国の社会福祉の成立

1、封建社会における貧困と救済

1古代社会における慈善・救済
ギリシャの都市国家(ポリス)の時代は、制度として負債の帳消しや戦争遺族に対する救済が行われていた。しかし、その救済の目的はあくまで都市国家の保全であり、対象はポリスの成員であり、自由民である無産市民に限られていた。古代国家は奴隷制度による労働力によって支えられた社会であり、奴隷は人間として扱われていなかったため救済の対象外となる。
その後のヘレニズム文化のポリスも大差なし。

しかしヘブライズム文化になると、キリスト教の平等思想が広まり、キリスト教会が設立される。このキリスト教会が困窮者に対して宗教的慈善救済活動を展開する。

2、中世封建社会の貧困と救済
中世封建社会の構造は、国王→領主→家臣→領民である。また荘園制が進み、領主による土地支配と農奴制が成立する。農奴は身分上の自由はなく、年貢と各種の賦役(ふえき・地代を労働によって支払うこと)人頭税(納税の能力の差を考慮せず、一定の課税をする方式の税)を課せられていた。

商業の発達は都市を形成し、都市が発達して勢力を持つようになると、領主から独立した自由と滋賀成立した。都市の社会構造は商人や手工業者たちの「ギルド」を中核とし、その中で共同体的連帯意識が芽生えた。病人や母子・老齢者に対する救済活動を行い、「救貧院」のような救済施設がギルドや年当局によって運営された。

施与という個人的行動で始まった救済は、社会ホ発展とともにその目的や方法は変化したが、中性社会における救済の特色は、キリスト教の宗教的特性に基づいた教会や修道院による活動である。
教会や修道院による救済は、だんだんと貧しきもの同士の助け合いではなく、慈善もまた神に対する信仰の証とする発想から転じ、与えるものの側からの行為となってきた。そうした無差別・無計画な救済の結果、かえって労働者から労働意欲を奪い、浮浪者を増加させるというマイナスの結果を生み出した。

中世の封建社会の基盤となった農奴制度やギルド制度は、様々な内的・外的要因により少しづつ崩壊し、社会の流れは中世から近代へと移り変わる。

2、西欧の社会福祉の発達と現状

1、絶対王政下の貧困と救済
多くの貧困者を生んだ原因は、羊毛生産の需要増大により多くの農民を農村から追放した「エンクロージャー(囲い込み運動)である。土地という生産手段を失った農村人口が都市へなだれ込み、多くの浮浪者を出した。これに対し、絶対王政の取った政策はこじき処罰令だった。一方教会は、国王ヘンリー8世が行った宗教改革により、寺領の没収・修道院の解体が行われ、もはや宗教的慈善活動は出来なくなった。

14Cからはじめまれた貧困者による処罰は、1601年の「エリザベス救貧法」によりやっと国家的救済対策へと集大成化された。

■エリザベス救貧法
1、救貧政策の財源として、国民から救貧税を徴収する
2、従来の教会の教区の単位で治安判事が指導し、貧困者監督官が救貧税の徴収と救済業務を実行する。
3、労働力のない貧困者を、その教区の費用で救済する。労働力のある貧困者を労役場で労働させる。
4、自立不能の両親を持つ幼児は里子へ、8歳以上の男子は徒弟(とてい)に、女子は家事使用人として働かせる。

2、資本主義の発達と救済事業
封建的絶対王政は17cの名誉革命により崩壊し、市民参加による議会制民主主義政治が生まれる。経済的には家内制手工業から工場制手工業(マニファクチュア)に移行したが、賃金労働者がますます増え、新たな働く貧困者を生み出した。

18Cの終わりに蒸気機関車の発明に端を発した産業革命は、生産資本を所有する資本家にとっては経済的繁栄を促したが、労働力を搾取される側には深刻な貧困をもたらした。
機械の普及によって、熟練手工業労働者は失職し、女性や児童が労働市場に参入することにより、賃金低下がおこり、より過酷な労働を強いられた。大量の貧困者は都市の片隅のスラムに集中し、精神的退廃・家族生活の崩壊・犯罪といった様々な社会問題を生み出した。

ついには5歳児までも労働に従事する現状があり、1819年に「工場法」が制定され、年少労働者は保護されることとなる。しかし、このころ貧困者が食糧危機や社会や国家に損害を与えるという「救貧法批判論」を唱える学者が現れ、資本家や農村の地主層がこれを支持した経緯がある。
「救貧法批判」・・・経済学者マルサスの人口論の中にある

1815年、ナポレオン戦争が終結し、それにともなう輸入品の流入やマルサスの人口論の影響などから救貧法を見直す動きが生まれる。1834年、「新救貧法」成立。
■新救貧法の3つの原則
1、救済水準を全国一律とする(全国的統一の原則)
2、有能貧民の居宅保護(院外救済)を廃止して、救済はワークハウス収容に限定する(院内保護の原則)
3、救済の水準は、最低下層の労働者より外見・実質ともに低いものでなければならない(劣等処遇の原則)

一方この時代の私的な救済活動は博愛主義組織が行う「博愛事業」があり、恵まれない子供への援助や慈善病院の設立などを行う。

3、社会改良運動と社会的施策の発展
「新救貧法」に代表される貧困労働者に対する非人道的な抑圧策に対して、人道主義や人権思想から独自の方法で社会問題を解決しようとする気運が高まり、いくつかの活動が展開される。

■慈善組織化運動(COS運動)・・かつての無計画・無配慮名活動の反省から慈善組織協会による運動。
リッチモンドらが参加して「友愛訪問」(ボランティアで貧困家庭を訪問し道徳的指導や家庭調査を行うこと)や「コミュニティオーガニぜーション」(社会福祉援助技術)が生み出され、社会福祉の専門家・近代化をもたらす。

時代の転機になったのはオーエンの指導を受けた労働者の共済運動や、キリスト教社会主義者による労働者の教育と精神的発達を目指した大学の設置、共済運動を通して発展した労働組合などである。
なかでも社会事業の近代化に大きな影響を与えたのは、今日の社会教育や社会福祉の専門的な方法であるセツルメント運動(公共団体、社会福祉援助者や学生が、スラム街や工場町に住み込み、住民の生活を援助する方法。またはそのための宿泊所や託児所のこと)である。

また、セツルメントハウスを拠点に、貧困実体調査が行われ、その結果、貧困の原因は個人の責任によるものではなく、失業や低賃金など社会的要因に起因することが解明された。

■19Cのイギリスの転換の大きな3つの契機
慈善組織化運動・セツルメント・貧困調査

4、近代的社会福祉の成立
上記の流れから、イギリスでは1911年に社会不安や社会主義的運動を沈静化するため「国民保険法」が制定される。これにより社会保険がはじまった。1941年、第一次世界大戦後の混乱を避け、国民の生活保障を検討するため「社会保険及び関連サービス」(ベヴァブリッジ報告)が提出される。
■ベヴァブリッジ報告の5つの巨人(人間の生活を脅かし、社会の進歩を阻むもの)
貧困・疾病・不潔・無知・怠慢
これに基づき、イギリスは社会保険省を設立し、これによって「ゆりかごから墓場まで」の生活保障が制度化され福祉国家が形成されていった。

第2章 社会福祉の対象とニーズ

1、福祉対象の捉え方
日本の社会福祉事業は法的には
■福祉六法(社会福祉六法)
「生活保護法」
「児童福祉法」
「身体障害者福祉法」
「知的障害者福祉法」
「老人福祉法」
「母子及び寡婦福祉法」
■障害者自立支援法
の7つにその対象が決められている。

2、家庭生活と福祉
全ての福祉は、家庭にその原点があるという定義のもと、在宅福祉が重要視されている。
■在宅福祉三本柱(主に高齢者対象)
「訪問介護」(ホームヘルプサービス)
「短期入所生活介護」(ショートステイ)
「通所介護」(デイサービス)

1、核家族化と福祉
■核家族化の問題点
a、家庭は必ずしも常時人間のいる場ではなくなり、不在家庭となりやすい
b,家庭での人間関係がばらばらになりやすい

2、ひとり親家庭などに対する福祉
「ひとり親」・・家庭生活の中心となる人が、構造的(母子家庭・父子家庭)・心理的(意識的に関係を絶つ・・遺棄家庭)な面で欠けていること。

3、保育問題
現在の保育所の待機児童の膨大な数字は、子供の福祉の問題とともに、これからの福祉社会の形成に影響する重大な問題を含んでいるといえる。

3、高齢者と福祉
1、高齢者の健康問題
高齢者の医療費が大きな社会問題となっている。現行の制度では今後も相当の予算が必要になると予測される。

2、老後の生活の問題
■財政・・,わが国のように終身雇用制を採用している企業が多い場合は、定年後の再就職が極めて厳しい。公的年金制度などにより生活の一部が補充されるという面があるが、この制度自体非常に厳しい財政状態にあるので、かつてのように悠々自適で余生を送ることは困難である。
■余暇・・高齢者の中にはテレビ・ラジオなどの視聴で多くの時間をつぶす傾向が見られる。これはわが国の高齢者施策が、レクリエーションにおいて充分でないことを示している。高齢者福祉では、経済的・物理的な条件とともに、精神的な人間関係の交流も重要である。
■居住場所・・老人ホームは、単に居住場所を提供するだけでは好ましいものとはいえない。施設の入居者と地域住民との交流を図ったり、施設内でのレクリエーションを充実させながら互いに接触する機会を多く持つことが大切である。

4、福祉におけるニーズ
1998年、中央社会福祉審議会社会福祉基礎構造改革分科会の理念
「自らの生活は自らの責任で営むことが基本であるが、努力しても、自立した生活が維持できなくなった場合、社会の連帯した支援が必要である。そのような場合には、個人の尊厳を大事にした支援によって、家庭や地域の中でその人らしい生活が送られるようにしていくことが必要である」

■エンパワーメント・・利用者が自分自身で様々なサービスを検討し、自分で何を利用するのかを決定する力
■アドボカシー・・自分の意思を表明できないものの代わりに、援助者が意思を代弁したり、その人たちの権利やニーズを明確にすること

第1章 社会福祉とは

1、社会福祉の意義
「日本国憲法第25条」において、全ての国民に健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障し、その理念を実現化するための社会的諸施作のひとつが社会福祉である。

<参考>日本国憲法第25条
全ての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
②国は、全ての生活部面について、社会福祉・社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない

2、社会福祉の定義
社会福祉という言葉は一般的になってはいるが、その使い方は様々である。

1、社会福祉の概念
a、社会福祉は社会保障の一部である・・国家扶助の適用を受けているもの(困窮者に対する公的経済保証)・身体障害者・児童、その他援護育成を要するものが、自立してその能力を発揮できるよう、必要な生活指導・更正補導・その他の援護育成を行うことを言う。ただし精神障害者が含まれていないことに問題点がある
b,社会保障・保健衛生・労働・教育・住宅などの生活施策を総括した概念である・・諸外国によく見られるケースであるが、その対象は全国民であり、またその範囲も生活関連の社会的サービス全般である
c,生活関連の公共施策そのものではなく、これらの施策を国民(個人)が利用し、改善して自分の生活問題を自主的に解決するのを援助する・・社会福祉が社会保障や保健医療などの生活関連施策と異なる点は、「社会福祉が人間の行動の解決。生活要求の充足、個人と制度との関係の問題の解決に際して用いる全体的、総合的アプローチにある」ことである。
d,慈善事業・・哀れみの心によって恩恵的に、貧困者に施しがなされたもの。封建時代に領主が自己の権力の誇示に使用したもので、現代の福祉の思想とは異なる
e,厚生事業・・第二期世界大戦時に軍事政策の一環として、人的資源の育成・国民生活の安定感の
切り替え、国民の団結を図ることを目的とする
f,社会事業・・昭和30年ごろまで使われた言葉。救済・保護を中心とした施策に用いられ、貧困者に対象を置く。この社会事業の内容がよりひろく積極的になったものが「社会福祉」として差し支えない。

2、行政的な定義
社会福祉にははっきりした定義はない。政策論的な定義としては
社会福祉とは、正常な一般生活の水準より脱落・背離し、またはその恐れのある不特定の個人・または家族に対し、その回復・保全を目的として、国家・地方公共団体・あるいは私人が、社会保険・公衆衛生・教育などの社会福祉増進のための一般施策と並んで、またはこれを補い、あるいはこれに代わって個別的・集団的に保護助長あるいは処置を行う社会的な組織的活動である。

■社会福祉の3つの領域
1、主体・・国・地方公共団体・あるいは私人で、誰でも主体者になりうる
2、対象・・正常な一般生活の水準より脱落・背離し、またはその恐れのある不特定の個人・または家族で、誰でも対象者になりうる
3、方法・・個別的・集団的に保護助長あるいは処置を行う社会的な組織的活動とし、それぞれにあった処置方法(援助技術)を用いる

3、基本的人権の尊重
日本国憲法第13条
全ての国民は個人として尊重される。生命・自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする

■基本的人権の3つの特徴
1、全ての人間に普遍的に保障された権利であり、一部の人だけに保障された権利ではない
2、人間が生まれながらに持っている(享有)ものであり、誰からも侵されることのない権利。
3、人間全てに等しく与えられた永久の権利

日本国憲法は思想・表現の自由などの「自由権」「生存権」などの「社会権」、投票などの「参政権」、また国や公共団体に対する賠償請求権などの「受益権」なども基本的人権として保障している

プロフィール

Mikami Kako

Author:Mikami Kako

おことわり

保育士・図書館司書に関しては、旧システムによるものなので、現在のもの科目編成や内容にずれがあります。放大についても閉講科目が含まれます

クリックすると開きます

シンプルアーカイブ

検索フォーム