第2章 医学の歩み その2

1、人間の発見
ルネサンス時代が最初
・レオナルド・ダヴィンチ・・・精緻(せいち)で詳細な人体の解剖図
・ミケランジェロ・・・アダムの創造

2,液体病理学への挑戦
■アンドレアス・ヴェザリウス
1543年、詳細で正確な人体解剖図譜を書き、それまで信じられてきたがれの巣の医学体系に疑問を投げかける。彼は天才的な解剖手法を駆使して、人間の発見という時代の課題に対し、大きな足跡を残し、ハーヴェイの血液循環論への道を開く

大宇宙と小宇宙の科学

<ローマの世界支配>
AD2世紀  プレトマイオス(天動説)
        ガレノス(生気論)

<ルネッサンス>
1543年 ヴェザリウス(人体解剖図譜)
      コペルニクス(天球の回転について)


■ハーヴェイの血液循環論
近代医学の扉を開いたといわれる「動物の心臓並びに血液に関する解剖学的研究」
ガレノスはどうしても動脈と静脈をつなぐことができなかったが、ハーヴェイは初めて生きた人間の姿を、血液を通じて明らかにした。彼は「近代医学の父」といわれているる

■ラマッツィーニの人間のかかる病気
1700年、ラマッツィーニは、生きた人間のかかる病気として、多様な職業についている人の病気を報告した。計54種。特に梅毒の塗擦治療を行うマッサージ師と外科医には、治療に使う水銀が危険とし、この恐ろしい病気があっという間にイタリアからヨーロッパに広がり、「フランス病」と呼ばれるようになったことがよくわかる。彼は「産業医学の父」と呼ばれている

■モルガーニの病気の座と原因
頭から踵までまでという考えに従って、身体全体の症状の詳細な観察を行い、臨床経過と部検所見を詳しく記録した。頭から踵までという視点が、人間全体という立場に立ったヒポクラテスの液体病理学の徒であったことを示している。
モルガーニは、多様な症状を有する人の病理解剖を行い、身体の器官に多様な変化を発見し、その状態を見て、多様な変化が見られるその器官を「座」と呼んだ。モルガーニは「人間全体」が病気になるという液体病理学の伝統を超えて、「器官」という病気の「座」を明らかにした。

■ビシャーの組織病理論
彼はモルガーニが明らかにした病気の座としての器官の下に組織があること、各病気に共通して、その「組織」に病変があることを主張した。彼は「組織学の父」と呼ばれる。大事なことは彼は疾病が局所のものであるといったことである。組織が人間から独立して「単独に罹病する」という知見に到達した

■シュワンの細胞説(自然細胞発生説)
シュワンは、植物同様、動物もすべて細胞によって構成されていると報告した。彼の細胞説は、細胞に着目した点で、ヒシャーの組織病理学を超えた世界に立っているが、人間という全体が最初に存在してから細胞が作られるとした点では、ヒポクラテスの世界を抜け出ていない

■ウイルヒョウの細胞病理学
彼はシュワンの自然細胞発生説を否定した。ここに古代以来の液体病理学と固体病理学の長い論争が「細胞という全体が病気になる」という細胞病理学によって止揚され、人類の医学は新しい道を見いだした

■まとめ
・ヒポクラテス・・・人間全体が病気になる
・ヴェザリス・・・液体病理学への挑戦
・ハーヴェイ・・・心臓を中心とした血液の動きの存在を明らかにする
・ラマッツィーニ・・・人間がかかる病気を報告
・ヒシャー・・・器官の中に「組織」があり、独立して罹病することを示す
・シュワン・・・人間は身体の隅々まで細胞でできていることを報告する
・ウィルヒョウ・・・細胞が独立して病気にかかることを明らかにした

3,瘴気論への挑戦
■ジョン・スノーの医学調査
ヒポクラテスは液体病理学のほかに、空気が悪いから病気になると考えていた(瘴気論)。この瘴気論との闘いに最初に名乗りをあげたのがジョン・スノーである。コレラの死亡率から、流行病の原因が、ミアズマという悪い空気によるものではなく、ブロード街のポンプの水を飲んだ人に限られていると具体的に示した。このスノーの調査によって、コレラが瘴気ではなく、水で伝染することが明確になった。人間の病気は悪い空気(ミアズマ)によって起こるという瘴気論は、ヒポクラテス以来西洋医学の骨格となってきた。スノーの報告は、この伝統的な瘴気論に決定的な打撃を与えたことになる。

公衆衛生は、世界の現象に対する対策にとどまらず、現象を生み出す要因を明らかにすることができるかけがえのない手法でありうることを明らかにした。
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◇乳幼児、学童期の肥満を測定する指数はなにか
カウプ指数・ローレル指数

第9章 食生活のあり方とその評価

1、小児の食生活

小児栄養における注意点
①発育の著しい時期なので、栄養のバランスに気をつける
②接触昨日や消化吸収の機能が未発達であり、その発達に合わせた栄養法や食事形式を整える必要がある。口腔内の機能、手指や精神神経系の発達などに伴い、接触行動が変化するため、各個人の発達段階を把握することが大切
③小児は抵抗力が低く、細菌感染などから病気にかかりやすいので、衛生面には十分な配慮が必要になる



2、望ましい食生活のあり方
○バランスのよい栄養の摂取
○適度な運動
○十分な休養

■1985年「健康づくりのための食生活指針」
・成人病予防
・成長期
1、子供と親を結ぶ絆としての食事(乳児期)
2、食習慣の基礎作りとしての食事(幼児期)
3、食習慣の完成期としての食事(学童期)
4、食習慣の自立期としての食事(思春期)
・女性(母性も含む)
・高齢者

■2000年「食生活指針」
・食事を楽しみましょう
・1日の食事のリズムから、健やかな生活のリズムを
・主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスを
・ごはんなどの穀類をしっかりと
・野菜、果物、牛乳、乳製品、豆類、魚なども組み合わせて
・食塩や脂肪は控えめに
・適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を
・食文化や地域の産物を活かし、時には新しい料理も
・調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく
・自分の食生活を見直してみましょう

3、栄養状態の評価・判定
■身体計測による方法

①2歳以下の乳幼児の肥満判定・・・カウプ指数
(注:3ヶ月未満は身長・体重ともに増加が激しいので使えない)
体重÷身長の二乗
15以上~18は普通
22以上は肥満
13~15(やせ)
15はやせ・普通の両方に含まれる


②学童期の肥満測定・・・ローレル指数
体重÷身長×10の7乗
110cm~129cm  180以上は肥満
130cm~149cm  170以上は肥満
150cm以上     160以上は肥満


③学童期以降・・・肥満度
(実際の体重-標準体重)÷標準体重×100
20%以上30%未満は軽度の肥満
30%以上50%未満は中度の肥満
50%以上を高度の肥満とする



■食生活調査による方法
■臨床症状や理学的検査による方法

■覚えよう
エネルギーの欠乏・・・低体重、低身長
エネルギーの過剰・・・肥満
たんぱく質欠乏・・・浮腫、ネフローゼ
ビタミンA欠乏・・・皮膚の乾燥、角質化、夜盲症
ビタミンB1欠乏・・・脚気、運動障害
ビタミンB2欠乏・・・口唇炎、口内炎
ナイアシン欠乏・・・ペラグラ
ビタミンC欠乏・・・壊血病、皮下出血
ビタミンD欠乏・・・くる病、骨軟化症
鉄欠乏・・・貧血
ヨード欠乏・・・甲状腺腫


◇日本人の食事摂取基準の内容で、正しいものに○、間違っているものに×をつけなさい
①乳児の推定エネルギーの必要量は男女ともに同じである
×
②エネルギーの必要量は、妊婦・授乳婦については付加すべきである

③推定エネルギーの必要量は身体活動レベルにより異なるが、幼児期は推定できないので身体活動レベルを設定していない
×
④推定エネルギー必要量は、男女ともに15~17歳が一番多い
×

第7章 食事摂取基準 その1

1、栄養素・エネルギーの摂取量
1、食事摂取基準
2005年「食事摂取基準」

見直されたポイント
・増やすべき栄養素・・・食物繊維、n-3系脂肪酸、カルシウム、カリウム
・減らすべき栄養素・・・コレステロール、ナトリウム(食塩)
脂質については5項目「総脂質、飽和脂肪酸、n-3系・n-6系脂肪酸、コレステロールについて目標量を設定)



2、設定指標
■推定エネルギー必要量「EER」
エネルギーの不足リスクおよび過剰リスクが最も少ないと考えられる摂取量
■推定必要量「EAR」
該当する性・年齢の属す50%の人々が必要とされる1日の摂取量(日本人の平均値)
■推奨量「RDA」
該当する性・年齢に属するほとんどの人々が必要量を満たすと推定される1日の摂取量
■目安量「AI」
推定平均必要量や推奨量を肯定する場合に、科学的根拠が得られないときに示されるもので、該当する性・年齢に属する人々が良好な栄養状態を維持するのに十分な量
■目標量[DG」
生活習慣病の一次予防のために、当面目標にすべき摂取量や範囲
■上限量「UL」
該当する性・年齢のほとんどの人が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない最大限の摂取量

3、推定エネルギー必要量
■推定エネルギー必要量定の基礎
・基礎代謝量・・・身体的・精神的に安静な状態で代謝される最小のエネルギー代謝量であり、生きていくために必要な最小のエネルギー代謝量
・基礎代謝基準値・・・性、年齢別に基礎代謝基準値が体重あたりで示されている。
測定は前日の夕食後12~15時間経過した早朝空腹時に、20~25度の快適な温度条件下で、めざめて静かに横たわっている状態で測定される
■推定エネルギ必要量の算定

一日の推定エネルギー必要量=1日の基礎代謝量×身体活動レベル


■身体活動レベル別の推定エネルギー必要量・・・三段階に分けて表示される
■対象別推定エネルギー必要量

乳児の推定エネルギー必要量
・生後5ヶ月までは、母乳栄養自我男子600ml、女子550ml。人工栄養児は男子650ml、女子600ml/日
・6~11ヶ月は男子700ml、女子650ml/日


妊婦・授乳期のエネルギー付加量
・妊婦・・・初期+50ml、中期+250ml、後期500ml
・授乳期・・・+450ml


■炭水化物(糖質・食物繊維)
炭水化物のうち糖質の摂取量は総エネルギーの50%以上70%未満が望ましい。
食物繊維は成人男子24~27g、成人女子19~21g、高齢者は男子19g、女子が15gを目安にする

第6章 栄養素・エネルギーの代謝

1、栄養素の代謝
1、糖質の代謝
糖質の体内分解には多くのビタミンB1が必要になる
2、脂質の代謝
脂肪は水を含まないのでエネルギー密度が高く、体内エネルギーの貯蔵に適している
3、たんぱく質・アミノ酸の代謝
・エネルギーを生み出す
・体たんぱく質を合成する

2、エネルギー代謝
1、エネルギー代謝とは
身体内で食物が燃焼してエネルギーを発生し、そのエネルギーを元に生命活動が行われる一連の過程をエネルギー代謝という
2、エネルギーの単位
キロカロリー(kcal)で表し、これは1kgの純水を1気圧の元で摂氏1度高めるために必要なエネルギーのことを言う。1kcal=1000ml
3、エネルギーの測定法
■直接法・・・人体が発生する熱量を直接捕らえてエネルギーを測定する
■間接法・・・呼吸ガス代謝から間接的に測定する
4、生理的燃焼エネルギー

アトウォーターのエネルギー換算係数
・糖質1gで4kcal
・脂質1gで9kcal
・たんぱく質1gで4kcal


第5章 栄養素の種類とその働き

1、ビタミン

・脂溶性ビタミン・・・ビタミンA、D、K、E
油に溶ける。調理によっては損なわれにくい
・水溶性ビタミン・・・ビタミンB群、C、ナイアシン、葉酸、ビオチン、パントテン酸
水に溶ける、調理によっては損なわれやすい。余剰分は貯蔵されずに尿中に排泄されてしまうので、常時摂取が必要


1、脂溶性ビタミンの種類とその作用
■ビタミンA(レチノール)
・レバー、バター、卵黄、うなぎ、緑黄色野菜などに含まれる
・油脂に解けるが、酸化すると効力を失う
・皮膚や粘膜を保護する、細菌感染に対する抵抗力をつける
◇欠乏症・・・夜盲症・発育障害・皮膚の角質化
◇過剰症・・・頭痛・吐き気・食欲不振・肝臓障害
植物中にビタミンAは存在しない。緑黄色野菜に含まれるカロテンは、体内に入ってからビタミンAになるので「プロビタミンA」と呼ばれる

■ビタミンD(カルシフェロール)
・レバー、卵黄、魚、牛乳、バターなどに含まれる
・カルシウムやリンの吸収作用を助け、歯や骨の形成を促す
◇欠乏症・・・成長期はくる病や発育障害、成人では骨軟化症、骨ソショウ賞
(くる病・・・小児に起きる疾病で骨軟化や成長遅延になる)

■ビタミンE(トコフェロール)
・小麦胚芽油、大豆油、ごま油、落花生、うなぎ、卵黄などに含まれる
・脂肪代謝を円滑にし、血液の循環を盛んにする
・抗酸化作用を持ち、がんや老化の予防になる
・生殖機能の正常化に関与する
◇欠乏症・・・動脈硬化、筋萎縮、溶血性貧血

■ビタミンK(フィロキノン)
・大豆油、卵黄、レバー、緑葉色野菜に含まれる
・血液凝固作用を助ける
・新生児に与えると出血性疾病の予防に効果がある
◇欠乏症・・・血液凝固遅滞、新生児の出血性疾患(新生児メレナ)肝機能障害

2、水溶性ビタミンの種類とその作用
■ビタミンB1(チアミン)
・穀類の胚芽、豆類、卵黄、豚肉、緑黄色野菜に含まれる
・糖質の代謝に関係が深い。胃液の分泌を高める
・貝類、淡水魚、わらび、ぜんまいにはアノイリナーゼ(ビタミンB1分解酵素)が含まれ、ビタミンB1を分解する。この働きは加熱によって抑えることが出来る
◇欠乏症・・・脚気

■ビタミンB2(リボフラビン)
・レバー、牛乳、卵、魚、肉、大豆、緑黄色野菜など動植物に多く含まれる。
・リン酸などと結合して補酵素となり、栄養素の分解・エネルギーの代謝に欠かせない。成長の促進に必要
◇欠乏症・・・口内炎、口唇炎、成長阻害及び停止

■ナイアシン(ニコチン酸+ニコチンアミド)
・レバー、肉、豆類、緑黄色野菜
・必須アミノ酸のトリプトファンから体内でも合成されるため、普通は欠乏しない
◇欠乏症・・・ペラグラ(皮膚炎・下痢・脳神経症状を伴う病気)

■葉酸
・レバー、卵黄、小麦に含まれる
・アミノ酸の生成や血球の再生に必要
・胎児にとって重要な成分
◇欠乏症・・・巨赤芽球性貧血、神経管閉鎖障害(胎児)

■ビタミンC(アスコルビン酸)
・野菜やイモ類、果実、緑茶に含まれる
・加熱により失われるので生食が効果的。切った皮をむいた後酸化されやすいが、酸やレモン汁を加えることで抑制できる
・コラーゲンの生成と維持に関与する
・体内の酸化・還元反応に関与する
・体内で抗酸化剤として機能する
・細菌感染に対する抵抗力を高める
・鉄の吸収率を高める
◇欠乏症・・・皮下出血、骨折、歯の脱落、壊血病(乳幼児の場合はメルレル・パロウ病)
(メルレル・パロウ病・・・骨格形成障害、出血、貧血、発育不良)

ビタミンA欠乏・・・夜盲症・角膜乾燥症
ビタミンB1欠乏・・・脚気
ビタミンB2欠乏・・・口角炎、口唇炎
ナイアシン欠乏・・・ペラグラ
ビタミンC欠乏・・・壊血病
ビタミンD欠乏・・・くる病、骨軟化症
ビタミンE欠乏・・・動脈硬化
葉酸欠乏・・・神経管閉鎖障害(胎児)


2、水の働き
■体内水分量のめやす
胎児・・・80~90%
新生児、乳児・・・70~75%
小児・・・70%以上
成人・・・60%

■1日に必要とする水の量
成人・・・2~3ℓ。年齢が低いほど体重1kgあたりの必要量が多くなり、
乳児・・・120~150ml
幼児・・・90~125ml
学童・・・50~90ml
成人・・・40~70mlとなっている

◇誤っているものを1つ選びなさい
a、卵には鉄が多く含まれているが、卵黄にしか含まれない
b、ヘム鉄と非ヘム鉄では、非ヘム鉄のほうが吸収が大きい
c、鉄は、その60%ほどが赤血球のヘモグロビンに含まれる
b、ヘム鉄 吸収大

第1章 医学の歩み その1

■平均寿命世界一の社会とは
医学の興強→死亡との闘い
            ↓
         平均寿命世界一の達成→多様な健康状態の人が生活する社会
            ↓
         新しい科学の基盤「健康科学」


1、ヒポクラテスの医学
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コス島で生まれた古代ギリシャの医学者

①ヒポクラテスの誓い

医神アポロ(太陽神)・アスクレピオス(医学の神)・ヒギエア(衛生の神)・パナケイ(薬の神)及びあらゆる男神女神の前に誓ふ、この誓約、この義務を、わが力、わが誠を以って服膺(ふくよう)せんことを


医学+衛生+薬学の三本柱によって、人間の健康が支えられているという考え。医師はこれら3人の神に仕えることを意味する。人類の医学は神への信仰を舞台に生まれた。

②「われ包帯し、神はこれを癒したまふ」(アンブロワーズ・パレの言葉)
キリスト教徒にとって、病を癒すのは医者ではなく神。ヒポクラテスの医学はこのようにキリスト教徒に受け入れられやすかった。しかし、彼らは神殿が育てた医師であり、神の名を騙った者ではない。

■ヒポクラテス「神聖病について」
祈りをささげ、神殿に連れて行って神々に嘆願してしかるべきであるのに、ぜんぜんそうはせず、祓い・清めを行う・・・彼は嘆願と祓い・清めを区別している。
人間は自然の中にあるのであるから、一定の病気だけを神の業にしてはいけない(宗教と医学の区別)歴史家にとってそれは古い「宗教礼賛」と新しい「生理学崇拝」との理解的妥協の産物のように取れる(コントラルゴ著)

③ヒポクラテスの医学の特徴
■症状の詳細な観察

痛みや苦痛などの訴えを持ってお参りに来る人たちの話を聞き、症状を詳細に観察することから始まった。参拝者・巡礼者の医学といえる


・コス派の医学・・・症状の詳細な観察を元に、予後の判断を重視
・クニードス派の医学・・・症状を基にした疾病の分類、診断を重視
クニードス派の未熟な観念的な観察による分類は、時代を超えて生きることが出来ず、経験主義に徹したコス派が生き残ることになる。その中で、症状の推移によって行われる方法のひとつが薬物医療。ここでも薬の神が大事とされる。

■液体病理学
人間の身体はその中に血液・粘液、黄及び黒の胆汁を持っている。これらが人間の身体の自然性であり、これによって病苦を病みもし、健康を得もする

<液体病理学>・・・内科学に近い
病気になるのは、液体の入った袋というべき「人間」という全体である。病気というひとつの実態があるというよりも、症状を有するという病人がいるという考え
<固体病理学>・・・外科学に近い
局所の病変の存在に病気の病原維持があるとする考え
現代は固体病理学に近いが、高齢化社会である今は液体病理学の考えが必要である。

■瘴気論

ヒポクラテス「空気・水・場所について」
正しい仕方で医学に携わろうとする人は、次のようにしなければならない。まず1年の季節がそれぞれどんな影響を及ぼす力があるのかを考慮しなければならない。一般に人間の体形と性格は土地の性格に従うことが見出される



■ヒポクラテスの医学「まとめ」
「自然の環境」と「瘴気」があって「衛生」があり、「体液」の変調があって「病人」があり、「症状」があって「自然の回復力」と「薬」がある

2、カレノスの医学
ヒポクラテスの医学を引き継ぎ、大成させた人
■生気論
・血液は小腸から吸収された栄養分を元に肝臓で作られ、その肝臓で「自然生気」を負荷され、静脈系によって全身に運ばれる
・吸気は肺静脈において血液中に浸透し、心臓で「生命生気」が生成され、動脈血とともに全身に配分される
・頚動脈の末が脳底に達すると、その後脳幹室に入り、そこで心臓からきた生命生気が「霊魂生気」に変化する

■宇宙の中の地球と自然の中の人間
ガレノスの生気論は体液ではなく、眼に見えない生気を言っているが、現在それは酸素であることが証明されている。彼は酸素の存在を予言していた。

■プトレマイオス「アルマゲスト」
地球は球形で天の真ん中にあるが、天空間に比してひとつの点としてみてよく、また地球は固定して動かないが多くの星は円軌道を描いて運動する

■ガレノスの生命生気と動脈系
左心室の生気を作るために、肺臓及び右心室からの材料を受け取り、同時に生気性血液を大動脈に配給し、大動脈からはススを、しかも逆に静脈性動脈を通じて肺臓に送り、肺臓からは生気を大動脈に送る・・・ガレノスはどうしても静脈と静脈がつながっているとは思えなかった

■ガレノスの示した新しい地平
人間は自然の一部という理解と、生命現象という個々の人間に固有の生理現象の統合的理解

第4章 栄養素の種類とその働き(2)

1、たんぱく質
たんぱく質の科学組織

炭素・水素・酸素・窒素を含む化合物で、20種のアミノ酸が多数結合した高分子物質である。イオウやリンも少量含む


■たんぱく質の種類
①単純たんぱく質
・アルブミン・・・動植物の細胞や体液中に含まれる
・グロブリン・・・上に同じ
・グルテリン・・・穀物に含まれる
・プロラミン・・・穀類やとうもろこしに含まれる
・アルプミノイド・・・動物の皮膚・骨・毛髪に含まれる
②複合たんぱく質
・核たんぱく質・・・単純たんぱく質と核酸が結合したもの
・リンたんぱく質・・・単純たんぱく質とリン酸が結合したもの
・リボたんぱく質・・・単純たんぱく質とリン脂酸が結合したもの
・糖たんぱく質・・・単純たんぱく質と糖質が結合したもの
③誘導たんぱく質(たんぱく質を加熱したり、酸や酵素を加えて変形させたもの)
・変形たんぱく質(第一誘導たんぱく質)・・・コラーゲンの変化したゼラチン、グロブリンを分解したアルブミンなど
・分解たんぱく質・・・たんぱく質が加水分解したもの

■たんぱく質の消化吸収
胃液・・・ペプシン
膵液・・・トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、カルボキシベペプチターゼ
腸液・・・エレプシン

■たんぱく質の働き
身体に含まれるたんぱく質は平均15%で、そのうち60%は内臓、赤血球の細胞内にあり、残りの40%は細胞外にある。
①身体を構成する(構成素としての役割)
②エネルギー源となる(アミノ酸を分解して熱量素となり、エネルギーを作る)
③酵素・ホルモン・免疫体を作る
④体液を弱アルカリ性に保つ

■たんぱく質の栄養価
たんぱく質の栄養価は構成するアミノ酸によって決まる。
・必須アミノ酸(必ず必要なもの)を多く含む食品
ロイシン・・・卵、肉、えび、麩、魚、大豆
イソロイシン・・・牛乳、卵、肉、肝臓
パリン・・・牛乳、肉、小麦、卵
スレオニン・・・卵、牛乳、肉、魚
フェニルアラニン+チロシン・・・ごま、卵、さつまいも、大豆
メチオニン+シスチン・・・牛乳、卵
トリプトファン・・・牛乳、卵、肉
ヒスチジン・・・魚の血合い部分(1985年必須アミノ酸とされる)

たんぱく質の補足効果
栄養価の劣る食品とたんぱく質を組み合わせて摂取し、お互いに補うこと



2、無機質
1,無機質の種類と作用

■カルシウム
・99%は人体の骨や歯に存在し、その成分となる
・残りの1%は次の生理作用がある
体液のPHを調整し、弱アルカリに保つ
血液の凝固を促進する
筋肉の収縮作用を調整する
神経の興奮を抑制する

ビタミンDはカルシウムの吸収作用を促進する効果がある。
食品中のカルシウムとリンの比率は1:1が最も利用効率が高い



■リン
・体内のリンの80%は、カルシウムと結合して骨や歯を形成する
・酸素の活性化や、リン酸塩として体液バランスを保持する
・糖質・脂質・タンパク質の代謝に関与する
・さまざまな食品に含まれており、不足することはほとんどない
・接種過剰になると胃の機能低下などを起こす

■鉄
・体内の鉄の60~70%が血液の中に存在する
・筋肉中のミオグルビンにあるものは、血液中の酸素を細胞内に入れる働きをする
・不足すると鉄欠乏性貧血を起こす
・乳児は3~4ヶ月で体内の鉄が不足するため、授乳の回数が減る離乳後期から鉄を補給する必要がある
・小児、女性(特に妊産婦・授乳婦)は摂取量を多くとる必要がある

■ナトリウムと塩素
・ナトリウムは塩素と結合して塩化ナトリウムとなり、体液中に含まれる
・体液をアルカリ性に調整する
・水分平衡の維持に関与する
・筋肉の収縮や神経の刺激伝達の際に重要な働きをする
・食塩摂取量は成人男性が一日10g、女性が8g

■カリウム
・細胞中に存在し、細胞内の浸透圧や酸・アルカリの調節に関与する
・筋肉や神経を刺激し、心臓機能の調節をする
・野菜や果物に多く含まれるので欠乏することがない

■その他
ヨード(ヨウソ)・・・発育を促進し基礎代謝を盛んにする
マグネシウム・・・筋肉の刺激性を高め、神経の興奮を抑制する
亜鉛・・・インスリンに含まれる。不足すると味覚障害になる。また乳児で欠乏すると皮膚炎になる
銅・・・酵素の構成成分

2,無機質の働き
①骨や歯の主成分として、骨や歯を構成する
②タンパク質と結合して、筋肉・皮膚・臓器・血液などを構成する
③神経の伝達・呼吸や筋肉の運動・排泄などの身体機能を調整する。体液を弱アルカリ性に保ち、浸透圧の調節を図る

◇誤っているものを1つ選びなさい
a、たんぱく質は1g約4kkalのエネルギーを発生する
b、たんぱく質の栄養価はそのなかの必須アミノ酸の含有比によって決まる
c、たんぱく質は消化酵素によりアミノ酸にまで分解されて消化吸収される
d、たんぱく質の構成元素は、炭素・酸素・水素である
答え:d・・・窒素も含まれる

◇脂肪酸に関して以下の問いに答えなさい
①室温で液体で、酸化しやすい脂肪酸はなにか
不飽和脂肪酸
②常温で固体で、炭素の二重結合を持たない脂肪酸は何か
飽和脂肪酸

◇以下の消化酵素によって、何がどのように分解されるか
①マルターゼ
麦芽糖をブドウ糖2分子に分解
②スクラーゼ
ショ糖をブドウ糖と果糖に分解
③ラクターゼ
乳糖をブドウ糖とガラクトースに分解

◇次の機能を主に行う器官を答えなさい
①消化機能はほとんど持たず、水分の吸収が主である
大腸
②胆汁が作られて十二指腸に分泌される
肝臓
③主な栄養素はほとんど吸収される
小腸
④インスリンとグルカゴンを分泌する
膵臓

第3章 栄養素の種類とその働き(1)

1、五大栄養素の働き

■三大栄養素
糖質・・・エネルギー源となる
脂質・・・エネルギー源となる
たんぱく質・・・身体の組織を構成する(エネルギー源となる身体の機能を調整する)
■五大栄養素
上記の三つに加え
無機質・・・身体の組織を構成する(身体の機能を調整する)
ビタミン・・・身体の機能を調整する
■その他
水・・・身体の組織を構成する

2、糖質
1、糖質の種類

単糖類(分子1)・・・ブドウ糖・果糖・ガラクトース
少糖類(分子2~10)・・・ショ糖・麦芽糖・乳糖
多糖類(多数の分子で構成)・・・でんぷん、デキストリン、グリコーゲン


■単糖類
①ブドウ糖(グルコース)
穀類・ハチミツ・果実・野菜に含まれる
甘みを持ち、ショ糖・乳糖・麦芽糖・でんぷん・セルロースなどを構成する
血液中に0.1%含まれる重要なエネルギー源
②果糖(フルクトース)
果物やハチミツに含まれ、糖類の中で最も甘みが強い
ブドウ糖と共にショ糖を構成する(ブドウ糖+果糖=ショ糖)
③ガラクトース
単独では存在せず、ブドウ糖と結合して乳糖を構成する(ブドウ糖+ガラクトース=乳糖)
乳糖として母乳に含まれ、脳や神経組織の構成成分となる
乳幼児の大脳の発育に重要な働きをする

■少糖類(オリゴ糖)(分子2~10)・・・ショ糖・麦芽糖・乳糖
ほとんどが二糖類
①ショ糖(スクロース)
果糖とブドウ糖が結合した二糖類
砂糖の主成分
②麦芽糖(マルトース)
ブドウ糖が2つ結合した二糖類
水あめの主成分で便秘に効果的
③乳糖(ラクトース)
ブドウ糖とガラクトースが結合した二糖類
水に溶けにくく、甘みは少ない
乳汁の重要な成分で母乳に5~7%、牛乳で4%含まれる。
乳児の脳神経組織の構成成分となる
乳酸菌を発育促進させて、整腸作用に役立ち、カルシウムの吸収を促進する

■多糖類(多数の分子で構成)・・・でんぷん、デキストリン、グリコーゲン
甘みはなし
①でんぷん
多数のブドウ糖が結合したもの
穀類・豆類・イモ類の主成分
でんぷんはアミロースとアミロペクチンからなる。
・アミロース・・・直鎖状にブドウ糖が結合。粘着性なし
・アミロペクチン・・・ブドウ糖が枝分かれして結合。粘着性あり
②デキストリン
でんぷんより分子量が小さく、水に溶けて強い粘着性を出す
③グリコーゲン
ブドウ糖が多数結合したもので、肝臓や筋肉に貯蔵されている糖質。
体内でブドウ糖が不足すると、グルカゴンによってブドウ糖に分解され血液が維持される。

覚えよう!αでんぷんとβでんぷん
αでんぷん・・・でんぷんが加熱して糊状になったもの。消化されやすく味もよい。急速に冷却あるいは乾燥させることによってα状態が保てる
βでんぷん・・・生のままのでんぷん。αでんぷんを水分を含んだまま放置するとβでんぷんになる


2、糖質の消化吸収
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3、糖質の働き
エネルギー源や身体組織成分となる
糖質の体内分解にはビタミンB1、B2、パントテン酸が必要になる。
血液中に乳酸がたまると疲れやすくなる
糖質を過剰摂取するとビタミンB1が不足する

4、食物繊維・難消化性糖類
■食物繊維の生理作用
・大腸がんの予防
・便秘の予防
・血糖値の上昇抑制、糖尿病予防
・血中コレステロール値の上昇抑制や正常化、動脈硬化予防
・肥満防止
・有害物質(食用色素など)の吸収を阻害

■食物繊維の種類
①水溶性食物繊維・・・血糖値・血中コレステロール値の上昇抑制、腸内環境の正常化
・ペクチン(果物)
・グルコマンナン(こんにゃくいも)
・アルギン酸(海草)
②不燃性食物繊維・・・整腸作用、唾液分泌量の増加、満腹感の維持
・セルロース(繊維素。ブドウ糖が結合したもの)
・リグニン
・キチン
・キトサン

■難消化性糖類
糖アルコールや難消化性オリゴ糖など
消化されずに大腸に達した後、腸内細菌の働きで発酵し代謝される

3、脂質
1、糖質の種類

単純脂質・・・脂肪・ロウ
複合脂質・・・脂肪にリン酸や糖が結合したもの
誘導脂質・・・脂肪酸やコレステロールなど脂質の分解物


■単純脂質・・・代表的なものは中性脂肪
①脂肪酸
・飽和脂肪酸・・・過剰摂取すると肝臓でコレステロール形成を促進し、血中LDLコレステロール濃度が上昇(動物性の脂)
・不飽和脂肪酸・・・常温で液体。酸化しやすい。(植物性の脂)

■複合脂質・・・リン脂質・糖脂質
①リン脂質・・主なもの「レシチンとケファリン」
レシチンは細胞膜の構成成分で、脂肪の乳化を促す。マヨネーズやマーガリンに利用される
②糖脂質・・・動物の脳に含まれる。神経系の作用を活発化させる

■誘導脂質・・・脂肪溶媒に溶け、水に溶けない
①コレステロール・・・細胞膜や性ホルモンの成分として必要な物質で、体内では肝臓で合成される。血液中のLDLコレステロールが140以上になると動脈硬化を引き起こしやすくなる。LDLコレステロールが低いと脳卒中の原因となる。
HDLコレステロール・・・善玉コレステロール(末梢組織の余計なコレステロールを肝臓へ運ぶ)
LDLコレステロール・・・悪玉コレステロール(肝臓で生成されたコレステロールを各組織に運ぶ)
②エルゴステロール・・・酵母・菌類に多く含まれる植物性コレステロール。紫外線によってビタミンD2に変化する

2、脂質の消化吸収
食物中の脂肪は膵液中の脂肪分解酵素「ステアプシン」によって分解され、小腸の腸壁から吸収される。脂肪は水に溶けないので胆汁酸が乳化させ、消化吸収されやすくする。脂肪は必要に応じて燃焼しエネルギーになるが、体内の糖質が不足した形で過剰摂取すると、尿中の脂質が増加したり(ケトン尿症)血液が酸化(ケトン血症)をもたらす危険性がある。

3、脂質の働き
脂肪は1g約9kcalの高カロリー物質。わが国では1日の総エネルギーの20%以上30%未満(成人)を目標としている
①エネルギー源となる
②貯蔵脂肪となる
③必須脂肪酸源である
④脂溶性ビタミンの吸収源となる
■必須脂肪酸・・・リノール酸・リノレン酸・アラキドン酸
体内で合成されず、食物から取る必要がある。欠乏すると小児の発育を遅らせ、皮膚炎・湿疹を起こす。ただし必要な量は一日数gなので極度の偏食でなければ不足することはない。多くは天然の植物油の中に含まれる

4、脂質の必要量と過不足
脂肪を過剰に取ると、消化機能の障害を起こし、マグネシウムの吸収を妨げる。動物性脂肪を取りすぎると動脈硬化や高血圧の誘引になる。不足すると発育障害や抵抗力の低下に繋がる

飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸の摂取割合は3:4:3である。
■多価不飽和脂肪酸の中の必須脂肪酸
・n-6系脂肪酸・・・リノール酸・アラキドン酸
・n-3系脂肪酸・・・αリノレン酸・エイコサペンタエン酸(EPA)・ドコサヘキサエン酸(DHA)
n-6系:n-3系の割合は4:1が望ましい

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Mikami Kako

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