第1章 養護原理の概念

家庭が十分に家庭の機能を果たしていない。虐待が増えている。

外傷
性的虐待
ネグレクト
心的外傷


早期発見・通知義務

子育て世帯が減っているが、世帯数が増えている
子育て世代は孤立化して孤独である

1、児童養護の歴史
・石井十次・・・岡山孤児院
・留岡幸助・・・教護院(今の児童自立支援施設)
・石井亮一・・・滝乃川学園(知的障害者施設)
・野口幽香・・・二葉幼稚園

2、社会的養護
施設の種類
目的
助産施設(入所)
保健上必要があっても、入所助産が出来ない
妊産婦を入所させる
乳児院(入所)
安定した生活環境の確保
(幼児を含む)
母子生活支援施設(入所)
配偶者のいない子女、その監護すべき児童
保育所(通所)
保育に欠ける乳幼児
委託を受けて、保育することが出来る
児童厚生施設(通所)
児童遊園・児童館など健全な遊びを与える
児童養護施設(入所)
保護者のいない児童・虐待児童などを養護し、
自律を支援する
知的障害児施設(入所)
保護・独立自活の援助
知的障害児通園施設(通所)
保護・独立自活の援助
盲ろうあ児施設(入所)
保護・独立自活の援助
肢体不自由児施設(入所)
保護・独立自活の知識技能の援助
重症心身障害児施設(入所)
治療及び日常生活の指導
情緒障害児短期治療施設(入所)
情緒障害を治す
児童自立支援施設(入所)
不良行為を犯した少年の指導と自立支援
児童家庭支援センター
厚労省令に基づく家庭支援

■里親制度
「保護者のない児童、または保護者に監護させることが不適当であると認めた児童を養育することを希望するものであって、都道府県知事が適当と認めるもの」
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第8章 児童福祉施設における食生活

1、給食の特性
食品検査保存食は、原材料及び調理済み食品を50gづつ、清潔な容器(ビニール袋など)に入れてー20℃以下で2週間保存する

2、保育所保育指針「食育推進」
保育所保育指針(平成20年3月告示)
①子どもが食べることを楽しみ、食事を楽しみあう子どもに成長していくこと
②食事の提供を含む食育の計画を作成し、保育の計画に位置づけるとともに、その評価及び改善に努めること
③子どもと調理員との関わりや、調理室など食に関する保育環境に配慮すること

■食育の目標
①おなかがすくリズムのもてる子
②食べたいもの、好きなものが増える子ども
③一緒に食べたい人がいる子ども
④食事づくり、準備に関わる子ども
⑤食べ物を話題にする子ども

第7章 小児の疾病・障害と食生活

(1)食事介助への手順
食事の準備
・食堂の準備
・箸やスプーン、おしぼり、補助具の準備
食堂への移動
・車椅子での搬送
・トイレ誘導
食事介助
・食欲の低下時には原因を考え、献立・味付けに留意し、食事量を観察する
・咀嚼機能の低下時は原因を考え、献立・調理方法に留意し、食事量を観察する
・手指に機能障害がある場合は自助具を選択する
後片付け
・与薬
・歯磨き
・車椅子移動
・下膳、食堂掃除

(3)糖尿病
食事管理には「糖尿病療法の為の食品交換表」を利用する。各食品が1単位(80kcal)にあたる量がgで示してある

第6章 学齢期・思春期の食生活

1、学齢期・思春期の心身の特徴
■第二次性徴ホルモン
・男子・・・アンドロゲン
・女子・・・エストロゲンとプロゲステロン

第二次急進期は、女子のほうが早く出現し、10~12歳ごろでは、身長・体重共に男子を上回る。男子は2~3年遅れて発育速度が著しくなる

2、学齢期・思春期の具体的な食生活

■神経性食欲不振症の診断基準
・標準体重のー20%以上のやせ
・食行動の異常(不食、大食、かくれ食い)
・体重に対する歪んだ認識(体重が増えることへの異常な恐怖)
・発症年齢:30歳以下
・無月経
・やせの原因と考えられる気質性疾患がない


第5章 乳幼児の食生活

1、乳幼児の心身の特徴と食生活
(1)心身の発育
・乳歯・・・満1歳で上下4本、2歳半から3歳で上下10本の乳歯が生えそろう

(2)食生活の配分
食事の区分
1~2
3~5歳
朝食
20~25%
25~30%
昼食
30%
30%
夕食
25~30%
30%
間食
15~20%
(午前・午後の2回)
10~15%
(午後1回)

2、間食の意義と実践
(1)間食の与え方
一日のエネルギーの10~20%を目安とし、食事との間隔は二時間以上あけるようにする

(2)間食の注意点
①穀類、イモ類、豆類、乳製品、果実類を中心とし、高脂質・高タンパクは少なめに
②水分の多い牛乳や果物、果汁を与える
③甘みの強い食品や塩分、油脂の多いものは避ける
④安全性、衛生に問題のある食品は避ける
⑤多種多様の市販の食品は、幼児の楽しみとして与える

3、栄養上の問題点
偏食は3歳ごろから増加する

第4章 乳児期の栄養と食生活

1、乳児期の心身の特徴と食生活
生後5ヶ月ごろから離乳をはじめ、12~18ヶ月で完了する

2、乳汁栄養
(1)母乳栄養
母親の乳房が化膿している、次の子を宿した、伝染病、糖尿、心臓病などの慢性疾患があるばあいは授乳をやめること。
乳児の自己リズムに合わせて授乳する自律授乳が一般的である
■母乳と牛乳の栄養成分比較
・たんぱく質・カゼイン・・・牛乳のほうが多い
・糖質・・・母乳の方が多い

3、離乳の意義と離乳食の進め方
■食事の目安
(離乳開始時)
粥(米)→じゃがいも、野菜、果物、白身魚
蜂蜜はボツリヌス菌予防のため、満1歳まで与えない
(生後9ヶ月ごろ)
鉄分が不足し始めるのでレバーを与える。フォローアップミルクは9ヶ月以降に


生後5.6ヶ月
7~8ヶ月ごろ
9~11ヶ月
1218ヶ月
食べ方の目安
1日一回1さじ
母乳・ミルクは好きなだけ
1日2回食
1日3回食
自分で食べる楽しみ(手づかみ)
調理状態
なめらかにすりつぶした状態
舌でつぶせる堅さ
歯茎でつぶせる堅さ
歯茎で噛める堅さ
内容
粥・豆腐・白身魚
全粥・卵黄
柔飯
ご飯

第3章 妊娠・授乳期の食生活

1、妊娠過程と妊婦の食生活
妊娠中に喫煙すると、胎児の発育を遅延させ、低体重児(2500g以下)の未熟児の生まれる場合がある。また、乳児の受動喫煙は、乳幼児突然死症候群の発症と関係がある。

2、妊娠中のトラブルの予防と食生活
(1)貧血・・・妊娠中は鉄が供給される必要がある
(2)肥満・・・妊娠中はホルモンの影響で便秘になりやすい
(3)妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)・・・妊娠20週以降~分娩後12週までに高血圧が見られる場合、また高血圧に蛋白尿が見られる場合を言う。過重性妊娠高血圧腎とは、元々高血圧症や腎臓病がある場合である。

3、母乳分泌と授乳期の栄養・食生活

脳下垂体前葉から「プロラクチン」(乳汁の生産を促進)
脳下垂体後葉から「オキシトシン」(射乳反射を促進)
で、乳汁分泌がはじまる


異常分娩や高血圧症、精神的ストレスなどは乳汁分泌を遅延させる
コーヒー、紅茶などのカフェインやアルコールは30分から一時間以内に母乳中に出現するので、出来るだけ控える

第15章 人々の社会を支える制度

1、社会保障の原点
社会保障の母国と言われるイギリスの歴史が教えてくれること
(1)ウイリアム1世とロンドンの承認
ウイリアム1世は「征服王」と呼ばれたがロンドンは征服していない。また、ウイリアム1世は、ロンドンではなくウェストミンスターで戴冠式を行った。ウイリアム1世は、「天賦の才能」によって、ロンドンを攻撃するどころか、尊重することで、名実伴う国王に就任できたとかが得られる。

■イギリス各王朝の祖
ノルマン王朝:ウイリアム1世(ノルマン)
プランタジネット王朝:ヘンリー2世(フランス)
チューダー王朝:ヘンリー7世(ウェールズ)
スチュアート王朝:ジェームズ(スコットランド)
オレンジ王朝:オランダ総監督オレンジ公とその妃メアリの共同統治者(オランダ)
ハノーヴェ王朝:ジョージ1世(ドイツ)


(2)コモン・ロー体制の誕生
ロンドンが認めさせた「自治」の特権、「自分のことは自分でする」という特権を保証した第一のものは、陪審員制を中核としたコモン・ローの体系である

新しい国王を受け入れる条件として、ロンドン市民はより大きい自治を彼らに求める憲章の承認を約束させた。そして、自治を行う制度のことを「コモン・ロー」と呼んだ。

コモン・ローの法曹は、すべてロンドンの4つの法学院を出ていなければならない。オクスフォードやケンブリッジ卒ではだめであり、これは今も引き継がれている。

(3)議会の成立
陪審員制度を基盤としてロンドンを代表として自律的に存在する自治体と王朝が協議する場として生まれたのが議会である。議会は国王が100年戦争の遂行に必要な予算を確保するために、ロンドン市民に税徴収の了承を得た。このようにだんだん議会は力をつけてきた。

(4)大学の誕生
大学は、あらゆる地域の多様な価値観を持つ学生の生活を保証し、守らなければならない。その生活の場は「カレッジ」と呼ばれ、大学のカレッジは自治体と同じく「自分のことは自分でやる世界」である。パリ大学が、フランス革命の嵐のなかで古い体制が解体されたのに対し、オックスフォード大学は「自分のことは自分でやる」という学問の自治の伝統を、カレッジの形で今日に伝えている。

2、へんりー8世の時代・・絶対王政の実現
16C、イギリスはヘンリー8世の時代に絶対王政の時代を迎える
(1)宗教改革
ルターにより「95か条の論題」が出されたと時を同じくして、ヘンリー8世はローマ・カトリック教会と対立するようになる。基本的な点は、ローマの関与から独立したいと言うことであった。

そこで修道院を解体したのち、修道院に代わって人々の福祉を担う体制を作る。これが救貧法体制の構築であり、1601年、エリザベス救貧法が制定される。

■エリザベス救貧法
①地方の自立性を認めている
②宗教から最大限遠いところに位置づけられた
結果として「自分のことは自分でやる」という理念が生まれ、共に支えあう「共済」の制度、社会保障の制度を手に入れる。これが今日に継承される社会保障の原型である。

(2)ルネッサンス
へんりー8世の宮廷は、どの大学よりも学者をたくさんかかえていた。その学者の一人、モアは著書「ユートピア」の中で私有財産制度を厳しく否定している

自分の利益という観念があればこそ、人は仕事に精を出すものですが、他人の労働をあてにする気持ちがあれば、人は自然に怠け者にならざるをえません


医学はあらゆる科学の中で「最高」「最善」である


ユートピアの論理は、ギルドや宗教に施乳される人間像に対して、新しい人間像に迫る論理として斬新である。そして大学の医学部を出た医者の組織として、1,518年にロンドン王立内科医学会が創設され、トーマス・モアによって示された医学の理念が今日にまで継承される。

3、まとめ
イギリスの歴史は、ロンドンと国王と言う2つの中心を軸に刻まれてきた。わが国では「先進国に追いつけ・追い越せ」と、人々が一段となって社会を作ってきた。これほど効率のいい方法はない。しかし、それは先進国という目標があったからである。

イギリスは、目標がなくても常に最前線を歩んできた。中央:地方、保守党:労働党・・など常に2つの中心があり、互いに乗り越えようと懸命の努力の中で新しい道が開かれてきたのである。わが国もそろそろ自分たちが先進国のモデルであると自覚を持つべきだ。

「社会の制度」と「人々の知恵」という2つの中心が、互いに競い合う状況の中で、人々の健康を支える基盤を作る作業を進めることこそ、新しい役割の構築に着手することが出来るのである。

第14章 健康日本21の意義ー国民の責務と人々の健康

1充実した保健の体制
1978年、WHOのよびかけによって「Health for All by2000(2000年までに全ての人に健康を)」と言う宣言がされる。健康に本21は、第三次国民健康づくり運動としてHealth for Allの理念を継承している。
(1)医療体制
■充実した医療体制
①国民皆保険体制(昭和36年)
何時でも何処でも誰でも利用できる
②医薬分業が行われて来なかった(医師が調剤する)
医師の強い自立的経済力、それによる充実した医療体制
③内科・外科・婦人科・耳鼻咽喉科・・など専門医療が第1線に存在している

(2)保健事業
■保健事業の推進
・結核の克服
・母子保健事業の推進
・脳卒中対策の推進
・市町村の保険事業の実施(集団検診など)

■医療・保健・福祉制度の歩み
1961年 国民皆保険・・医療制度
1982年 老人保健法による保険事業・・・保険制度
2000年 介護保険制度の実施・・・福祉制度

2、生活習慣病の増加
■長寿社会における健康課題
20世紀に通じ、日本は寿命世界一の座に躍進する。充実したプライマリケア体制を持ち、保険事業の推進もあるにも関わらず、生活習慣病の患者や、それが元の志望者が増加している。多くの国民は自分の健康に不安を持っている

3、新しい課題
■生活習慣病の増加
・人々の生活習慣に原因があるのでは・・
・医療制度に限界があるのでは・・
・保険事業に限界があるのでは・・

(1)生活習慣
■タバコの害
危険性が叫ばれているにも関わらず、この10年間で減少の傾向はほとんどみられない。特に40代・50代では変化がない。それどころか女性の喫煙者の割合は増えている

■肥満
この10年間で、男性には特に大きな増加が見られる。日本人で肥満の人は増えている

■生活習慣病の特徴
・毎日の生活習慣が疾病の原因
・無自覚のまま進行する
・症状が出てからでは手遅れ
・致命的なことが多い
・致命的でも生活の見直しをする意識を持つものが少ない
わが国は、制度はそれなりに充実しているとしても、人々は自分の生活習慣の改善に関しては、ほとんど関心を有していない

■新しい方法論としての健康日本21
人々の知恵が育つ健康づくりの推進
・症状が出てからでは手遅れ・・・自分自身の健康状態を「自覚」する
・人々の挑戦・・・生活習慣の改善。自らの目標値を「追求」する
・社会支援・・・地域枠の策定。かかりつけ医師の健康支援活動

4、後期高齢者の増加
5、健康日本21

(1)健康づくりの領域
①栄養、食生活
②身体活動、運動
③休養、こころの健康づくり・・・ストレスの低減、自殺者の減少を目指す
④たばこ・・・未成年者の喫煙防止、受動喫煙の害を排除する、喫煙者に対する禁煙支援
⑤アルコール
⑥歯の健康
⑦糖尿病・・・生活習慣の改善、疾病の早期発見が目標
⑧循環器病・・・生活習慣の改善、疾病の早期発見が目標
⑨がん


(2)健康づくりの目標
食塩摂取量・・・2010年には10g未満
野菜の摂取量・・・350gを目指す
一日一回30分以上、週2回以上の運動を続ける

6、健康増進法
平成14年「健康日本21」による国民の健康増進を推進するために、制定される。
「国民の責務」・・・国民が自らの健康状態を自覚すること。そして「自覚」をもとに国民は健康の増進に勤めなければならない

7、制度と知恵
(1)人々の知恵
立派な制度を作るということで、一貫して努力してきた日本人であるが、自らの知恵を大事にすること、自らの責務を果たすということについて、厳しく考えてみなければならない。しかし、だからといって社会に責任がないと言うわけではない。社会が戸個人が両立する新しい関係を作っていく土台として、健康日本21という国民運動は考えられなければならない。

(2)大学の公衆衛生
人々の「知恵」を支えるのは科学的な知見であり、平均寿命世界一の社会が疾病対策に成功した社会であるとすれば、まさに21世紀は、人々の健康対策方の科学の興隆が望まれているということを考えなければならない。人々の健康を支える大きな学問の体系の構築もまた、今日求められているだろう。21世紀の公衆衛生は、固有の科学的知見が大事にされ、人々の知恵が育つ公衆衛生が推進されなければならない。

制度は知恵によって育ち、知恵は制度の活用によって育つ




第13章 公衆衛生の役割と展望

1公衆衛生の四つの地平
(1)社会による防衛・公的医師の関与
18C、オーストリア・ハプスブルグ王朝の時代
ペーター・フランク「社会医学の父」が「完全なメディカル・ポリースの体系」を発表
生殖行為から死体の埋葬まで広範囲に及んでいるが、医療や衛生関連の施設や住民の幅広い訪問調査を行い、その結果を元に本を作成した。「人々が乱暴であったり、過度であったり、あるいは衣服が不足しているのはすべてここの人々の「過誤」によるものではない。これらの状況は、公的な医師のより強い関与を求めている」
フランクは、社会にある疾病は社会の側に責任があることをを明らかにした。

(2)予防:画一主義の徹底
産業革命を背景としてイギリスのエドウィン・チャドウィック「公衆衛生体制の父」によって開かれる。
チャドウィックは「劣等処遇の原則」にのっとった施策を進めた。救貧法の処遇条件を一般市民の生活水準より劣悪なものにすることによって、救貧法の世話になることは恥じであることを恥である認識を植え付け、人々が安易に依拠することを防止すべきだと考えた。

しかし、このような救貧施策を進めれば進めるほど、残ってきたのは病人であることがわかり、チャドウィックは疾病の原因を追究していくと衛生問題にぶつかることを知った。こうしてチャドウィックは、福祉の課題から衛生問題に取り組むことになった。
そして、高度な繁栄も流行病の攻撃に免疫を与えるものではないとし、豊かな人も、疾病から逃れられないとした。この考えを元に1848年に公衆衛生法が制定された。

(3)福祉からの独立:包括的な機能
1,856年ヘンリー・ラムゼイ「公衆衛生医の父」国家医学論
多数の労働者が病気で倒れていく中で、それまで「アポセカリー」と呼ばれていた一般の人たちの医療を担ってきた薬屋が医学校で学び「一般医」と呼ばれる医師になっていく。ここでラムゼイは、フランクの流れを受けヘルス・ポリースと言う説を唱えた。メディカルではなくヘルスというところに、疾病ではなく、健康に向けて取り組む姿勢がうかがえる

(4)衛生の規則と地方当局の規制
ロンドンの保健医官ジョン・シモン「公衆衛生思想の父」が「イギリスの衛生制度」を発表。
この本の中で、人々の知恵を樹脂した衛生の規則と、法律重視の地方当局の規則を両軸とした計画の推進を主張する

2、わが国の公衆衛生
明治4年、岩倉具視率いる欧米視察団に同行した長与専斉が「松香私志」を発表。これは健康保護という言葉を使っているが、公衆衛生の理念を表現している。

■人民ニ其心ナクテハ
公衆衛生制度の確立を目指す中で、新しい社会における各個人の自立した役割を重視した。

■明治19年の頓挫
明治18年 中央に太政官体制に代わって内閣制度が発足
明治19年 地方衛生会、衛生課、衛生委員が廃止され警察部に移管される。これは国際化が進む中で恐ろしい伝染病患者を早期に発見し、いち早く隔離することが重要視されたからである。
明治30年 伝染病予防法が制定される
大正8年  結核予防法

(3)四つの地平
公的医師の関与する社会・・・保健所長は医師でなければならない
画一主義の徹底による予防体制・・・保健所により画一的にカバーされた
公衆衛生の福祉からの独立・・・福祉事務所に並んで保健所が設置された
人々の知恵の重視・・・伝統を継承している

わが国の公衆衛生は、四つの地平をみごとに踏まえている世界の理想のモデルである。しかし、皮肉にも平均寿命世界一の記録を達成した結果、わが国の公衆衛生は新しい段階を踏まえることになった

(4)役割と展望
わが国の公衆衛生の中心は昭和40年に制定された「母子保健法」を基準にして推進されてきた母子保健事業である。

また福祉事業においては劣等処遇の原則に従って、人々を安易に依拠させないようにしてきたが、対象者が高齢者であると「働きなさい」とはいえない。こうして市町村は手早い対応を行うため相談窓口を設置した。しかし、いち早い対応を迫られる保健所に対して、福祉が抑止主義に立っているということから、サービスが行き届かず、あっという間に福祉と保健の統合が進められた。

平成6年に地域保険法によって全国の保健所網に対し「画一主義」の制度が解かれ、平成16年には保健所長が医師でなくても場合によってはよいという見解を発表した。

3、まとめ
平均寿命世界一の社会は、もっとも多様な健康状態の人たちが生活する社会であり、わが国の公衆衛生は、制度依存型から否応なく人々の知恵に依存せざるをえない方向に向かいつつある。

第12章 健康の危機管理

1、水俣病
1)水俣病の原因

■水俣病の原因究明1
昭和31年5.1 新日本窒素肥料株式会社水俣工場付属病院細川院長
          水俣保健所に奇妙な神経症状を有する4名の患者を報告
同年5.28    水俣病奇病対策委員会が設置される
同年8.14    委員会が熊本大学医学部に原因の究明を依頼
同年8.24    熊本大学が研究班を発足

■水俣病の原因究明2
昭和32年1月  調査で患者は昭和28年12月から発生していることがわかる
同年3月     保健所長が水俣湾の魚介類の投与により、猫の発症に成功
同年11月    熊本大が「本疾患は水俣湾内で漁獲した魚介類を反復して多食することによ
          る中毒症であり、毒物は湾奥に排水を注ぐ化学工場から排水された重金属
          が強く疑われると報告

■水俣病の原因究明3
昭和34年7月  熊大研究班が有機水銀説を報告
同年10月     水俣工場病院の実験で、工場排水を投与した猫の発症を確認
同年11月     厚生省が「原因は有機水銀」と答申を出し、部会は即日解散
昭和37年2月   日本窒素研究班がアセトアルデヒドに廃液中の有機水銀の存在を
           内部告発
昭和38年2月   熊本大研究班が「原因はメチル水銀化合物」と報告
昭和43年9月  政府が水俣病を窒素水俣工場排水中の有機水銀による公害病であると
          公式見解を出す


2)水俣病の背景
水俣湾の沿岸に住む人々は、魚を取ることを生業とした人も多く、長年魚を食べてきた。また、新日本窒素肥料水俣工場は、明治41年に建設され、50年近くも水俣は水俣工場の城下町であった。そういう生活の日常性と社会の長い伝統を背景にして、この水俣病は生まれたということが大きな特徴であり、現代社会が作り出した健康被害のもっとも貴重な教訓が含まれている

■自然の環境
①水俣工場のアセトアルデヒド生成過程で複製されたメチル水銀
②工場排水を通じて水俣湾に流れ込み、魚介類を汚染していた
③排水中のメチル水銀の含有量は微量であったが、食物連鎖により排出されたメチル水銀が魚介類に再濃縮される
④魚介類を多量に摂取した人たちの体内に蓄積する
人間の生命よりも産業優先という許せない要因が加わって水俣病というひとつの疾病が生まれた

■社会の環境
原因が、工場排水に含まれるメチル水銀であることは、昭和32年11月に熊本大が「毒物は湾奥に排水を注ぐ化学工場から排水された重金属が強く疑われる」と報告したときに理解できる。また厚生省が「原因が有機水銀」と答申したときに理解できていたはずである。

しかし国は「原因が有機水銀」と答申を出した部会を直後に解散している。これは、産業の成長・発展の足を引っ張りたくないという判断であったことは明確である

3)まとめ
工場排水が自然環境を破壊し、人間の命よりも経済を優先させた施策が、前代未聞の事態を作ったのである。しかしこのような状況は現在でもいつ起こっても不思議ではない。

2、イタイイタイ病
1)イタイイタイ病の特徴
富山県神通川流域で、原因不明の奇病が発生していることが、昭和30年、地元の医師によって学会に報告される。

イタイイタイ病の患者や周辺住民には、尿中にカドミウム量が多く、また、周りの河川や水田にカドミウムや鉛、亜鉛が多いこと、またカドミウム中毒患者に、イタイイタイ病と同じ骨や腎臓のカドミウム蓄積が見られることがある。神通川上流には三井金属神岡鉱業所がある。

しかし、カドミウムを大量投与した動物実験でも、骨軟化症にはならないことなどから、現在ではイタイイタイ病の原因は、神通川流域の高いカドミウム濃度と、この地域に固有の条件があって発生したと考えられている。

2)国の見解
国が見解を出したのは、昭和43年である。

3)まとめ
国を挙げて進められる産業の奨励政策があって、一方で人々の生活を支える固有の自然環境があって、知らず知らずの間に、そこに生活する人々の健康破壊が始まり、深刻な被害が生まれた

3、阪神淡路大震災
1)災害対策基本法(昭和36年成立)
■内容
防災責任体制を明確にする
財政援助指針を作成しておく
災害時の緊急事態に対する行政体制を準備しておく

■災害が発生した場合
災害対策は、第一次は市町村の責務である
都道府県、国の支援の下に市町村が部内各組織を挙げて、機動的に対策を実施するために災害対策本部を設置し、地域防災対策を実施する

■災害時の対策サービス
被災者の基本的な生活の確保
社会的秩序の保全を図る

2)生活環境衛生活動に関すること
①防疫、生活衛生の対策
②埋火葬対策
③浴場の確保

3)保健予防活動に関すること
①家庭・避難者の巡回訪問活動
②栄養状態の把握と指導
③予防接種
④精神保健・救護活動

4)医療の供給体制に関連すること
①医療機関
②医薬品・医療機材の確保
③病院に給食の支援
④医療機関の被害と健康状況の把握
⑤医療ボランティアの対応(衛生局)

5)まとめ
保健や福祉の日ごろからの事業の充実が重要である

4、大腸菌O157
1)学童集団下痢症の発生
平成8年7月13日(土)午前10時、堺市内の私立病院から、下痢・血便の学童患者10名を診察したと通報があった。調査の結果、13日時点で堺市内の小学校児童255名の受診者を確認。
7月23日、要訣製尿毒症にかかった女児が死亡
8月6日、腸管出血性大腸菌感染症が指定伝染病に指定される
8月末、休息宣言

2)患者数
男4533人、女4405人、総数8938人

3)罹患状況と流行の原因
学童患者数が多発校と非多発校に明確に分かれた。
喫食検査の結果、8日及び9日の非加熱食材は、貝割れ大根であることが判明した。0157大腸菌によって汚染された貝割れ大根である可能性が最も高いと判断された。

4)二次感染防止・感染者の早期発見・初期治療・市民の不安解消に向けた対策
①連携と協力:0157対策啓発市民会議を設置
②広報と情報提供
③消毒:消毒剤の配布
④保健活動:家庭訪問
⑤無料検便
⑥保育所での対応:抵抗力の弱い乳幼児の健康観察、衛生指導
⑦予防投薬:整腸剤

5)まとめ
貝割れ大根の種はアメリカから輸入されたものであると考えられ、当時アメリカで大流行していた大腸菌0157による下痢症が日本に輸入され、堺市の児童を襲ったと考えられる

5、バイオテロ
平成13年9.11アメリカの同時多発テロの三週間後に起きた、郵便を使った炭ソ菌バイオテロは、バイオテロが現実のものであることを教えてくれた。
アメリカCDCの調査によると、40の州で7000件の「白い粉事件」の報告が衛生当局にあった。

■生物兵器となりうる微生物・毒素
炭ソ・コレラ・ペスト・野兎病などの細菌、天然痘などのウイルス、ボツリヌス菌・クロストリジウム毒素など

■生物兵器の利点
入手が容易・製造が比較的容易・さまざまな運搬や散布手段が可能・感知されることなく広範囲にばら撒くことが可能・二次感染、三次感染に被害が拡大することがある・自然の流行か人為的なものであるかの判断が困難・潜伏期があるためテロリストは逃亡しやすい

テロは、現代社会が直面する最も深刻な課題である

6、SARS
平成15年2月から6月にかけて「SARS」重症急性呼吸器症候群」と呼ばれたひとつの感染症が世界に広がった。
1)流行のはじまり
同年2月21日に中国の広東省からやってきた一人の病気の医師が、香港のホテルで一晩過ごし、10名を超えるホテルの宿泊者や訪問者に感染を引き起こしたことに端を発する。
3月12日、WHOはグローバルアラート(全世界への警告)を発した。
4月16日、WHOはSARSの原因はコロナウイルスであると報告

2)感染の拡大
香港の病気の一人の医師から、3月26日までに249人の患者に感染したことが確認されている。

3)病気の特徴
感染経路は、濃厚接触・表面汚染、環境要因。空気感染はほとんどない。
潜伏期は2~7日。5日目の発症が多い。

4)患者数
香港で1734人、トロントで250人、世界全体では8098人の患者があり77人が死亡

5)感染の特徴
①30~40%の患者が医療従事者であったことから、医療サービスのシステムが崩壊の危機に瀕した
②感染経路については不明な点も多く、一時的に社会的不安が増大した

6)わが国への影響
5月16日にSARS感染の台湾医師が入国したが、入国のあったことが医師が日本を離れてから把握されたこともあり対応が遅れた。
感染症の対策においては、臨機応変の水際対策作戦の重要性が改めて確認される。

7、結語
平成13年度「厚生労働省健康危機管理基本指針」
健康管理とは「医薬品・食中毒・感染症・飲料水その他何らかの原因により生ずる国民の生命・健康の安全を脅かす事態に対して行われる健康被害の発生予防・治癒などの業務であって、厚生労働省の所管に属するものを言う」

現代社会は、いつどこで発生するかもわからない深刻な健康危機に、常に直面している。人々の健康を支える基盤という点から、保健所の役割がますます重要なものになるということが強調される

第2章 栄養に関する基礎知識 2

1、食事摂取基準とその活用
平成17年間から5年間使用する、「日本人の食事摂取基準」では、疾病の一次予防(病気にならないこと)に重点が置かれている

■見直しのポイント
増やすべき栄養素・・・食物繊維、n-3系脂肪酸、カルシウム、カリウム
減らすべき栄養素・・・コレステロール、ナトリウム(食塩)

①エネルギー
推定エネルギー必要量を策定(過不足のリスクがもっとも少ない値)
②栄養素
・推定平均必要量・・・該当する人々の50%が必要量を満たす
・推奨量・・・ある性・年齢階級に属する人の97~98%が1日の必要量を満たす摂取量
・めやす量・・・ある性・年齢階級の人が、良好な健康状態を維持するのに十分な量
・目標量・・・一次予防をするために、当面の目標とする摂取量
・上限量・・・過剰摂取によって健康障害をおこすことのない最大限の量
③年齢区分
6~8歳、9~11歳を学校給食基準との整合性から6~7歳・8~9歳・10~11歳にした。

■男女差
総エネルギー消費量は、12~14歳は女子、15~17歳は男子が上回る

2、献立作成と調理の基本

赤軍(血の色)・・・血や肉を作る・・・主にたんぱく質・・・無機質、魚肉、卵乳、豆類
黄軍(燃える色)・・エネルギーの元となる・・・主に炭水化物・・・脂質、穀類、イモ類、油脂類
緑色・・・体の調子を整える・・・主にビタミン・・無機質、野菜、果物、海藻類


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(1)献立作成の留意点
調理に使用する食品は鮮度のいいものを。食中毒の危険性の高い食品は避ける

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Mikami Kako

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おことわり

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