第22章 栄養指導

1、栄養や食生活に関する教育・指導
①食事環境を整える
季節を感じる感覚を育てる、楽しい食卓作り
②清潔、衛生の習慣を身に着ける
手洗い、うがい、歯磨き
③正しい食事の習慣とマナーを身につける
よく噛んで食べる、何でも食べる、みんなと食べる
④食材や栄養の知識を身につける
身体をつくる食べ物の働き
⑤心の教育
感謝する心、食事を大切にする心

2、教育・指導に当たっての方針
①食事場面や保育の中で、媒体を用いて伝える
(パネルシアター、エプロンシアター、紙芝居)
②保育内容の体験を通して伝える
(飼育、収穫、クッキング保育、食事当番活動)
③地域の特性や連携を生かして伝える
(餅つき、行事)
④子どもの発育に沿った立案や計画を実施する

3、「保育所保育指針」における食育

2008年「保育所保育指針」の「食育の推進」
健康な生活の基本としての「食を営む力」の育成に向け、その基礎を培うことを目標とし実施されなければならない


■留意事項
①子どもが生活と遊びの中で、意欲を持って食に関わる体験を積み重ね、食べることを楽しみ、食事を楽しみあう子どもに成長していくことを期待するものである
②乳幼児期にふさわしい食生活が展開され、適切な援助が行われるよう、食事の提供を含む食育の計画を作成し、保育の計画に位置づけると共に、その評価及び改善に努めること
③子どもが自らの感覚や体験を通じて、自然の恵みとしての食材や、調理する人への感謝の気持ちが育つように、子どもと調理員との関わりや、調理室など食に関わる保育環境に配慮すること
④体調不良、食物アレルギー、障害のある子どもなど、一人一人の子どもの状態などに応じ、嘱託医、かかりつけの医師の指示や協力の下に適切に対応すること。栄養士が配置されている場合は、専門性を生かした対応を図ること
スポンサーサイト



第21章 児童福祉施設における食事

1、児童福祉施設における食事の方針
・集団での楽しい食事を通して、身体や精神を健全に発育させる
・食事内容、食事形態、時間、雰囲気、マナーなどに配慮して、家庭で食べるのと同じように落ち着いた気分でおいしいと感じられる食事を提供し、子どもたちが満足感、幸福感に浸れるように配慮する。
・後片付けや調理、配膳をしながら、望ましい食生活習慣を身に着ける

2、施設の種類と食事
■入所を伴う場合
児童養護施設、盲ろうあ児施設、情緒障害短期治療施設・・・朝・昼・夕、と間食
■通所施設
保育所。知的障害児通園施設、母子生活支援施設の乳幼児・・・昼1回
■その他特殊な条件にある施設
・乳児院・・・年齢に応じて
・肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、助産施設・・・各自の健康状態による

施設の種類
食事区分
乳児院
児童養護施設
知的障害児施設
盲ろうあ児施設
児童自立支援施設
情緒障害児短期治療施設
3食
肢体不自由児施設
重症心身障害児施設
特別な対応を含む3食
保育所
知的障害児通園施設
1食

少量でもバランスの取れた食事を提供するように心がける

3、保育所における食生活

(1)保育所における食事の利点
①同じものを仲間と食べることで、子供同士の親近感を育てる
②子ども一人一人の食行動発達について、援助や指導が出来る
③偏食をなおし、何でも食べる食習慣を育てることが出来、望ましい食習慣の形成に役立つ
④食生活や栄養の改善がなされ、地域や家庭の食生活の改善にも役立つ
⑤しつけや教育の場であり、生活習慣の定着が図れる

(2)保育所における食生活の注意点
①集団食中毒が発生する可能性がある
②集団のため、個人差を考慮しにくく、画一化されやすい



4、食事管理
(1)献立作成・調理の際の注意点
①献立作成
・食品構成に従って献立を作成する
・予算内に収める
・調理担当者の数や調理設備の状況に合わせる
・保育所の各行事や季節感を取り入れたメニューにする
・食事に慣れたら、食品の調理方法の範囲を広げ、味覚の幅を広げる

②調理
・食材の鮮度、賞味期限の確認
・味見をして調味料の確認をする
・食中毒発生の際の検査用として保存食(調理前・調理済)をとっておく
・配膳前に検査して、味・色・盛り付け、異物混入、異味異臭などを確認する

(2)盛り付け、配色の注意点
①盛り付け
・一人当たりの量を適量にし、見た目も考慮する

②配食
・適温配食・・・食品衛生上も好まれる
・適時配食・・・作業、人員などを考慮せず、子どもの生活時間に合わせる
・選択性・・・バイキング

(3)食事の評価、判定の実施
・食事場面での子どもの行動や態度を観察
・残食状況を確認し、給与食品検討表を作り、献立作成の検討に生かす
・一ヶ月に一度、身体測定の結果から発育を確認する
・手・指・全身の機能の発達をチェックする

5、集団調理施設における衛生管理
・手洗い
・職員の衛生教育の徹底
・職員の定期的細菌検査
・調理従事者の身支度の清潔や手指の清潔
・調理機器や器具の消毒、過熱
・調理の際の充分な加熱
・調理後はできるだけ早く食べる
・調理室の室温があがらないようにする
・水質検査
・防鼠、害虫駆除

第20章 障害を持つ小児の食生活

1、障害児の食生活の特徴(摂食機能障害ー租借・嚥下)
1、食べる機能の発達
①捕食・・・口に食べ物をとりこむ
②租借・・・取り入れた食べ物をすりつぶして唾液と混ぜる
③嚥下・・・呼吸運動と協調して食塊を口腔から咽頭へ送る

2、必要な栄養量・水分量
■栄養量
・自力で歩けない子ども・・・基礎代謝量で充分
・多動な子、筋肉の緊張が高い子・・・必要量は増加する
・重い障害があって、摂食異常を伴う場合・・・高エネルギー、高タンパクの食事量

■水分量
・動きの少ない子ども・・・通常の約半分
・多動、よだれが多い、発汗が多い・・・必要量は増加する

3、食べる機能の発達を促す食事
■嚥下機能練習食
舌の上に乗せ、口を閉じて圧力をかけて嚥下できるようにする
・調理形態・・・ペースト状
・介助・・・口を閉じさせて、舌があごにつきやすくなるようにする
・姿勢・・・身体を床面に対してどの程度起こすか、頭部をどの程度まえかがみにさせるかが重要

■押しつぶし機能練習食
舌で押しつぶしながら食べることを練習する
・調理形態・・・プリン、ゼリー状。とろみのあるもの
・介助・・・スプーンを下唇の上に乗せて、食べ物を上唇ではさみ取れるまで待つ。スプーンを水平方向に抜く
・姿勢・・・顔面が上向きにならず、少し下向き

■租借機能練習食
前歯で噛みとって、一口大を取り込み、奥の歯に運んですりつぶす練習
・調理形態・・・軟飯、肉団子
介助・・・一口大の大きさ、方さを加減する。舌の先と口蓋の前方の間に、食べ物を挟みこむような動きで取り込むように介助する
・姿勢・・・姿勢の保持や口唇を必要に応じて介助

2、障害児の食生活の問題点
1、摂食障害異常の要因
■中枢神経系の障害と原始反射の残存
①精神(知的)発達遅滞
②機能(運動)発達遅滞

■口腔・口周囲の過敏性
①形態発育の不調和・・・嚥下障害や誤嚥
②関連筋群の非強調運動・・・租借機能とその障害
③感覚・運動の体験不足・・・食べる体験の不足

■不適切な食環境
介助や食事内容が不適切な場合も摂食の問題となる
・介助の方法
・摂食時の姿勢、使用する食器
・調理形態、内容

2、障害による摂食時の問題点

①むせ・・・誤嚥の危険性のサイン
②舌突出・・・不随意運動(無意識)
③乳児様嚥下・・・上下の歯が合わさられず、その間に舌が入り、口を大きく開いて下を突出させる
④丸呑み・・・租借せずに嚥下


3、障害に伴う栄養・食生活の問題点
偏食、肥満

21

◇食物アレルギーを起こしやすい食物を3つあげなさい
答え:鶏卵・牛乳・大豆

第19章 小児期の病気と食生活

1、小児期の疾病の特徴
子どもは感染症にかかりやすく、一旦罹患すると進行が早く、全身症状を起こしやすい。また子どもは脱水症状を起こしやすいので、水分の補給も心がける

2、主な症状と対応
1、発熱
・夏季熱・・・高温多湿の環境条件が長く続くと、うつ熱状態(熱がこもって高体温になること)になる。熱中症も同じだが、涼しい場所で安静しに水分を充分に与えれば、回復する。普段から平熱を知っておくことが大事。

発熱時は湯冷ましや番茶、麦茶などで水分の補給を行い、食物は水分の多いさっぱりしたものを与える。エネルギー代謝も盛んになっているので、たんぱく質やビタミン、無機質の補給も大切である。

2、嘔吐
吐き気がおさまったら、嘔吐により喪失した水分・電解質を補給するため「経口電解質液」(乳児用電解質飲料やスポーツドリンク)を室温程度にして、様子を見ながら与える。その後、麺や粥など水分の多い柔らかい食べ物を与え、回復状態を見て柔らかく煮た野菜や豆腐、白身魚、卵などを与える

3、下痢
乳児の場合、緑便でも他に異常がなければ心配なし。しかし嘔吐・発熱・食欲低下などがあれば要注意。嘔吐のあるときは、水分以外の食物を中止するが、脱水症状のないときは離乳食を与えてもよい。

2週間以上続くときは、食物アレルギーや腸管感染が疑われる。乳児早期(3ヶ月以内)で下痢による栄養障害が見られる場合は乳児難治性下痢といわれ、入院が必要。

■乳糖不耐性
・先天的なもの・・・乳糖を含まない特殊ミルクや乳糖を含まない離乳食で対応
・第二次乳糖不耐性(後天的なもの)・・・ウイルスや細菌性腸炎、乳児急性下痢。軽い場合は乳糖分解酵素製剤などで回復できる

3、食事療法
1、急性腎炎
塩分の摂取制限(症状によって制限が異なる)
2、ネフローゼ症候群
たんぱく質を多めに摂取する。最近はステロイド剤の使用によって治療用の高タンパク質食品を摂取しなくてすむようになった。浮腫に対しては、水分と塩分の制限を行い、果物などのカリウムの多い食品をとるようにする
3、糖尿病
■インスリン依存型・・・感染症などが原因となって発症
エネルギーは正常な子どもと同じ
■インスリン非依存型・・・生活習慣病からくる
エネルギー摂取量を制限する、不飽和脂肪酸の多い植物性脂肪を多く採る
4食物アレルギー

アレルギーがおこる仕組み
異質の物質(抗原あるいはアレルゲンという)が肺って来るときに起こる、抗原抗体反応の過剰反応
・食品(三大アレルゲン・・・鶏卵・牛乳・大豆)
・ダニ
・ハウスダスト
■症状
消化部・・・腹痛、嘔吐、下痢
皮膚炎・・・かゆみ、じんましん、アトピー性皮膚炎
呼吸器・・・ぜんそく、ショック状態
食物を制限する場合は必ず医師の診断の元で行う


5、先天性代謝異常
多くの場合は治療用ミルクが用いられる

第18章 学校給食と栄養教育

1、学校給食の意義・目標

学校給食は全ての児童・生徒の健康の増進と体力の向上を図ることを第一の目標とする

学校教育法の達成目標
①適切な栄養の摂取における健康の保持増進を図ること
②日常生活における食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる理解力を培い、望ましい食習慣を養う
③学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養う
④食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることを理解を深め、生命及び自然を尊重する精神ならびに環境の保全に寄与する態度を養う
⑤食生活が食に関わる人々の様々な活動に支えられていることについて理解を深め、勤労を重んずる態度を養う
⑥わが国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深める
⑦食料の生産、流通及び消費について正しい理解を導く


2、学校給食における栄養教育
・学習の中で栄養教育を行う
・給食の目標が達成できるように家庭との連携を図る
・地域と密接な連携を保ちながら学校給食の意義を高める

3、食育
2005年、食育基本法が制定される
■食育の定義
①生きるうえでの基本であって、知育、徳育、体育の基礎となるべきものである
②様々な経験を通して「食」に対する知識と、「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することが出来る人間を育てること

■法の目的
国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むことが出来るよう、食育を総合的に推進すること

■今後の取り組み
①家庭における食育
②学校・保育所等における食育
③地域における食文化改善のための取り組み
④食育推進運動の展開
⑤生産者と消費者との交流や農林漁業の活性化
⑥食文化継承への活動の支持
⑦食品の安全性、食生活に関する調査、研究、情報提供及び国際交流の推進

「食育基本法」における「食育」とは
①生きるうえでの基本であって、知育、徳育、体育の基礎となる
②様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することが出来る人間を育てる


第17章 学童期・思春期の心身の特徴

1、学童期・思春期

WHOの思春期の定義
①第二次性徴の出現から性成熟までの段階
②子どもから大人に向かって発達する心理的過程ならびに自己を認識するパターンの確立段階
③社会経済上の相対的な依存状態から完全自立までの過渡期


2、学童期・思春期の食生活
1、食生活の問題点
この時期には身体の成長がいちぢるしく、内臓や筋肉・骨格なども発育しているため、それに対応する栄養が必要である。
しかし実際は
・朝食抜き
・夜更かし
・インスタント食品やスナック菓子・清涼飲料水を好む
・動物性食品に偏る
傾向がある。

そのため、無理なダイエットなどが重なり、
・貧血
・やせ
・肥満
・脂質異常症(高脂血症)
・神経性食欲不振症
・などを引き起こす

2、食生活改善に向けた対応
・1日3食を規則的にとり、バランスのよい食事をする
・牛乳、乳製品、野菜、果物を十分に摂取する
・食べ過ぎや偏食をしない
・間食は色々な食品からとり、量に注意する
・加工食品やインスタント食品は正しく利用する
・家族一緒に楽しく食べる
・日常に適度な運動を取り入れる

■血中LDLコレステロール値が高い場合は
過食によるエネルギー過剰や、糖質や飽和脂肪酸を取りすぎていることが原因であることが多いため、「肉に偏らず魚を食べる、野菜や大豆が不足しないようにする」などの指導をする。
■高血圧
食塩の摂取を、男子10g未満、女子8g未満を目標にする
■鉄欠乏性貧血
女子の月経時に多いので、鉄分の摂取も意識する

2、食生活にみられる問題とその対応
1、肥満
■肥満の原因
①単純性肥満
・糖質を取ると、脂肪となって体内に蓄積されやすい体質
・糖質の取りすぎ
・エネルギーの消費不足
②病的な肥満
・ホルモンの異常
・脳腫瘍
・精神的因子などによる先天的な病気

■単純性肥満への対応
運動量を増加させて消費エネルギーを増やし、食事摂取量を減少させて摂取エネルギーを減らす
①糖質(甘いもの・スナック菓子)などに偏ったエネルギー摂取の食生活改善
②生活のリズムや生活態度の見直し、改善
③身体を動かすことの習慣化
④1日の食事は3食欠かさず規則正しく
⑤ゆっくりかんで楽しい食事を
⑥夜食、むら食いを避ける

2、、脂質異常症(高脂血症)
脂質異常症(高脂血症)とは、血中の中性脂肪やLDLコレステロール値が異常に増加、HDLコレステロールが低下した状態をいう。動脈硬化の危険因子であり、肥満を伴うことが多いため、肥満を解消することで症状を改善することが出来る。
■食事への対応
①1日の摂取エネルギーを控える
②コレステロールの多い食品を控える(卵黄、魚卵、内臓、いか、えび、うなぎ、小魚)
③単品料理は避け、栄養はバランスよく
■運動への対応
毎日1時間程度積極的に身体を動かすことが理想

第16章 幼児の食生活上の問題点とその対応

1、幼児の食生活にみられる問題
①運動不足や不規則な食事
②間食の取りすぎ
③テレビを見ながらの食事

2、問題の原因とその対応
1、好き嫌い・偏食
■偏食の原因
①離乳期において、用いた食品に偏りがあった場合
②食べ物に対する不快な経験(味・におい・感触・色・形・食べ物によって引き起こされた身体症状など)
③家族や友人の偏食からの影響
④自分に関心を引くための心理的要因(欲求不満・反抗期)
⑤食事や間食が不規則であった場合
⑥食事の無理強い

■偏食への対応
①空腹状態にしてから食事に臨ませる
②無理強いしたりほめたりせず、食べたらほめる
③離乳期から、幅広く食品の味わいや臭いに慣れさせる
④使用回数や量を少なめにしたり、切り方や盛り付けなど調理に工夫する
⑤和やかな雰囲気作りを心がけ、楽しく食べる


2、食欲不振
食べても小食だったり、食べたり食べなかったりする、いわゆる「むら食べ」は幼児期の特徴である。発育に異常が見られず、機嫌がよければ問題がない。
■食欲不振の原因
①間食の取りすぎ
②ビタミンB1の不足や糖質の過食
③運動不足や過労
④暑さなどによる睡眠不足
⑤親がしつけに厳しく、強制が多くなることで、子どもの欲求が満たされにくい
⑥家庭内の不和

■食欲不振への対応
①運動をさせ、空腹な状態にして、自分から食べようとする意欲を持たせる
②生活全体のリズムを整える
③食べなくても強制せず、時間を区切って食事を終わらせる
④家庭内の雰囲気をおだやかで、楽しく和やかなものに保つ。食事中は細かいことを言わない


3、子どもだけで食べる
個食・・・家族がばらばらなものを食べる
孤食・・・ひとりで食事をする

4、生活・食事リズムの乱れ
午睡の取り方で夜の就寝を妨げないように注意し、夕食・就寝時間ともに遅くならないように気をつける

第6章 イギリスのプライマリケアに学ぶ

その3 人々の健康を考える多様なスタッフ

1、一般医
イギリスのプライマリケアの発展には、中世の「アポセカリー」と呼ばれる街の薬屋さんとして、実質的に庶民の医療を担ってきた伝統を持つ「一般医」が存在すると言うことが、大きな基盤となっている。

1948年の国民保健サービスでも、人頭報酬によって診療報酬を受けていると言うことが、イギリスのプライマリケアの体制を支える大きな特徴となっている。
一般医は病気をにるのではなく「人間をみる」ことが、人頭報酬制の理念である。

一般医は登録住民に対して
・24時間365日、住民の健康に責任を持つ
・疾病対策にとらわれず、日々住民の健康に責任を持つ
ことが求められてきた。

これに対し2004年の改革(新しい契約)では
①月曜~金曜の8:30~18:00以外の患者は、所定の番号に電話すれば、自動的にトラストの運営する時間外担当施設に紹介される仕組みになる(24時間体制からの解放)
②健康の管理に関して「冠疾患、脳卒中、高血圧、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、てんかん、甲状腺機能低下症、がん、精神保健、喘息を対象に診療報酬が加算されることになった。

<一般医の「新しい契約」について>(インタビューより)
従来は患者のアジェンダ(課題)に取り組む形を取っていた。患者が問題を持ち込み、医者が対応する形を取っていた。しかし現在では医者もアジェンダを持ち、PCを使って情報を吟味し診察の参考にしている

<時間外の診察体制について>
医者の労働条件がよくなるということと、仕事のやり方を変えれば褒美が出ると言うことで納得したが、内心は複雑である。なぜなら一般医は患者の誕生から死まで看取り、継続的なケアの責任を負うという感覚があったからである。一般医が金銭主義に走り、患者との信頼関係や家庭医として患者を見るという感じが少なくなってきている。

<一般医への医学生の評価>
一般医は病院勤務医より長く働き、ストレスのたまる職業であることから、新しい契約が始まったのだと思われるが、一般医がイギリスで尊敬される対象であることに代わりはない。

2、保健師
1839年、イギリスでは炭鉱地帯なので5人の子どものうち2人は5歳を待たずに亡くなっていた。このような悲惨な状況や自分の病院の中で手遅れの病気の子どもを見たターナー医師が1852年に篤志訪問協会を設立を提案。こうしてマンチェスター・サルフォード衛生協会が設立され、10年後に婦人衛生改革協会が設立された。これがイギリスの訪問保健活動の始まりである。

<母子保健のターゲット>(インタビューより)
親や子どもの健康を促進するためには、親をサポートし、子どもの健康を損なう予防可能な病気や生活状況を防ぐことが大事である。
・感染症予防(定期的な予防接種プログラム)
・妊娠期と出産直後の家族状況のアセスメント

<国民サービス・フレームワークについて>
全国規模の計画であり、国民生活の特定分野をターゲットにしている
(子ども、高齢者、糖尿病やがん、脳梗塞や糖尿病の予防など)
国民サービス・フレームワークの強みは、専門家やボランティア、役人など様々なバックグランドを持つ人たちが一緒に仕事をすることである。

<チームケアについて>
チームケアではケアを受ける人が一番重要な評価の基準である。一般医はチーム全員と緻密なコンタクトを取り、患者と密接に関わっている。

保健師の仕事は衛生監視官の仕事とは異なる。保健師の仕事は、家庭を預かる婦人の友人となり、衛生の考え方を家庭の中に持ち込むことである。この仕事は重要であるばかりでなく、人々の健康を保持するのに唯一の方法であるといえる。

3、地区看護師
子どものケアの充実に向けた活動のひとつの中心になっているのが、地域小児看護である。

<地域小児看護師の理念>(インタビューより)
子どもたちは可能な限り、家族のいる自宅でケアされるべきである。

<仕事の進め方>
様々な担当当局と連絡を取る。特に急性疾患センターと連絡を取って、子どもの退院に向けて活動する。重要なことは、患者の介護をする親がサポートされているかどうかと言うことである。

<地域小児看護師のサービス>
まず重要なことは、サポートとリソースの提供である。患者の親が飛鳥としているサービスや知識の確保をすること。臨床面では、家庭での点滴や牽引、人工呼吸器、酸素吸入、栄養補給の措置など。以前は人工呼吸器が必要な子どもは入院せねばならなかったが、自宅と言う選択肢が増える。

<最も重要なこと>
子どもの自宅介護を可能にするために、親にサポート、知識、機具を提供することである。終末期の24時間看護体制や、特別なときは夜間や週末に子どもの看護サービスを行うこともあるが、非常に高くつく。

厳しい障害と闘う子どもを、地域の全ての資源を動員して支えることは非常に大変なことである。看護職の人たちの地域における、強力で自立的な仕事の展開があって、推進される地域ケアの現状は、人々の健康を支える基盤と言う観点から学ぶ点が多い。

4、ソーシャルワーカー
地域ケアは、社会福祉部門が担っている。
この国でも1980年代までは、障害のある人のケアは両親に依存しており、障害のある人は、障害を克服することなど期待されていなかった。

■ルイスさんの例
ルイスさんも15歳になっても読み書きが出来ず、母が教育委員会に行くと、最初は追い返されそうになったが、当時の教育院長が扉を開け「私に何か出来ることはありませんか?」と聞いてくれた。「息子に勉強をさせたいというと、校長と話し合ってくれ、ルイスさんは2年間学校に通い、その後大学にも進学する。

どのように社会保障が進んでいる社会であっても、声をあげなければ前進がなく、ドアを開けてくれる存在(この場合は母親)が不可欠である。その意味で、地域の社会福祉や保健の専門職の人の役割は大きい

<地域ケアプランについて>(ルイスさんのインタビューより)
24事案在宅ケアのパッケージを利用している。費用はダイレクト・ペイメント制度と自立支援基金の療法から出ている。ルイスさんの希望はもちろん、介護人の要求も考慮し、1年に一回ケアプランを作成する。ケアの変更は要望があればいつでも対応する。

<長い道のり>
一番重要だったのは、自立することと選択権をもつことであった。障害を持つものは発言権を持つことであるし、人間的に強い人を回りにおいておくことである。

<次の目標>
自分の経験を他の人に伝えていくこと。

5、結語
人々の多様な健康状態を支えるためには、なによりも多様な施設や多様な職能の人たちが、それぞれ固有の役割を、互いに連携しながら自立的に担うことが不可欠である。日本は欧米先進国の制度を輸入し、一律的で画一的な社会を作ってきた。しかしイギリスには先進諸国に追いつけ追い越せの理念はなかった。

イギリスでは保守党:労働党、専門医:一般医など、二つの力の間の妥協の上に歴史が刻まれてきた。追いつけ追い越せのない世界では、妥協して社会の歩みが刻まれてきた。

日本では一律的で画一的な制度の下で、平均寿命世界一の記録が達成された。しかし、平均寿命世界一の社会は、世界一多様な健康状態の人が生活する社会である。一律的で画一的な制度では対応できない。

20

◇幼児の間食について誤っているものを選びなさい
①目的は栄養補給が第一である
②摂取量は総エネルギーの20~25%が望ましい
③回数は、1~2歳で一日2回、3~5歳では1回が適当である

答え:②10~20%が望ましい

第15章 幼児期の食生活

1、幼児期の栄養の留意点
①単位体重あたりの摂取エネルギーや栄養素の必要性を考える
②消化・吸収が未熟であるため、食べ物の質や調理方法、与え方に配慮する
③無理強いはせず、幼児の意思表示を尊重する
④正しい生活習慣を形成する時期なので、生活リズムに適した食事回数や食事量を考慮する
⑤細菌の抵抗力が弱いため、感染予防に心がける
⑥乳歯は虫歯になりやすく、放置すると租借機能が遅延し、胃腸障害を起こすので注意する

2、幼児期の食生活
1、子どもの心と食習慣
母子関係や家族関係の中で食べることを体験として積み重ね、意識に定着させ、習慣化するための働きかけが大事である

2、食行動の発達と社会化に沿った食学習
離乳期・・・乳汁・・・吸う

離乳期・・・離乳食・・・舌や歯茎でつぶして飲み込む、食べる

幼児期・・・幼児食
介助食べ→手づかみ食べ→自立食べ→→社会食べ

3、幼児食と食品構成
1、食事配分
朝食
間食
昼食
夕食
20~25
10~20
25~30
25~30

2、食品の組み合わせ
主食、主菜、副菜の組み合わせとし、「六つの基礎食品群」の中から1~2品以上の食品を用い、たんぱく性食品、穀類、野菜(とくに緑黄色野菜)をバランスよく取り入れる

4、間食の必要性と与え方
1、間食の必要性
胃の内容量が小さく、消化機能も未熟なので、捕食が必要である。
3歳未満児は1日5回食(間食2回)、3歳児以上は1日4回食(間食1回)と考える。
間食は休息や気分転換の機会でもある。

2、間食の与え方
■量
総エネルギーの10~20%
■回数
1~2歳・・10時、15時。3歳以上・・・15時
食事との間隔は2~3時間
■間食に取り入れたい組み合わせ
季節の果物、穀類やイモ類、牛乳などの乳製品、大豆製品
■間食に避けたいもの
塩分の多い食品
刺激性や興奮性の高い食品・・・チョコレート、ガム、あめ、ケーキ、せんべい、クッキーなどの菓子類
コーラなどの炭酸飲料

間食を与えるときの注意
・栄養のバランスを考え、味覚・嗜好の形成に悪影響を及ぼすものは与えない
・3度の食事を十分取れるよう、量・時間を考慮する


第14章 離乳期の栄養と食生活

1、離乳の支援に関する基本的考え方
離乳については、乳児の食欲、摂食行動、成長・発達のパターン、あるいは地域の食文化、家庭の食習慣などを考慮した無理のない離乳の進め方、離乳食の内容や量を個々に合わせて進めていくことが大切である。

離乳の支援にあたっては、子どもの健康を維持し、成長・発達を促すように支援すると共に、授乳の支援と同様、健やかな母子・親子関係を促し、育児に自信を持たせることを基本とする。

子どもの成長や発達状況、日々の子どもの様子を見ながら進めること、強制しないことに配慮する。

生活のリズムを身につけ、食べる楽しさを体験していくことが出来るよう、一人一人の子どもの「食べる力」を育むための支援が推進されることをねらいとする。

2、離乳とそのすすめ方
1、離乳の必要性
①乳児は発育するにしたがって、固形物に興味を持つ
②母乳の分泌が少なくなるので、離乳によって栄養を補給する
③身体の発育とともに、乳汁だけでは発育・健康に影響を及ぼす
④乳以外の栄養素(鉄・ビタミン・たんぱく質)が不足する
⑤離乳食は生歯を促し、口腔機能の発達を助ける
⑥味覚の形成

2、離乳食の進め方、与え方
■原則
①無理強いはしないで、少しづつ確実に
②1日1回1さじから、授乳前の空腹時に始める
③食欲、便の形態や回数に注意する
④12~18ヶ月ごろに完了するのを目指す
⑤水分の量や味付けに注意する
⑥乳と合わせて栄養バランスの必要量を満たすような食品の組み合わせを考慮する。初期は慣れることをまず重視する。

■離乳の基準

離乳の開始・離乳の初期(生後5~6ヶ月頃)
・開始後1ヶ月は「1日1回ひとさじ」から。1ヶ月過ぎたら2回にする
・母乳やミルクは欲しいだけ与える
・アレルギーの少ないつぶし粥からはじめて、慣れてきたらじゃがいも、野菜、果物などを試す。さらに慣れてきたら豆腐、白身魚を試す
・飲み込むことと舌触りに慣れることが大切
・蜂蜜は乳児ボツリヌス症予防のために、満一歳まで与えない


7~8ヶ月ごろ
・1日2回食を基本とし、離乳食後の母乳はほしいままに、ミルクは一日3回程度与える
・1日2会食で、食事のリズムをつけ、色んな食材に慣れさせる
・卵は固ゆでの卵黄から全卵へ。魚は白身から赤身、青皮魚へ。乳製品はヨーグルト、チーズを進めてもよい
・脂肪の少ない鶏肉、豆類、海草、各種野菜など種類を増やすが、脂肪の多い肉類は時間を遅らせる
・舌でつぶせる堅さとする


9~11ヶ月
・生後9ヶ月から1日3回食とする。離乳食後の母乳はほしいままに、ミルクは一日2回
・鉄の不足に配慮し、赤身魚、レバー、肉を取り入れる。乳製品の代わりに育児用ミルクを使ってもよい
・フォローアップミルクは、離乳食が進まず、鉄の不足のリスクが高い場合に9ヶ月以降必要に応じて使用する
・食事のリズムを大切に、家族と一緒に楽しい食体験を味合わせる
・はぐきでつぶせる堅さ


12~18ヶ月頃
・1日3回食、そのほかに1日1~2回の間食をめやすとする
・離乳の完了は、母乳やミルクを飲んでいない状態を言うのではなく、エネルギーや栄養素の大部分を食物から取れるようになったことを言う
・一日3回の食事タイムを大切に。
・形態ははぐきで噛める堅さ



■離乳を行う際のポイント
①離乳開始時期を除き、食品のⅠ・Ⅱ・Ⅲグループを組み合わせる。Ⅲグループの食品を与える場合には、魚、肉、豆腐、卵、乳製品のいずれかを与えるようにする
②目安量にとらわれず、子どもの食欲や成長・発達の状況に応じて食事の量を調節する
③1日2回食にするころから、穀類、野菜、果物、たんぱく質を組み合わせたものにする
④調理を行う際には、衛生面に十分配慮する
⑤離乳開始直後は調味料は必要ない。その後も薄味で美味しく。油脂類の使用も少量とする

3、離乳期の栄養上の問題点と対応
■アトピー性皮膚炎と除去食
アレルギーに対する医療行為となるので、必ず医師の診断の元で行う
■乳汁と離乳食のバランス
離乳初期から離乳食を好むというので乳汁を減らすと栄養不足になる。
■鉄の不足
離乳食後期からは鉄の含有量の多い食品を用いる
■噛む機能の発達
離乳食で調理形態に配慮し、乳児の租借力の基礎を作る
■電解質、果汁飲料の多飲
乳児下痢症の治療の一環として、おもゆや野菜スープよりも乳児用電解質が含まれている。これは過度の酸味や甘みがあり好まれるが、与えすぎは乳汁や離乳食嫌い、乳児虫歯の原因となる

4、集団保育施設での離乳食
①調理に関しては十分に加熱し、衛生面に留意する
②個人差を入れた離乳食にする
③一定の時間を決めながらも、一人一人に合わせて多少時間が前後することも考慮する
④食物アレルギーがないか、入所時に保護者と話し合いを持ち、連携する

19

◇母乳栄養に関する文章で、誤っているものを選びなさい

①授乳の際は、乳児を抱いて行う
②ビタミンK欠乏による頭蓋内出血を起こした乳児の多くは人工栄養児である
③授乳時間は、1回10~15分で、10分間ぐらいで約90%を飲むので、授乳時間を延ばしても哺乳量は増えない

答え:

第5章 イギリスのプライマリケアに学ぶ

その2 人々の健康を支える施設

1、ブラックバード・リース・ヘルスセンター
■ヘルスセンターの運営
<1>ヘルスセンターの運営(インタビューより)
ヘルスセンターの意思決定は、事務長がアシスタントと一緒に判断し、2ヶ月に一度正式なミーティングを行う

<プライマリ・トラストとの関係>
相互尊重と相互サポートの関係。トラストから目標が与えられm予算も出る。

<一般医の新しい契約>
一般医の契約は質を尊重している。出来るだけ初期に診断すること・禁煙アドバイス

■ヘルスセンター構想の系譜
1946年の国民保健サービス法で、すでにヘルスセンターの役割は大きく取り上げられ、センター設立の責任は地方自治体にあった。しかし地方自治体は住居建設で手一杯であり、また政府は国有された補充に着手することに目いっぱいであった。

しかし、高騰する医療費をどうにかしなければならないという声や、多くの病気が医院よりも自宅ケアを必要になったことをうけ、1966年政府は、一般医にスタッフの給料、建物や家賃の補助をすることを決めた。この時点で、今日のチームケア体制の財政基盤が出来たと言える。

■チームケアの世界
こうして医師のチームケアとも言うべきグループ診療が進むにつれ、一般医と保健士、地区看護士らのチームケアが進んでくることになった。

所属組織の違う一般医と保健士、地区看護婦のアタッチメント方式によるチームケアは、このオックスフォードで始まったのが最初と言われている。ブラックバード・リース・ヘルスセンターでは、保健士や看護士は必要に応じて一般医と接触し、月一回ミーティングが持たれている。

2、シェア・スタート・ファミリーセンター
統計的に恵まれない人が多く住む町ローズヒルーリトルモア地区のシェア・スタート・ファミリーセンター。母子保健の向上に向けて、イギリスで1998年に4歳以下の小児と家族に向けた予算の強化を図る。この計画は新しく何かを始めるというのではなく、従来からあるファミリーセンターやコミュニティセンター、保健士による訪問、助産師の妊婦ケア、プレイグループ、子どものケア活動などを行う。

シェア・スタート・ファミリーセンターでは、トラストから派遣された常勤保健士の元に、助産師、言語療法士、保健士、事務職が非常勤で派遣されている。

目的は
・ティーンエイジのプレグナンシーを少なくすること
・子どもの虐待のレジスターを減らす
など「基本は子ども」

<ファミリーセンターの事業>
・ヘルスクリニック
・妊婦のクラス
・コミュニティ教育
ボランティアもいて地域の人と関わっている。

<シェアスタート計画>
色々な国籍や生活環境にある母親が来るが、地域の人と共にやっていくと言うことが一番大切である。

3、在宅ケアの拠点ーコミュニティ・ホスピタル
■在宅ケアの種類
コミュニティ・ホスピタル(一般医病院)とホスピス。
一般の救急疾患病院は、それ自体トラストとして運営されてるが、コミュニティ・ホスピタルはプライマリケア・トラストに所属している。

<コミュニティ・ホスピタルの役割>
最も重要な役割は「リハビリ」の分野である。患者は一般医の紹介や救急疾患病院から転院して来て、家に帰る前の中間拠点としてここに来る。

<多い症状>
脳卒中から骨折まであるが、最近はより複雑な患者が来ている。手術後のリハビリやターミナルケアのために来る。平均在院日数は38日でこれぐらいの長さがよい。

<病院の評価>
定期的なコミュニティ病院の監査があり、ケアのさまざまな面について視察し、基準を満たしているか確認する。小規模の病院は効率が悪く、地域住民の反対があっても閉鎖される場合がある。しかし地域に密着した施設こそ地域には不可欠である。

4、子どものホスピスーヘレンハウス
1982年、世界ではじめて設立された子どものホスピス。
きっかけはヘレンと言う脳腫瘍の子の看護である。両親は余命いくばくもないわが子を自宅でケアしようとしたが、いかに大変な負担を強いられるかを経験する。それで、施設の創立者シスター・フランシスが時々預かることにする。両親は自身の寝不足を回復し、何ヶ月も頑張ることが出来た。これを例にヘレンハウスを設立した。

<子どものホスピスの思想>
・家族こそその道の専門家である・・・家族の言うことに耳を傾け、家族から学ぶこと
・友人が傍らにいること・・・ただそこにいること

<1番大切なこと>
同じ病気であっても、一人一人別な人間として扱うこと

<その他>
この施設は政府からの援助を受けていない。全て寄付である。寄付だけでこのようなすばらしい事が出来ると言うのは、「自分のことは自分でやる」というイギリスの人たちの文化の長い伝統が象徴されているようだ。

5、ホスピスーソーベルハウス
ヘレンハウス・・・18歳未満の子ども
ダグラスハウス・・・18歳から64歳まで
ソーベルハウス・・・65歳以上

<ソーベルハウスの沿革>
ホスピスへの関心と、死を迎える人々の介護をする場所が必要であるという考えが背景にある。それで、がん救済協会の会長ソーベル氏が話し合いの結果、県の保健局が運営費を捻出し、地元住民が設備や機械の購入費を求め支援する意思があるのであれば、ソーベルが建設費を負担することになった。つまりホスピスは三社契約のようなものであった。

<ソーベルハウスの精神>
他のホスピスと変わらない。死を迎える人の世話をすることに違いないが、初期の痛みや症状の管理で問題を抱える患者も多くなってきた。チームが一丸となって患者やその家族と共にパートナーとして仕事をするというのが、ソーベルハウスの精神である。また自宅にいる患者にも手を差し伸べている。プライマリケア・チームとも緊密に連絡を取っている。

<緩和ケア教育とトレーニング>
緩和ケア教育、トレーニングは医学生、看護学生が学部のときからやらなくてはならない。一般医も地区看護士も緩和ケアを実施するところは多いから。

よい緩和ケアについて、一般的なことを誰もが理解していれば、患者がどこにいても、最悪な死に方をすることも、症状管理を全く受けられずに痛みにもだえて死ぬこともない。

6.まとめ
イギリスの医療の基本として、病院は疾病の治療をするところであって、人間が死ぬところではない、亡くなるのはあくまで在宅であると考えがある。しかし、どうしてもなくなる前に激しい疼痛や心理不安に襲われることがあり、在宅では対応が困難であるということがある。そのときのために必要な場所としてホスピスがある。

ところが最近では、イギリスでも病院で亡くなる人が60%を超え、病院で働く医師にとっても緩和ケアの実践が不可欠となり、医学教育の中で重視されるようになってきた。
また、人々の多様な健康に対して、いかに多様な施設が必要であるかもわかった。多様な施設は、子どものホスピス(ヘレンハウス)のような、寄付で賄えるという人々の心があってこそ、地域の中に根づき、愛される施設として活躍できる。

第13章 授乳期の栄養

1、授乳期の栄養の特徴
授乳期前半の栄養は脳に影響するといわれ、生後5~6ヶ月までに乳だけで栄養をとることを乳汁栄養という。

2、授乳・離乳のポイント
■2007年 「授乳・離乳の支援ポイント」
<策定のねらい>
①授乳、離乳を通して、母子の健康の維持とともに、親子の関わりが健やかに形成されることが重要視される
②乳汁や離乳といった「もの」のみに目が向けられるのではなく、一人一人の子どもの成長・発達が尊重される支援を基本とする
③妊産婦や子どもに関わる保健医療従事者において、望ましい支援のあり方に関する基本的事項の共有化を図る
④授乳、離乳への支援が、健やかな親子関係の形成や子どもの健やかな成長・発達への支援としてより多くの場で展開されるようにする

<保健医療従事者が授乳の支援を進めるためのポイント>
①妊娠中から適切な授乳方法を選択でき、実践できるように支援する
②母親の状態をしっかりと受け止め、赤ちゃんの状態をよく観察する
③授乳のときは出来るだけ静かな環境で、しっかり抱いて優しく声をかけるように支援する
④授乳への理解と支援が深まるように、父親や家族、身近な人への情報提供を進める
⑤授乳で困ったときに気軽に相談できる環境作りや、授乳展開中でも外出しやすく、働きやすい環境を整える

授乳は、赤ちゃんが「飲みたいと要求」し、その「要求に応じて与える」という赤ちゃんと母親の両者の関わりが促進されることによって、安定して進行して行くとされている。

3、母乳栄養
1、母乳と成熟乳

■初乳
分娩後約1週間の間に母乳から分泌される乳
新生児に適した性質を持ち、分泌量は少なく、黄色く粘りがある。酵素や免疫性に富み、乳児の胎便の排出を促す作用がある。成熟乳に比べてたんぱく質や無機質を多く含み、乳糖が少ない

■成熟乳
分娩後約10日くらいから成熟乳となる。
初乳より少ないが免疫性があり、腸内に乳酸菌の繁殖を促す作用がある。組織は一定し、乳児の健康な発育に必要な栄養をバランスよく含んでいる


2、母乳栄養の特徴

○栄養面
・乳児に必要な栄養の全てを適切な割合で含んでおり、ほとんど全部が消化吸収されるので代謝負担が極めて少ない
○健康面
・感染抑制物質を含むので、乳児に抵抗がつく
・乳酸菌(ビフィズス菌)の増殖を促し、腸内での雑菌の繁殖を抑えるとともに、無機質の吸収、ビタミンB群の合成を促す。
・母乳は乳児の身体と同種のたんぱく質であるためアレルギーが起こりにくい
○心理面
・授乳によるスキンシップは両者の間に愛情を育て、乳児の人格形成によい影響を及ぼす
○その他
・常に適温
・味やにおいが乳児に適している
・母体の子宮の収縮を促し分娩からの回復を早める
・経済的で手間がかからない
・乳幼児突然死症候群の予防になるといわれている


3、授乳法
■授乳回数と感覚
・新生児・・・乳の量も少なく、乳児も上手に飲めないので欲しがるままに与える(自律授乳)
・生後1ヶ月以降・・・約3時間間隔で一日6~7回(夜中は1回抜く)
・生後2ヶ月以降・・・3~4時間間隔で1日5~6回(夜間はしだいになくなる)
時間を厳守する必要はなし

■授乳の時間
約10~15分。最初の10分間ぐらいで90%の量を飲むので引き伸ばしても代わらない

4、授乳の仕方
乳児をゆったり抱いて、清拭した乳首を深く含ませる。授乳が済んだら縦に抱いてゲップさせる

5、母乳栄養時の状態
■順調な場合
・皮膚がみずみずしく血行がよい
・身長・体重がバランスよく成長し、精神面や運動面も順調に発達する
・芳香性酸臭のする便を一日数回排泄する
・快食快眠で全体に機嫌がよい
・病気に対する抵抗力がつき、罹患しても軽い
■不足してる場合
・授乳時間の感覚が短く、30分経っても飲んでいる
・不足が続くと皮膚が蒼白になり、筋肉に弾力性がなくなる
・機嫌が悪くなり、病気に対する抵抗力が弱まる
・体重の増加が鈍く、発育が遅れる
・眠りが浅く、すぐ目覚めたり夜泣きをする
・便の回数が減ったり、下痢をしたりする

6、冷凍母乳
自然解凍または流水解凍

7、母乳の終了
意思で辞めさせるのではなく、離乳完了期の間に自然に子どもが飲まなくなるのが理想

4、人工栄養
1、人工栄養の基本条件
・細菌や有害な物質を含まず、衛生的で、安全であること
・消化しやすいものであること
・乳児の発育と健康を保つために必要な栄養素が、過不足なく取り入れられたものであること

2、母乳と牛乳の比較

牛乳の方が多い

同じ

人乳の方が多い

たんぱく質

灰分

カルシウム

ビタミンB1、B2

エネルギー

脂質

乳糖

ビタミンA

ナイアシン

ビタミンC


■牛脂肪の脂肪酸組織を人乳と比べた場合
・牛脂肪の方が、必須脂肪酸が少なく、揮発性脂肪酸(加熱すると揮発する)が多い
■たんぱく質のアミノ酸組織を人乳と比べた場合
必須アミノ酸は牛乳に多く含まれる
■消化について
・牛乳は人乳に比べてたんぱく質・無機質を多く含み、酸結合が強く働くため、消化が悪く胃の洗浄も保ちにくい
・牛乳中の揮発性脂肪酸は、下痢を起こす原因をなる
・母乳栄養より牛乳栄養は、ビフィズス菌の増殖が少なく、腸整作用や栄養素の吸収に劣っている
・たんぱく質は「カゼイン」と「アルプミン」からなり、カゼインの多少が消化の良し悪しに影響する

4、調製乳の種類
①育児用調製粉乳
・たんぱく質
たんぱく質のカゼインを減らし(ソフトカード化)、アルプミンを増やして消化吸収をよくすると共に、脳の発達のためにタウリンを添加している
・脂肪
脂肪の一部をリノール酸に代え、必須脂肪酸を増加している。魚油を配合してDHA(ドコサヘキサエン酸)を強化している
・乳糖
母乳と同じ程度の乳糖が添加されている。
・無機質
無機質を減らし、鉄を増加し、亜鉛、同を添加している
・ビタミン
母乳に不足しているビタミンKを添加している。
・その他
ビフィズス菌やラクトフェリンなどを添加して、感染予防性を高めている

②離乳期用調製粉乳(フォローアップミルク)
育児用調製粉乳に比べ、鉄やカルシウムなどの無機質、たんぱく質、ビタミン類が多く、脂肪は少なくしている

③治療乳
・大豆乳・・・牛乳アレルギー
・乳たんぱく質加水分解粉末・・・牛乳と大豆の慮方のアレルギー(重症アレルギー児用アミノ酸混合物)
・ナトリウム粉乳・・・心臓や腎臓疾患用
・低リンミルク
・糖質をブドウ糖に変えたミルク・・・乳糖不耐症

5、調乳
2007年「乳児用調製粉乳の安全な調乳及び取り扱いにおけるガイドライン」

○乳児用調製粉乳の調乳に当たっては、使用する湯は70℃以上を保つこと。
(注)高温の湯を取り扱うので、やけどに注意すること。
○調乳後2時間以内に使用しなかったミルクは廃棄すること。


大量調乳については、冷却時に細菌感染の恐れがあるため、推奨していない

5、混合栄養
①混合栄養の注意点
・母乳の出が悪い場合も、出来るだけ乳児に乳首を含ませて、母体に刺激を与え母乳の分泌を促す。授乳できないときは搾乳する
・少なくとも1日3回程度は母乳授乳の機会を確保する

②混合栄養の方法
・母乳不足の場合・・・毎回母乳を必ず与える方法のほうが長期間にわたって混合栄養を続けることが出来る
・母親の就業などによる場合

18

◇授乳期のエネルギー付加量は、泌乳量を780ml/日として算出し、非妊娠時のプラス何mlとされているか

答え:授乳婦 +450ml

第12章 授乳期の栄養と食生活

1、授乳期の概要
乳腺はホルモン「エストロゲン、プロゲステロン」の影響で発達する。
母乳分泌の仕組みは、分娩後胎盤の娩出によって、エストロゲン、プロゲステロンの量が減少し、母乳分泌に必要な「プロラクチン」の分泌が盛んになる。子宮の収縮に関わるホルモン「オキシトシン」の分泌も盛んになる。
乳児の吸テツ反応はプロラクチンの分泌を促す

2、授乳期の食生活
授乳期の付加量は妊娠期より多く、非妊娠時の約一食分を多く食べることになる

17

◇妊婦のエネルギー付加量とカルシウム付加量を答えなさい
エネルギー 初期 +50
        中期 +250
        後期 +500
カルシウム 

第11章 妊娠中の栄養と食生活

1、妊娠中の栄養の重要性
妊娠週数や胎児の発育を考慮して栄養、食品選択、献立の計画や調理法、食べ方を工夫する。また禁忌食品、喫煙、アルコールなどについては、危険性を理解し、極力避けることが大切。特に妊娠初期(~16週)は有害物質の影響を受けやすいので、ダイオキシン類、農薬や添加物に注意する

2、妊娠中の食生活
1、栄養摂取の注意点
2006年 厚生労働省「妊産婦のため食生活指針」
①妊娠前から健康な体つくりを
②「主食」を中心にエネルギーをしっかりと
③不足しがちなビタミン、ミネラル(無機質)を「副菜」でしっかりと
④体つくりの基礎となる「主菜」は適量を
(妊娠初期のビタミンAの過剰摂取は先天性奇形が増加するので注意)
⑤牛乳、乳製品などの多彩な食品を組み合わせて、カルシウムを十分に
⑥妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に
⑦母乳育児も、バランスのよい食生活の中で
(食事の脂肪摂取の少ない女性のほうが母乳へのエネルギー移行量が多い)
⑧タバコとお酒の害から赤ちゃんを守りましょう
授乳期の喫煙や飲酒は、乳児の吸テツ反応によって、本来分泌が増加するプロラクチンの分泌を減少させ、乳児の発育を抑制する
⑨お母さんと赤ちゃんの健やかな毎日は、からだと心にゆとりのある生活から生まれる

■妊娠期全般の注意
①妊娠高血圧症候群や浮腫予防のため塩分の取りすぎに気をつける
②太りすぎは妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を招くため、良質のたんぱく質を取る
③飲酒や喫煙を避ける
・アルコール・・・胎児の低体重(胎児性アルコール症候群)
・喫煙・・・未熟児、周産期死亡(妊娠22週以後の死産または生後1週間未満の新生児死亡)
④カルシウム、鉄を多く含む食品を取る

2、妊娠週数と食生活の変化


食品
妊娠期
授乳期
第1群
魚・肉
大豆類
+10


+20
第2群
牛乳・海草
+200
+300
第3群
緑黄色野菜



第4群
淡色野菜・果物



第5群

穀類・イモ類

砂糖・高品質食品

+20

+10

+60

+10

第6群

油脂・高脂質食品

+

+10



3、妊娠中によく見られる症状と食生活
1、つわり
2、妊娠高血圧症候群
母体が妊娠という体の変化に対応できないために起こる

■妊娠中毒症(2005年「妊娠高血圧症候群」に改名)栄養管理指針
<軽症>
①栄養摂取・・・過食を避け、動物性脂肪と糖質を制限する。高ビタミン食とする
②塩分制限・・・非妊娠時の2/3
③水分制限・・・口の渇きが見られない程度に制限

<重症>
①栄養摂取・・・エネルギー摂取量は1600kcal以下
②塩分制限・・・一日3g以下
③水分制限・・・腎機能障害が見られるときは、前日の尿量に500ml加えた量にする

<予防>
①脂肪の少ない魚、肉、大豆製品で良質のたんぱく質を十分取る
②野菜や果物を多めにしてビタミンやミネラルを十分に取る
③味付けは薄味に

3、貧血
分娩時には多量の出血により鉄分が失われるため鉄欠乏貧血が起こりやすい。

第4章 イギリスのプライマリケアに学ぶ

その1 人々の健康を支えるシステム

1、オックスフォードの町
法学のボローニャ、神学のパリと言われ、パリ大学を母体としたオックスフォード大学の中核も神学である。「宗教」と言うゆりかごの中で長い歴史を培ってきたのは、オックスフォードだけではない。イギリスはどんなところにも小さな教会があって、自分たちの地域社会をなによりも大切にしてきたことが伺える。イギリスのプライマリケアの管理システムも、そういう自分たちの地域社会を大事にしたい、守りたいという伝統の上に築かれている。
D1010032.jpg

2、プライマリケアの管理システム
オックスフォード市民のプライマリケアはオックスフォード・プライマリケア・トラストによって管理されている。

(1)プライマリケア・トラスト管理委員会
11人の委員による委員会・・・俗人の委員長、地域の5人の俗人委員、トラスト主任実行委員、財務主任、3人の臨床家(一般医・看護士・臨床管理士)委員長が俗人であることが特徴
(2)プライマリケア・トラスト常務委員会
トラストの日常の運営に責任を持っている。常務委員長は15人以下の委員によって構成される。
(3)プライマリ・トラストの機能
・地域の健康の改善と格差への挑戦
・プライマリ及び地域の保健サービスへの推進
・セコンダリケア・サービスへの購入委託を受けること
(4)トラストのサービス
・コミュニティ病院
・急性疾患病院
・精神保健病院
・ナーシングホーム
・老人ホーム
・ナーシングホーム・老人ホーム

3、プライマリケア・トラストの評価(インタビューより)
<トラストシステムの導入について>
プライマリケアを提供するだけでなく、二次ケアに繋がらなくてはならない。しかし、プライマリケアだけに目を向ければ、各プラクティスへのヘルスケアに対する見方も大幅に標準化され、確実に室が高まってきている。資金調達には不安がある。
委員長に俗人を起用したことについては、戦略的なダイナミズムを変化させた。そのおかげで、地域のニーズこそが最優先されるものだと確認でき、よい人材を集めることが出来た。地域のさまざまな分野で活躍してきた人が、豊かな人脈をもたらしてくれた。

<健康レベルを知る方法>
さまざまな観点を尺度としているので、即答は出来ないが、地域で案じているのは「虚血性心疾患や糖尿病」で肥満や喫煙が問題になる。また10代の妊娠も懸念している。

<チームケアの推進>
医師や看護士からなるチームケアはプライマリケアが担ってきた大きな強みである。プライマリ・トラストとして行っていることは、チームの能力を強化して自己管理できるようにすることである。地域の保健の優先事項に即して仕事が出来るように資源の提供を行う。もうひとつは、適切な人材や情報を確実に集め、保健ニーズに確実に答えられるようにすること。そのひとつとして人員の確保を手伝い、適材適所によるやり方を大事にしている。

<インタビューのまとめ>
■トラスト方式の導入によって
①各プラクティスのヘルスケアに対する見方が大幅に標準化され、ケアの質が高まった
②プライマリケアの担うべき目標が明確になった
■トラストの委員長を一般人にしたことによって
①地域のニーズこそ優先されるべきだと確認された

4、トラストの取り組み<インタビューより>
<公衆衛生ビジネスプランについて>
公衆衛生ビジネスプランの3つの分野
1、臨床的分野
冠動脈性心臓病・糖尿病・がん計画のための国民サービス・フレームワーク計画
2、社会における不平等に関する分野
市内のアフリカ系及び少数民族の不平等の部門に取り組む
3、性に関する健康問題、健康保護、感染症から人々の健康を守る

<健康増進のターゲット>
当市において一番の問題は、不平等への取り組みである。仕事の多くは地域の中の最も貧しい住民に力を入れて取り組むことである。(ドラッグ、アルコール、性問題、一般の健康問題、メンタルヘルス)

<がん予防プログラム>
がんだけでなく、慢性的な心臓病や糖尿病対策を目指している。食事やエクスサイズ、肥満管理など全体的な健康アドバイスを多く実施している。大腸がん対策。
■その他の二つのプログラム
1、25歳以上の女性対象・・・49歳まで子宮頚部検診のため3年に一回呼び出される(50歳からは5年に一回)
2、50歳以上の女性に年一回マンモグラフィィー

<インタビューのまとめ>
■市民の健康に関して、今日の問題は健康の不平等である
■がん予防は大腸がんや子宮ガン、乳がんへの対策を薦めている

5、トラストへの歩み
イギリスでは、ヒポクラテスの伝統を受けて、一般医が担うプライマリケアにおいては「疾病」ではなく「人間」を見ることが求められるとして、一般医の報酬は仕事量ではなく、一般医に登録された住民の数によって支払われる方式「人頭報酬制」が採用された。

そしてイギリスは、公衆衛生、一般医、病院のサービスを一元的に管理する体系に対し、「地域保険局」を創設。その後患者が第一の報告を元に「地域保険局」に代わり192の「地区保健局」が設立された。固有のサービスを地域主義の原則に立った体系の構築をした。

しかし、徹底した地域主義のため、例えばA地区の一般医は当然A地区の病院に患者を紹介することになり、病院側は患者確保の努力をしなくても患者を確保できることになった。これにより病院は仕事の効率を下げたため、簡単な処置でも待機させられる患者が増える事態を招いてしまった。

そこで1989年、サッチャー政権の元、白書「患者のために働く」が発表される。これは一般医をサービスの購入者とし、病院をサービスの提供者とすることである。それにより1991年、国民保健サービス・地域ケア法が成立した。ここで伝統の国民保健サービスに対し「内部市場」の考えを基にした製作が実行されることになる。

1997年ブレア首相の下に「新しい国民保健サービス」が発表される。個々の一般医が基金を保有する方式を廃止し全ての一般医はプライマリケア・グループに統合した。しかもこれは将来プライマリケア・トラスト体制に移行する過渡的な処置とされた。

ここに登場したプライマリケア・トラストは、地域の一般医、保健士、地区看護士などによる全てのプライマリケアの機能を把握する掌握する機能であり、地域の一般人を委員長とする11人の委員会によって組織される。
isya01_s.gif

6、イギリスからの新しい挑戦
■イギリスの国民保健サービスの特徴
・医者の報酬が人頭報酬制
・税金によって病院が運営されている
これらの上に制度がある

<科学的根拠に基づく医学=EBMのコンセプトと方法>(インタビューより>
重要な原則は意思決定の時、経験に基づく主張と科学的根拠に基づく主張を区別しなければならないことである。個人患者の場合、各患者のコンディションや価値観と無関係でいてはならない。このセンターの主な目的は電子健康図書館であり、提供するものは知識の利用サービスである。

臨床医、医者、公衆衛生の専門家への一番のメッセージは、専門家の思考の方が患者に20年は遅れている。患者はもっと情報を欲しがっている。
患者へのメッセージは、私たちから情報を提供されたら、それに伴う責任を持って欲しいということである。患者が中心なのだ。

<次の戦略は>
①政府や地方自治体、保健会社に科学的根拠に基づく意思決定をするように働きかけること
②科学的根拠に基づく患者による選択を促進すること
最も重要なことは、患者に科学的根拠となる情報をいかに提供するかである。ここの電子図書館は専門家だけでなく患者にもすべて情報を提供している

7、国民保健サービスの歩みについて(インタビューより)
<国民保健サービスの利点>
税金を財源として公的に所有されたヘルスケアが、効率、効果、平等という点からおそらく最善の方法である。

<人頭報酬制について>
医師が出来高払いで報酬を受けていないので、患者のニーズだけを考えて助言できると信じている。それによって患者も、医師は患者の要望にのみ関心があるのだと確信が出来る

<バーチャーサー・ブロバイダー制度の導入>
バーチャーサー・ブロバイダー制度は国民保健サービスを大きく揺るがした。改善に繋がった。
国民保健サービスは全て税金から出ているので、プライマリケア・トラストが中央政府の干渉から独立することは難しい。しかし一般医は国と契約している契約者なので、交渉権があり、政府といえども彼らに指図できない。

最近は民間資金を国民健康サービスに導入しようという動きがあるが、即効性はあるが将来的に問題を残す。

<国民健康保険制度について>
そうした話はあるが、イギリスの場合は民間基金の導入を進めていくだろう

8、まとめ
イギリスのこのプライマリケア・トラストはわが国の大学法人にとてもよく似ている。これまで硬く閉じられた国立大学に、新しい血を入れて、新しい実践を勧めようとする意気が現れているように思われる。イギリスの歩みは、自らの地域社会の構築に対し、自分のことは自分で考えるシステムをどのようなものであったかを示してくれる。わが国へのかけがえのない教訓である。

16

◇(  )内に適当な語句を記入しなさい

砂糖は、200度前後に加熱すると(カラメル)を形成し、菓子の風味付け、食品の色づけなどに利用される

第10章 献立・調理

1献立作成
1.手順
主食→主菜→副業→汁物→間食

2、献立作成上の基本条件
①食事摂取基準を満たすよう考慮する
②食事摂取基準に基づいた食品構成を作成する
③栄養のバランスを考える
④調理の労力・時間の負担が過度に大きくならないようにする
⑤多様な食品を使用し、変化にとんだ調理法を用いる
⑥食費を適正に抑える
⑦各人の嗜好に考慮する
⑧季節感を持たせ魅力ある献立にする

3、実際の献立作成の方法

留意点
・対象になる子どもの食事摂取基準や食品構成を確認する
・アレルギーのある子どもの場合、使用できない食品があるので注意する
・主食と主菜を決める
・主菜に用いるタンパク質性食品を決める(同じ食品の繰り返し、肉または魚に偏ることを避ける)
・野菜料理を中心とした副菜を決める
・盛り付けたときの色の調和も考える
・季節感を感じさせるメニューを心がける
・年齢により調理の形態が異なることに注意する



4、食事バランスガイド
01.jpg
2005年 厚生省、農林省「食生活指針」


5、栄養価の計算について
■エネルギー・・・kcal(整数部分のみ)
■たんぱく質、脂質、炭水化物・・・g単位、小数点第1位まで
■無機質・・・mg単位(カルシウムは整数値、カルシウムは小数点第1位まで)
■ビタミン
A、D・・・ug、整数値
B1、B2は・・・mg 小数点第2位まで
ナイアシン・・・mg 小数点第1位まで
C・・・mg 整数値

2、調理の基本
1、調理の目的
①食べやすく、おいしくする(嗜好を満足させる)
②消化をよくする(栄養の吸収をよくする)
③食べられない部分や不必要な部分を取り除き、人体に安全なものにする(健康への害を防ぐ)
④栄養価を高める(成長・発育・健康保持)
⑤見た目を美しく整える(食欲をそそる)

2、調理方法
(1)生食調理法
■生食による栄養素の損失
・大根・・・摩り下ろしたりすると、水分の中にビタミンや無機質が出てしまう
・生食の食品には、ビタミンB1の分解酵素「アノイリナーゼ」やビタミンCの酸化酵素「アスコルピナーゼ」を含むものがあるので、食品相互の栄養が損なわれないように組み合わせに注意する

(2)加熱調理法
・煮る・・・水溶性の栄養成分は溶出し、煮汁中の調味料は煮汁に浸透する
・ゆでる・・・食品繊維が軟化し、たんぱく質が凝固する。水溶性ビタミンはゆでることによって損なわれる
・蒸す・・・栄養素の損失が少ない
・焼く・・・うまみの流出が少なく、焦げ目によって風味が増す
・炒める・・・動物性食品は硬くなり、植物性食品は柔らかくなる。青菜類は炒めると色が美しくなり、カロテンが油に溶けて体内での吸収率が高まる。高温で短時間に調理するため、ビタミンCの損失も少ない
・揚げる・・・風味が増す

加熱処理法の特性
①病原菌、腐敗菌や寄生虫卵を殺して安全な食物にし腐敗を防ぐ
②組織を柔らかくし、消化をよくする。生のでんぷんは水と熱を加えると糊化し、消化がよくなる
③風味がよくなる
④食品を炒めたり、揚げたりして油を使うことによって栄養価が高まる



■加熱によって失われる栄養素
○たんぱく質・・・最初に低音で加熱すると流出量が大きい
○糖質・・・損失は少ない
○脂質・・・損失は少ないが高温だと有毒ガスを発生する(適温160~180度)
○無機質・・・汁中に溶出するので煮汁を利用するとよい
○ビタミン・・・B1とCの損失が大きい
B1は結晶状態では熱に対して安定しているが、アルカリ性の溶液では損失しやすい
(重曹で豆を煮るとビタミンB1がかなり損失される)
Cは短時間で高温調理だと損失は少ない

3、調理に関する注意事項
①調理者は、自分の健康に注意する
②つめを短く切る、手洗い
③料理は食事の直前に出し、すぐに食べない場合は冷蔵庫に入れる
④調理後の飲食物は、消毒した箸やスプーンを使う
⑤調理に使用した調理器具は、洗ったあと熱湯消毒する

4、食中毒に関する注意事項
(1)食中毒予防の三原則

食中毒予防の三原則
①(病原体を)付着させない
②(病原体を)増殖させない
③(病原体を)死滅させる
<注意事項>
①食品を冷蔵庫や冷凍庫に保存
②調理時の十分な洗浄
③調理後の消毒



(2)食中毒が発生した場合
原因物質の特定のため、給食保存の義務
a、原材料・調理済みの食品を両方保存
b、食品ごとに50gづつ保存
c、清潔な保存容器に密閉して保存
d、-20度以下の状態で冷凍保存
e、2週間以上の保存

(3)食品の安全性や品質を確保するために危険要因を確認し、それを制御するための管理を行うこと(HACCP ハサップ)といい、大量調理施設での導入が必要とされている

15

◇次の(  )に適当な語句を入れなさい

・完全食品といわれるのは()と(牛乳)である

14

◇次の(  )に適当な語句を記入しなさい

豆腐は、水につけて柔らかくした(大豆)をすりつぶし、おからを取り除いた後の(豆乳)に(にがり)を加えたものである

13

◇次の(  )に適当な語句を入れなさい

・種実類は一般的に(水分)の含有量がとても少なく、日常使用する頻度の高い(ごま)は、脂質を50%含有する

12

◇油脂類に関する文章で誤っているものを選べ

①ラードは豚脂でヘッドは牛脂である
②オレイン酸、リノール酸は不飽和脂肪酸である
③バターは乳脂肪のため、消化吸収はよくないが、ビタミンAやDの供給源となる

答え:③消化吸収はよい

11

◇以下の(  )に当てはまる語句を語群から選びなさい

・砂糖の大部分は(ショ糖)からなる
・水あめの主成分は(麦芽糖)である
・はちみつの主成分は(果糖)と(ブドウ糖)である

語群
ブドウ糖、果糖、ガラクトース、乳糖、ショ糖、麦芽糖

10

◇イモ類の文章で間違っているものを選べ

①じゃがいものでんぷんの含有量は、平均30%である
②じゃがいもの芽には、ソラニンという毒素がある
③イモ類は、ビタミンB1,B2、Cの含有量が比較的多い

答え:①30%なのはサツマイモ。じゃがいもは18%

◇穀類に関する文章で正しくないものを選びなさい

①穀類は、米、麦、雑穀の総称であり、約50%糖質を含んでいる。その大部分はでんぷんである。
②もち米の粘りは、アミロペクチンである
③穀類の無機質ではリンが多く、カルシウムが少ない

答え:① 成分の70%が糖質

◇次の食品を「六つの食品群」に分類しなさい

■食品群    ■六つの食品群(1~6)
①穀類・・・・・・・・(5)
②果実類・・・・・・(4)
③豆類・・・・・・・・(1)
④緑黄色野菜・・(3)
⑤肉類・・・・・・・・(1)
⑥乳類・・・・・・・・(2)
⑦海藻類・・・・・・(2)
⑧油脂類 ・・・・・(6)       

プロフィール

Mikami Kako

Author:Mikami Kako

おことわり

保育士・図書館司書に関しては、旧システムによるものなので、現在のもの科目編成や内容にずれがあります。放大についても閉講科目が含まれます

クリックすると開きます

シンプルアーカイブ

検索フォーム