第14章 生涯学習と格差

■格差とは
小品の標準品に対する品位の差。また、価格・資格・等級などの差

■価格概念の用いられ方の推移
賃金格差→所得格差→経済格差→格差社会

■教育格差
戦後教育政策(戦後~1980年)は、学習指導要領を通して教える内容の標準化を行い、教育における地域間格差を是正し、個人間の格差も是正する策をとってきた。しかし、1980年以降、新自由主義に政策が転換し、これが多様化・自由化による教育格差の拡大を招いた。結局、エリート校と教育困難校の二極化が生じ、親の階層と子どもの学力・学歴に相関関係があることが論じられている。

1、知の格差をめぐる問題

(1)高等教育機関における社会人の認知
■知力・認知の問題の重要性
①生涯学習:知識や技能の解釈と理解
 学習者の知的能力・認知能力の問題
②知の所有者たる高等教育機関と、経験知・実践知を持つ社会人学生の間の葛藤

■人間の知力の二類型

流動性知力
生活経験から独立し、短期記憶・情報処理・数式などの抽象的関係把握に関わる瞬発力を要する力

結晶性知力
物事を言語的に理解し、経験を評価して、その成果を利用して自分の周囲の境から適切な情報を引き出す能力

中高年の生涯学習は結晶性知力の活用がカギ

(2)女性の学習
■成人女性の知の生成
・沈黙・・・受身で自分は無能だと思っている
・受動的な知識
・主観的な知の段階(研究対象の女性の半数はここに分類される)
・手続き的な知の段階・・・自分を対象とした「分離的」「連結的」に知る
・構造的な知識・・・知を社会的文脈の中の知として相対的に捉える。新しい知を創造する段階

2、補償としての生涯学習
・学歴や職歴の上昇により、グループ全体が抱えている教育格差への是正に努める
・学習支援の過程において、各人の認知的発達による自信回復と自己尊重感の向上が重視されている
・グループ特有の認知的発達に働きかけるという考え方は強くない

3、学歴格差と生涯学習

生涯学習は、学歴をめぐる教育格差の是正に貢献しているのか、それともその再生産に貢献しているのか。これは極めて重い問題定義である。なぜなら、近代社会において、学校教育が人材配分の役割を担当してきたからである。

■雇用者が学歴を採用の基準にするのはなぜか
シグナリングの視点に立って、労働市場の側から教育を眺めると、学校の主たる機能は、将来労働市場に参入する予定の人材に生産能力を高める教育・訓練を施すことではなく、専ら彼らを選別し、学校名のレベルを張ることによってふるいにかけることだからである。

しかし、近年の雇用形態の変化に伴い、従来の学歴というラベリングが通用しなくなっている。21世紀の生涯学習は、機能不全に陥った学歴による人材配分に見切りをつけ、学歴を補う、もしくはそれに代わる指標を求めるようになった。

(2)学歴格差の是正と生涯学習
①学習成果の社会的活用
・生涯学習の成果と社会的活用
・登録制生涯譜学習制度・・・試験あるいは講座と試験の組み合わせによって、基準を満たした提供者を登録する制度

②資格の取得
・認定する団体「国家資格」「民間資格」「公的資格」
・資格の内容「学業資格」「職業資格」
資格はヨコ型移動を希望する人にとって有意味である。また昇進昇格に際して重要な意味を持つ

生涯学習は、一方では高学歴化および資格化社会の到来をもたらす役割を果たしており、他方では、学歴社会の是正と資格化社会によるひずみの是正という役割も期待されている。こうした二律背反について、より根本的に考える時期にきている
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第13章 海外の生涯学習(3) 発展途上国

1、ユネスコの生涯学習の考え方

(1)万人のための教育宣言
・万人のための世界教育会議(1990年 タイ)
・教育を受けることは全てのものの基本的権利である
・「基礎教育」の概念を拡大
・就学前幼児・子ども・若者・成人の「基礎的な学習ニーズ」

世界教育フォーラム 「ダカール行動枠組み」6目標(2000年)
1、就学前保育・教育の拡大と改善
2、2015年までに質の高い教育を全ての子どもに保障
3、青年・成人の楽手にニーズ充足
4、2015年までに成人識字率を50%に改善
5、2005年までに初等・中等教育における男女格差を解消、2015年までに教育における男女平等を達成
6、読み書き・計算能力など今日いうのあらゆる面における質の向上

(2)成人教育国際会議とハンブルク宣言

ハンブルグ宣言 要点(1997年)
・個人の生涯における成長及び社会の発展に向けた詩人学習の意義・相違点
・市民活動や社会活動につながる成人学習の必要性
・文化に配慮し、社会や経済のバランスのとれた発展、環境への負荷を抑えた持続可能な社会に向けた学習の可能性


2、発展途上国の生涯学習の現状

(1)識字教育の普及
■識字とは
単純識字・・・簡単な読み書き・計算が出来ること
機能的識字・・まとまった内容を文章で表現できる、生活に役立つ計算能力を持つ

■非識字者とは
上記の能力をどちらも持たないもの。単に生活に不便なだけでなく、人間としての自尊心を傷つけたり、自立を妨げることに繋がる。また、非識字者が女性が男性の2倍であることから、女性問題をも構成している。現在、識字率は上昇し、少しづつではあるが改善傾向にある。

(2)バングラディシュの生涯教育
人口密度が高く、アジアの最貧国。中央政権的な政府が存在する一方で、市民団体の活動も活発である。例えば2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏のグラミン銀行プロジェクトは、国内有数のNGOである。政府・NGOの双方により、就学前児童の教育・初等教育・中等教育・高等教育・職業訓練・成人教育それぞれに学びの機会が与えられている。

■成人教育分野
①教育を受ける機会のなかった非識字者への識字教育
②識字後の継続教育
③青年のための職業訓練

<政府によるもの>
①センターベースアプローチ
政府と地域のNGOが契約を結び、NGOが実際に識字教育を実施する
②トータルリテラシームーブメント
識字キャンペーンのようなもの。広い地域で短期間に集中的な識字教育を提供する

<NGOによるもの>
画工の外にさまざまな学習機会を提供し、学習者の現実のニーズに基づいている(学習者を社会開発の一環として捉えている)

3、日本の役割と課題

日本のNPO、NGOによる成人識字教育活動

対象地域

アジアが中心

活動目的

女性のエンパワーメント

村落開発

職業訓練

保健・衛生・医療

環境改善

 ↓

社会問題に対応するための識字

支援内容

教育内容

指導者養成

識字教育活動運営

コミュニティー支援

学習者支援

学習施設・設備

教育行政機関など


■日本のNGO・NPOによる識字事業の特徴
①住民参加型の事業実施
②困難な人々を対象とする
③地元の資源を活用した学習者が学びやすい環境作り
④識字活動と生活改善の密接性

NGO・NPOの支援には目を見張るものがあるとは言うものの、多くの資金を投入し、全国規模に広がるような事業を展開するには、国際機関や政府機関による協力が必要である。

(2)日本の公民館への注目
■日本の公民館
・第二次世界大戦後の改策としてスタート
・平和な国家再建に向けて、成人の主体的な行動を促すための学びの拠点
・地域に密着した学びの場
・人々の生活改善・自己実現

このように、発展途上国の生涯学習の進展に示唆する知見が豊富に蓄積されている

第12章 海外の生涯学習(2) ドイツ・フィンランド

ドイツは第二次世界大戦後高度経済成長を遂げたという点で、日本と共通点を持つ。

1、ドイツ連邦共和国の生涯学習

現在のドイツの経済的な停滞は「ドイツ病」とも言われ、過去に優秀な科学者を生み出し、また職人を輩出してきた教育大国としての自負はかつてのものとなりつつある。

■2006年 PISA(国際学力比較調査)
ドイツ
フィンランド
日本
読解力
18
14
数学
20
10
自然科学
13

■理由
10歳で大学に進学するかしないかが決まるシステムと、その結果として基幹学校(ハウプトシューレ)など、職業分野に進むことを意図するために、教育水準が必ずしも高くない学校に進学する若者がいること、大学進学率も低いなど。

(1)歴史的展開
1871年 ドイツ帝国の成立・・・民衆教育
1918年 ワイマール共和国・・・民衆大学
1923年 ナチス政権・・・・・・民衆教育の民族主義化
1949年 ドイツ連邦共和国・・・成人教育
1970年 ドイツ教育審議会・・・「教育制度に関する構造と計画」これは「継続教育」と呼ばれ、初等・中等・高等教育に続く同等の教育領域(第4領域)である
1970年・80年 目標グループ活動
1990年 ドイツ統一
1990年半ば 生涯教育(EUの教育政策)、生涯(生活・人生)に随伴する学習

(2)成人学習者像:自己管理と省察

自己管理的な学習
学習者自身が方向を決定付けることの出来る学習を言う

省察的な学習
急激な鞘会変動の中で、人々が直面する多様な課題をひとつずつ乗り越えていくことを言う

■省察的な学習
オルトフリード・シエフター「変動の激しい社会」
・知識を学ぶ学習から、「自己確認の学習」へ
・学校的な学習から、「日常生活の中での学習」へ
・経験の再認識と明確化の学習

個人の変容から社会の変容へ

ミュンスター大学のヨハネス・ヴァインベルグ「変動する社会と成人教育」
東西ドイツの統一は成人教育に新たな課題をつきつけているとし、「新しい職業生活や社会生活に必要な新知識・能力の獲得のことばかりでなく、人々が体験する変遷・転換のプロセスのあり方や方法も考慮に入れておかなければ鳴らない

(3)成人教育施設の多様性とネットワーク化
■施設の多様性
・職業教育関係・・・民間企業、職業団体、商工会議所
・政治教育関係・・・労働組合、政党系の財団
・一般教養・・・・・市民大学、教会系の成人教育団体、大学

■革新的な成人教育の事業主体
①NPO
 登録協会
 ・教会系(ドイツプロテスタント成人教育作業共同体など)
 ・労働組合(労働と生活、ドイツ作業サークル)
 ・政党系(フリードリヒ・エーベルト財団)

②市民大学(フォルクスホッホシューレ)
専任教員。非常勤を含めて200000人規模のドイツの中心的な成人教育機関である。プログラムは政治・社会から基礎科目まで網羅的である。一方で一般教養と職業教育が提供されており、他方で義務教育卒業資格を持たない人のためのプログラムや、外国人労働者のための第二外国語としてのドイツ語講座もある。

③オルトフリード・シャフター
第4の教育領域としての生涯学習。生涯にわたる学校モデル
・日常の中で学者が位置づく
・多様な学習を「交換」出来るシステムへ
・学習相談の昨日の重要性
・学校教育を含む教育全体を生涯学習がリード

■ネットワーク論
背景には、各地に多種多様な成人教育機関・施設・団体があることから、その連携を図ることが、成人学習者の自己管理的、省察的な学習ニーズに対応できると言う理由がある。

知識基盤社会の中で
・多様な学習機会の提供
・学習的なプログラムの提供
・IT活用のネットワークづくり
・EU間での生涯学習システムの共通化

ドイツ人は混乱の中で自国の政治・社会の中に矛盾があることをむしろ当然とみなし、その中から新しいものを生み出そうとしている。これは「矛盾や対立、闘争があるからこそ社会は生き生きとしたものとなる」という、ヘーゲルの弁証法の考え方が現在も生きているのかもしれない。

2、フィンランドの生涯学習

■フィンランドの教育制度の特徴
・9年間一貫の義務教育
・義務教育段階でテストはなく、卒業生全員に高校への進学資格を持つ
・高校は基本は3年だが、単位を取れば卒業できるので2~4年の幅がある
・大学入試は4科目合格すると入学できるが、一科目の試験時間は6時間である
・学費は大学院まで無料で、交通費も支給される

(1)成人教育機関
フォークハイスクール
・寄宿性だが非職業的なプログラムが基本
・2009年段階で91校
成人教育センター・労働者学校
・非資格型志向性(工芸・語学・音楽など芸術系)
成人教育協会の機関
・350校以上
・1919年の労働者教育協会設立のものが契機となる
・スタディ・サークル
大学
・正規のプログラム
・拡張センターによる継続教育
・オープン・ユニバーシティ

(2)ネットワーキングとノットワーキング
ヘルシンキ大学活動理論・発達的ワークリサーチセンターのY・エンゲストローム教授のネットワーク及びノットワーキング論

■ノットワーキング論
拡張型学習の発展
・ノットワーキング・・活動に応じて結び目(ノット)の形成とほどき

(例)ヘルスケアの領域
医者・後見人・隣人・在宅介護の看護士・精神科医・警察官・救急隊員・アパートの管理人などがヘルスケアのニーズに臨機応変に対応し、修了したら解散する仕組み

第11章 海外の生涯学習(1) 韓国

1、社会教育・平生教育の発展

■平生教育の歴史的発展
1945年以降
・職業訓練・・・女性の職業、YMCA
・識字学級・・・夜間学校

1960年~70年・・・セウマル運動(軍隊のような規律や勤勉が尊ばれる)
・国の戦略
・市民意識の変化
・経済成長への貢献
・組織は活発に活動

1980年~90年代・・・社会運動の中での政治学習
・市民社会による促進
・市民意識の変化
・社会の民主化への貢献
・部分的な制度化

2、平生教育の体系化

①体系化
200年以降・・・平生教育の体系化
・平生教育への財政投資
・各地平生教育センターの設置
・平生教育の資格を持つ公務員
・大学での平生教育士の養成
・大学での平生教育講座(担当教員の増員)

②大学での科目名の変化
1960年~70年「コミュニティ教育」→1970年~90年「社会教育」→1990年以降「平生教育」→2000年以降「HRD(人的資源開発)

③平生教育の実務化
1982年以降・・・社会教育専門委員
1992年以降・・・平生教育士、HRD(人的資源開発マネージャー)

④平生教育の理論的方向性
社会教育
HRD(人的資源開発)
地域共同体の強調
労働市場の職場への指向
平生教育の道具主義への批判
平生教育の理想主義への批判
学習共同体の促進と拡張
学習する組織の促進と拡張
理想主義であるという批判
道具主義であるという批判


3.平生教育の論点ー日本の生涯学習とかかわって

(1)専門職ー平生教育士と人的資源開発マネージャー
■平生教育士の専門性をめぐる論争

平生教育士の鍵となる能力
①プログラムプランニング
②プログラム開発
③教授(ティーチング)
④相談
⑤ネットワーク
⑥管理活動
⑦コンサルティング

これらに加え、実務経験を積むことが目指されている。これは日本の社会教育主事の専門性をめぐる議論と重なる。確かに実務では平生教育の諸団体や機関へ配置されることもあるが順調ではない。

1、ネットワーク活動
・複数の省が平生教育を実施
・複数の法制度化と組織化による各省の活動
・各省の活動が地方で競合し重複

2、中央集権化
・地方の機関の過度の中央指向
・地方の独自性の基盤化

第10章 生涯学習と評価

1、生涯学習における評価

評価とは
物事・性質・納涼などの良し悪しや美醜などを調べて価値を定めること

(1)成績評価との違い
教育・学習における評価
・授業・コース・カリキュラムのよい点や問題点を査定するプロセス

(2)評価における三つのタイプ
ドイツの政治哲学者j・ハーバーマス「人間の三つの認識と関心の3つの理論」

■技術的関心と評価
人間の外ない在る自然環境を人間の力で管理(コントロール)したいという要求から誕生している。物事を「~であれば・・・となる」という、因果をインプットして評価をアウトプットする方法。(例・・テスト)技術的関心の立場では、結果が全てなのでひとりひとりの思考プロセスや内面的な感情はブラックボックスになっており、査定の対象にならない。

■実践的関心と評価
他人を理解したいという欲求・個人から理解されたいという欲求を土台にしている。ここでは講座の印象を語り合うといった「相互理解」の考え方が尊重される。しかし、特に説明しなくても理解でき了解の可能な文化の中での社会規範と伝統的な価値観に基づくものに留まり乗り越えることが難しい。(例・・相互評価)

■開放的関心と評価
現状維持に留まらずさらに成長し発達したいという欲求を土台とする。共通文化の価値観を変化させながら、社会改善に向かっていこうとする関心。(評価の例・・成果としての社会的活動)


2、教育評価・学習評価・学習成果の社会的活用

(1)学習活動に対する教育評価
■テストによる教育評価(実践的評価)
■モジュール学習による評価
刺激に対する反応としての学習(学習者理解という実践的関心を加味したもの)
■PDCAサイクルによる評価
p(plan 評価)、D(do 業務を行うこと)、C(check 確認)、A(act 処理・改善)

■教育評価の問題点
ひとりひとりの人間への関心があまりみられない。例えば普段成績のいい社会人学生が今回のテストで及第点が取れなかった場合など。原因は色々あってもわからない。

(2)学習評価:成果からプロセスへ
学習者がどれだけ学習による満足を得ることが出来たのかを確認する評価・・・学習評価

■アンドラゴジー的な学習評価
アンドラゴジーの学習プロセス(6段階)
①学習のための環境条件の設定
②学習ニーズの自己診断
③学習計画の立案
④学習過程の特定
⑤学習方法の選択・実行
⑤評価
評価は学習ニーズの再診断にもあたり、評価を通して新たな学習ニーズが生まれる

■ポートフォリオ評価
学習活動は継続的なものであり、学習のプロセスや積み重ねを、学習者本人が確認しながら進めていく評価は「ポートフォリオ評価」と呼ばれる。学習プロセスの途中で作成したイラストなどをファイルし、その経過を学習者と講師が確認するという評価となる。講師も学生も評価できるし、学習記録としての側面も持つ。

■相互評価
相互理解の関心は、講師と参加者、参加者同士においても当てはまる。相互に意見交換し励ましあい、学習意欲をいっそう高めていくことが出来る。

■学習者による授業・講座評価
講座の内容は?、講師の教え方は?、よかったことは?など

■学習評価の意義と課題
<課題>
①自己決定型学習を遂行しうる能力の在る成人学習者を念頭においており、そのような学習に不慣れな成人学習者への配慮がないままだと、学習者にかなり高度な学習能力を要求してしまう。
②社会的活動の視点が不十分

(3)学習成果の社会的活用

評価の社会的な活用方法
・中教審「学習成果の評価に関する調査報告書」(平成10年)
①学習者:学習を主体的・計画的に行うのに貢献
②生涯学習機関:事業の効果を知り、関心度を高める
③地域で活躍する人々の確保

・中教審「新しい時代を切り開く生涯学習の振興方策について」(平成20年)
「学習成果の評価の社会的適用性を向上させること」

■評価の社会的活用例
学校ボランティアや子育て支援ボランティア

■修了証・認定証
出席日数とレポート、あるいは出席日数で発行され、ボランティアの人材登録など人材確保に貢献する。

3、評価のシステムつくり

生涯学習機関の施策関連の評価
・生涯学習期間の年間事業に対する評価
・生涯学習期間の指定管理者の事業計画
・生涯学習行政・施策についての行政評価

一般に「業績目標設定型の評価」とよばれ、技術的関心評価である。

■業績目標設定型評価の課題
教室の設備などハード面の目標の設定は容易だが、内容や方法に関するソフトの整備については容易ではない。PDCAサイクルを重視する施策評価の場合、担当者職員の自主性や自発性が尊重された評価といえるが、一度立てられた計画を固定した評価であり、臨機応変な対応は歓迎されない。学習評価のアイデアをいかした生涯学習事業・政策評価の可能性が今後の課題である。

(例)東京都福生市の公民館事業計画では、それぞれの公民館の実情及び公民館事業の公共性をふまえており、担当職員個人できめず集団で検討を重ねている。事業評価は「学習」→「仲間つくり」「地域活動」へと言う展開と、「知り合う」→「系統的学習」への展開にいたるまでの発展を軸にしている。

第9章 行政の生涯学習支援

1、市町村の生涯学習政策:サービス提供者の側面

1.学習状況提供
■地域の生涯学習者に関する情報
・生涯学習課のプログラム
・教育以外の行政部門によるプログラム
・NPOの生涯学習事業

学習内容情報と案内情報
・生涯学習情報センター
・情報誌・冊子・インターネットによる提供

民間企業による学習状況提供

2.学習相談
・学習者と学習資源を結びつける
・学習上の問題の解決を支援する
・窓口対応
・インターネットでの対応

3、現代的学習過程の提供
・公共的な課題
・地域づくりや町づくり・・・男女共同参画・高齢者問題、地域学

4、学習支援者・ボランティアリーダーの育成
啓発から市民参加の参画へ
・市民企画講座
・ボランティア養成講座

2、ネットワーク行政としての生涯学習施策

■ネットワーク型行政
地域にある多様な生涯学習資源、団体を相互に連携させ、ネットワークを図るといった、ネットワーク行政へとシフトしていくことが潮流となっている。

■ネットワークの範囲
①指定管理者制度
行政機関は指定管理者と3~5年の契約を結び、管理運営を委託することになっている。指定管理者制度により、民間のノウハウを生かした管理運営が展開される。しかし、教育事業にどこまで民間の発想が必要なのかという批判論もある。

②市民との協働
住民が行政と協働するとは、行政の手伝いをするとか、行政の下請けをすることではなく、行政と対等な立場で住民として活動するということである。行政計画の遂行という実際の事業に関わり、そこから見えてくる行政課題を指摘していくことまで想定することが出来る。

■行政のコーディネート力と職員
行政の役割は、社会教育を行うものに対する「指導・助言」とされてきた。しかし現実にはNPOやボランティア団体が自発的な生涯学習活動を展開するようになり、その支援へとシフトしつつあることから、学校教育における指導主事と同じような指導・助言は必ずしもふさわしくなくなってきている。

3、協働をめぐって

■意義と課題
①意義
・多様な視点
・地域の活性化

②課題
・協働のデザインつくり
・コーディネート能力の育成・・・行政のコーディネート能力、NPO・指導管理者のコーディネート能力、市民コーディネーター

プロフィール

Mikami Kako

Author:Mikami Kako

おことわり

保育士・図書館司書に関しては、旧システムによるものなので、現在のもの科目編成や内容にずれがあります。放大についても閉講科目が含まれます

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