第13章 知的障害者の能力開発

1、知的障害とは

■障害者基本法(障害の三区分)
身体障害・・・身体障害者福祉法
精神障害・・・精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
知的障害・・・知的障害者福祉法

■知的障害者の認定
申請すれば「療育手帳」(愛の手帳)が交付される。ちなみに身体障害者には「身体障害者手帳」、精神障害者には「精神障害者保健福祉手帳」が交付される

児童相談所(18歳未満)更正相談所(18歳以上)



IQ


最重度
A1,1度
1920以下
言語・文字・数×
重度
A22
2035以下
言語・文字・数△
中度
B1、3度
3550
簡単な読み書き、計算○
軽度
B24
5075
自力生活○
重度(合併障害)  A3


■知的障害の定義

精神遅滞とは、知的機能及び、概念的・社会的・実践的適応スキルに表れた適応行動との両方における重大な制限を特徴とする障害である。この障害は18歳以前に発生する

日本での具体的な知的障害の判定基準は、この全米精神遅滞学会(AAMR)とWHOのICD(疾病及び関連保険問題の国際統計分類)とICF(2001年のWHO総会で採択されたもの)によって作成されている。

2、知的障害者の能力特性とその開発

サヴァン症候群
美術・・・山下清、S.ウィルトシャー
音楽・・・(一度聞いた音楽を覚えている)
数的記憶・・・カレンダーなどを覚えている
言語・・・クリストファー(知的障害者でありながら20ヶ国語を話せる)
しかし、こういう能力を伸ばすことを考えるよりも、自立できる生活能力を優先すべし


■知的障害の程度
・軽度・・・身辺処理は可能
・中度・・・身辺処理の援助
・重度・・・常時介助

■指導の時期
・幼児期、児童期・・・基礎中心
・青年期、成人期・・・実践

■指導の内容

認知
形・色の識別・・・パネル、はめ絵
視覚と運動・・・線を引く、はさみで切る
動作の模倣
数量

言語・コミュニケーション
共同注意(先生が指差したものを意識する)
物の名称、色名
二言語連鎖、三言語連鎖
ご用事

情緒
表情認知、小集団でゲーム

■注意点
・程度を見守りながら指導する
・共同注意や模倣は早期から指導することが望ましい

3、知的障害者とスポーツ
■国際知的障害者スポーツ連盟(INAS-FID)
障害等級無差別、一般スポーツ競技
IPC(国際パラリンピック委員会加盟)

■スペシャルオリンピックス(SO)
障害等級別、一般+特別スポーツ競技
IPC非加盟
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第9章 行政による生涯学習支援

1、生涯学習を推進する行政の理念
臨教審第二次答申(1986):生涯学習社会への移行の章がたてられ、その中で、学校中心・学歴偏重の考え方を改め、どこでもいつでも学べる機会の多様な学習機会ののせ揖斐が強く具申された。

しかし、そのように「行政主事」で生涯学習化が進展するのは、少し奇異に感じられる。なぜなら、もし多くの人々が生涯学習の機会を必要とするならば、社会の中で需要が生じ、ビジネスチャンスが生まれて市場が形成されるからである。もちろん市場が形成され発展してきたことは否定は出来ない。
・資格や就職に結びつくもの・・・英会話・調理・簿記・着付けなど
・それ以外のもの・・・ダンス・陶芸・俳句・園芸など
このように、すべての生涯学習が金銭に結びつくとは言いがたい。従って、ある種の生涯学習には行政の援助が不可欠となる。

■生涯学習に関する基盤整備及び支援のための事業
①教育制度全体を生涯学習システムに組み替えていくこと(弊害を抱える学校教育制度を改革する契機となる)
②科学技術の新しい進歩、情報化、国際化といった社会に対応するための成人の新しい学習意欲に対応する
③生きがい作りや自己実現が可能となるような学習機会の充実の要求に応ええる。
④生涯学習を核に、ネットワークを作ったりすることで、社会集団の連携を強める

2、生涯学習システムの基本構造
画像

3、国の施策と生涯学習支援体制
■1988年 文部省「生涯学習局」を設置
①生涯学習推進体制の整備(有給休暇の整備、労働時間の短縮、生涯学習推進会議、センターの設置)
②学習情報提供あるいは相談体制の整備
③各種生涯学習施設のネットワーク化
④学習ニーズの高度化・多様化に応じた文教施設の高品質化と有機的活用

■1989年 中教審答申「生涯学習法」
①生涯学習振興の都道府県の議場としての位置づけと文部省の基準設定
②都道府県による基本構想の策定
③都道府県生涯学習審議会の設置
④市町村における生涯学習振興のための連携協力体制の整備

■これらの影響
①生涯学習振興が都道府県の事業になったため、首長部局の役割が格段に重要になった
②公的機関だけが行ってきた従来の社会教育と異なり、多様で自由ではあるが私事化の進んだ生涯学習のコンセプトが明確に打ち出されるようになった

4、生涯学習支援と国の財政
財政面では圧倒的に地方自治体の負担が大きい。
■予算の使途
①生涯学習錐sん事業
②学習状況提供システム整備事業
③各種フェスティバルの開催
④社会教育指導者の育成と確保
⑤学習機会の提供
⑥公立社会教育設備の整備
⑦放送大学の振興
⑧専修学校の充実
⑨地域活動の振興
⑩高齢者教育の推進
ただし、近年は在籍気の影響を受け、社会教育費の比率は下降気味である

5、地方自治体の生涯学習推進体制
実際の生涯教育に携わるのは、国ではなく地方自治体(市町村)である。しかし、地方自治体では、先述のように、知事や市町村長直属の首長と教育委員会による二重構造が問題となってきた。

教育委員会では、公民館や図書館などを運営し、それらの施設における講演会や学習会を総括しており、これらは戦前から続くものもある。それらに関わることが社会教育を主管する部慮と主事のアイデンティティを支えてきた。

しかし1970年代になると、カルチャービジネスが台頭し、公民館での成人講座よりも魅力的で聴衆を集めるカルチャーセンターのコースが登場したり、制約の多い公民館に対抗する形で、主長局部主管のコミュニティセンターが設立されたりして、教育委員会のアイデンティティの危機さえ指摘されている。

学習活動の支援に関しては、教育委員会も首長部局も同じ程度の関与をしている。しかし、実際に生涯教育行政に携わっている立場からは、もっと教育委員会が主管すべきだと言う声も多い。

6、生涯学習ネットワーク
膨大な予算を使って新たに施設・設備を設けなくとも、既存の施設・設備相互間のネットワークを、人的・物的に、そして情報に関して構築することにより、所期の目的を達成することは十分に可能である。

■例
・図書館・博物館などのソフトとノウハウを有する施設が、郵便局や駅といった公共の場を利用して文化事業や情報提供、図書の貸し出し業務を行う
・大学の公開講座を地域の公民館で受けることが出来る
・プールや体育館など、学校の施設を使った社会教育活動を企画する
・企業内学習活動への講師派遣及び地域の学習活動への企業からの人材派遣を行う
・博物館・美術館の活動に協力できるような地域のボランティアを組織的に要請し活用する

第12章 身体障害者の運動能力の開発

1、障害者スポーツの誕生

■パラリンピックの誕生
1888年 ドイツの聴覚障害者が世界初の「ドイツ聾唖者スポーツ協会」を設立
一方、戦傷者のリハビリの手段として障害者スポーツが誕生する。
近代ではイギリスの神経外科医グッドマンの功績が大きい

「身体障害者に最も有効な治療法はスポーツである」
「失ったものを教えるより、残されたものを最大限に活かせ」
(グッドマンの言葉)

■わが国の障害者スポーツの歴史
1950年 国立身体障害者更正指導所
1960年 整形外科医 中村裕が授産施設「太陽の家」を設立
中村は国内外の身体障害者の医療はもとより、職業的自立・福祉機器の開発・街づくり・障害者スポーツなど多方面に活躍した。

2、障害者にとってのスポーツの意義と目的
①治療因子としてのスポーツ
②スポーツのレクリエーション的および心理的価値
③社会への再融和の手段としてのスポーツ

リハビリテーションスポーツの位置づけ
機能訓練→
リハビリテーション
スポーツ→
生涯スポーツ
DT(理学療法士)
OT(作業療法士)
日常生活レベルの体力
社会生活レベルの体力
本人の体力・
活動性の維持
社会参加
医学的リハビリテーション
社会的リハビリテーション

3、主なスポーツ種目
陸上競技、球技、マリンスポーツ・アクアスポーツ、冬季スポーツ、その他(スカイダイビング・グライダーなど)

4、身体障害者のトレーニングとその効果
大分国際車椅子マラソンを例に取ると、年々記録が向上しているのがわかる。これは、車椅子の構造も記録に大きな影響を与えている

5、障害者スポーツの現状と課題
■治療の手段としてのスポーツ
身体障害者に最も有効な治療法としてスポーツが活用され、リハビリにおいてはその効果が認められてきた。しかしわが国では健康保険制度のなかでは、理学療法の手段のひとつとして容認されているにすぎない。その理由は、治療効果を判定する検査方法が確立していないからである。また、リハビリテーション体育士を欧米諸国のようにスポーツ療法士として制度化すべきである。

■生活の豊かさを求めたスポーツ
日常生活の身近な場所に施設があること、公共の交通機関を利用して通うことが出来ること、あるいは施設までの送迎が可能であることが望ましい。それには既存のスポーツ施設などが、ユニバーサルデザインで整備されれば、身体障害者はもとより、高齢者や妊婦も利用でき、専用施設の不測問題も解消される。

また、身体障害者スポーツ指導者制度が1985年に発足し、人数的にも十分な成果が上げられているようだが、活躍の場がない。

■競技としてのスポーツ
身体障害者は、他の内科的疾患を持つものもおり、薬がドーピング検査に引っかかることもある。また、過去の例ではカーボン製の義足の瞬発力で優勝した選手が、他の選手からねたまれたこともある。

近年では障害区分によるクラス分けではなくスポーツ競技の種目の一つとして「車椅子競技」を際王するなどが考えられている。

第11章 用具を扱う能力の開発

用具を使う理由は、人間のからだでは「できない」あるいは「出来にくい」作業を代行させるためである。
・手で釘を打ち込めない→かなづちを使う
・紙に指で書き込めない→ペンを使う
など

人間は生後約一年で歩き出し、手は移動のための役割から開放される。そのおかげで、手が用具を使う能力が促進される。しかし、用具を使う能力は成長に伴って自然に向上するのではなく、いつの時点かで指導され、自分で練習するからこそ上達するのである「習得的な能力」

1、取得過程の観察
■Fine Motor Skill(微細な動き)
物の特性を手から収集する能力を調べた研究によると、その能力は小さい頃に手でどれだけの物を扱えたかという能力に依存する。小さい頃に手で物を扱うことが制限されると、ものの特性を学ぶ能力も制限される。

また、大人と子どもの物をつかむ能力を、ものの大きさを変えて調べた研究によると、手の大きさに適した大きさのものであれば、子供でも成人と同じつかむ能力を示す。大人用の用具を扱いにくそうにしている子供の姿は、散見されるところである。この研究を考慮すると、乳児の頃から、手の大きさに見合ったものを扱う機会を増やすことが用具を扱う能力を向上させる可能性があると考えられる。

■用具を使う能力まとめ
・成長によって自然に向上しない
・独自の扱いを指導され、自分が練習するからこそ向上する
・文化の違いによって習得年齢に差が出る
(例)日本の場合、指先の動きが使えるのは、男児4歳前半、女児3歳後半。これはイギリスより半年から1年早い
・小学校高学年になると、動きの修正は困難になる


■Gross Motor Skill(力増強が目的)
重さ・長さといった用具の力学的特性は動作に影響を及ぼす。幼児・小児の時期には神経系の発達が著しいが、筋力の発達は十分ではない。この時期に大人と同じ用具を使いたがるが、動作への用具の影響を考えると子供のからだの大きさ・筋力に見合った用具を使うべきである。指導に際しては、デモンストレーションが必要である。子供のときについた動きは、後に修正することが難しくなるからである。

■用具を扱う能力を開発するために(まとめ)
・乳児のときから手の大きさに見合った物を扱う機会を増やす
・乳児期から小学校低学年にかけて、細かい動きのための用具の扱いを指導する
・少し遅れて、力強さが要求される用具の扱いを指導する
・身体に見合った用具を使い、合目的な動きを指示し、扱いの結果をフィードバックする



2、指導効率の高い年齢の検討
箸の持ち方を3.4歳に指導してもあまり効果がないが、5歳以上になると効果が上がる。また、小学生になって箸の持ち方を強制してもその効果が長続きしない。従って、幼児期から小学校の低学年までの時期が、手先の動作習得には最も重要である。

■指導効果が高い時期に影響を及ぼす要素
①大きさや要求される力といった用具の扱いやすさ
②用具を扱う動きの複雑さ
③目で用具や対象物を見る難易度
④用具を扱う時間の制約

■JOC(日本オリンピック委員会)が提案する「一貫指導システム」よりサッカーの例

5~8歳
神経系が著しく発達するが、集中力が長続きしない。従って多彩な活動を求める。動き作りが多面的であるほど、後でサッカーを覚えるのが早い

9~12歳動作習得の準備が整い、大脳の可塑性も残している。サッカーの実践的なスキル獲得に最適な時期で、プレイに対する判断の要素も含めるべき時期である

13歳以降成長のスパート期で、成長がアンバランスであり、個人差が大きい。そのおかげで一時的に動きがぎこちなくなる。成長に関わるホルモンの分泌が著しくなるので、技術をより早く、より強く出来る

第10章 身体を動かす能力の開発

1、からだを動かす能力が身につくプロセス
■随意運動への発達パターン
からだを支えて床に足をつけると歩くように足を交互に動かす・音のするほうに振り向くなどは出世時から認められる。こうした反応は、主には大脳皮質下の働きと言われている。ところが、これらは生後1~4ヶ月の間に消失し、再び随意運動、すなわち大脳皮質が調節の主体となった動きとして現れる。この消失の間に、動きを司る主体が皮質下から大脳皮質へと移行する。

また、物をつかんだり、手を伸ばしたりする手の操作は、わしづかみから指先への精巧な動きへと進歩する。このようにからだの動きは身体の中央部から末端への発達パターンを持つ。

■随意運動の成り立ち
大脳皮質の運動野から筋肉に指令が伝わるルートは、大きく2つに分類される
①錐体路・・・巧みな動きを支配する主体
②錐体路以外のルート「錐体外路」・・・反射や動きの円滑化に寄与する
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2つのルートがこのような役割分担になっているので、随意運動として出来上がった動きには、錐体外路による変動の幅と、錐体路による動きの「まとめ」としての変動の幅とが重畳される。例えば、歩く動作のようにまとめ方が比較的単純であれば、その人独自のパーツが目立つ動き、すなわち、生まれつきと思える動きとなるし、投げる動作のようにまとめ方が複雑であれば、まとめ方の巧みさが目立つ動き、すなわち、学習の仕方によると思える動きになる。

■動きの「まとめ」と習熟
日常生活での多く使われる動きは、特別な練習を必要としない。しかし、習熟のためにその動きを改善しようとすれば変わる可能性が高いが、改善しようとしなければ「まとめ」の固定化が進む。錐体外路による動きのパーツが目立つ動きは、習慣化されてクセになってしまうと改善しにくい。

遊びやスポーツの中で使われる動きとなると、うまく出来ることが要求されるので、特別な練習の中で習熟のために繰り返しの練習が必要となる。そして、手先の操作機能の習熟には幼児期から小学校低学年期が重要な時期と言われている。

どのような動きでも、はじめは大脳皮質からの指令が的確でなく、筋肉には不要な活動や余計な緊張が見られる。その的が絞られて「まとめ」が進む。そこに視覚や自己受容期を通したフィードバック制御による微調整が進むと、動きは巧みさの高いものとなる。それが繰り返されて自動化されると、記憶が出来て学習が成立した・習熟したということになる。

2、自発的な学習によるのか、他者の指導によるのか
■幼児期までの指導効果
アメリカ小児医学会では、早期教育は効果なしと言う立場をとっているにも関わらず、乳幼児期には「安全で、動きをはぐくむ内容で。出来るだけ自由に遊ばせる」ことを親に勧めている。一見矛盾しているように思えるが、この時期からの長期の学習がその後の動きの効果は明白ではないが、ネガティヴに働くことがないという考えに基づいている。また親や家族のライフスタイルが、この時期での子供の動きの開発には大きく影響する。親がよく身体を動かすライフスタイルであれば、子供も身体をうごかすようになる。

■幼児期からの指導効果
物がよく見えてそれに対しての理解が深まるのは幼児期以降と考えられ、主体的に自発的な学習が出来るようになるのはその頃からである。

(例)小学校1年生と4年生のボール投げ練習で同じ内容を指導する
               ↓
①1年生は練習する前に投げた距離に関係なく飛距離が伸びた
②4年生では練習する前に投げた距離の短かった子供ほど飛距離が伸びた(練習内容をよく理解している)
③4年生では練習前に飛距離の長い子供はそう伸びなかった(日常の動作で形が出来ている)

幼児期から小学校低学年には、言葉での説明よりテレビやビデオで模範的な動きを見せたり、指導者がデモンストレーションを見せることが必要である。

プロフィール

Mikami Kako

Author:Mikami Kako

おことわり

保育士・図書館司書に関しては、旧システムによるものなので、現在のもの科目編成や内容にずれがあります。放大についても閉講科目が含まれます

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